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視覚をなくしたことで得たこと

今回は、サッカーからブラインドサッカーへと環境を変え実際にプレーしたことで気づいたことについて話していきたいと思う。

1. まさかの悪癖

突然だが、僕が16年間サッカーを続けてきてある時からひとつの悩みに悩まされ続けていたことがある。それは、、、


 試合中に頭の中で突然、曲が流れ続ける


小学5年生くらいから起こり始めた現象で、しかも好きな曲ならまだしも、曲名も歌詞もギリ憶えていないくらいのそんな曲。
プレーごとに瞬時に判断し続けなくてはならないサッカーの試合で関係ない音楽が頭に流れている。こんな状況でいいプレーなどできるはずがない。

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答えはひとつ。目の前の試合に集中できていないのだ。
原因は前の日の睡眠不足、試合へのモチベーションなど色々あると考えられるが、根本はとにかく集中できていないことにある。

もし、サッカーの神様がいて自分の短所をひとつ無くしてくれるのならば間違い無く僕はこのしょうもない現象をなくして欲しいと頼むだろう。

そんなアスリートとして致命的な悩みを抱えながら大学サッカーを引退した。


2. 集中しないことには始まらないブラインドサッカー 

期待と不安に胸躍らせながら始まったブラインドサッカー人生。またしても「奴」は現れてしまうのだろうか、、、

結論を言うとブラサカを始めて1年半たったが、試合中どころか練習中でさえ音楽は流れてこなくなった。というか流れる暇などどこにもなかった。

ブラインドサッカーは身体もそうだがとにかく頭が疲れるスポーツなのである。

常に周囲の音に敏感にならないといけないし、トラップ一つをとっても転がってくるボールの音に合わせてどこにポジショニングをとるのか、相手の「ボイ」の声はどこから鳴っていて味方はどこにいるのかなどなど、、、

視覚がない中でどう僕はプレーしているのか。
まずは周囲の音から、頭の中で「見えていたらこうだろう」というピッチを描き、壁や相手との競り合いで頭の中と実際の状況とのギャップを埋めていく。

まだまだ感覚的にやってしまっている部分が多いが、頭をフル活用しなければ競技が成り立たないのである。さらに上のレベルになるとボール、相手、味方など複数の音を同時に聞きプレーしなければ打開することは難しいという。

その工程の多さが、音楽が頭に入り込む隙を与えていないのだろう。


3. プレースタイルの変化

もうひとつブラサカを始めて感じていることがある。
それはサッカーをしていた時とプレースタイルが変わってきたことだ。


シンプルにドリブルが上手くなった(気がする)笑


僕のサッカーでのプレーは「止めて蹴る」がベースであった。
中学からずっと左サイドバックだったということもあり、オーバーラップからのクロスボールやビルドアップを自分の武器としてやってきた。そのため単独でのドリブル突破など当時の自分からしたら夢のまた夢であったのである。

一方、ブラインドサッカーではクロスボールなどする場面はないし、ビルドアップもあるにはあるが相当難易度が高い。試合を見たことがある人はわかるかもしれないが、ブラサカの得点の9割はドリブルからのシュートである。

インサイドで細かいタッチをしながら行ういわゆる「ブラサカドリブル」に慣れるまでの数ヶ月間はひたすらボールを触り続け、なんとか形になるくらいのドリブルはできるようになった。

その結果、以前よりもボールタッチが柔らかくなり、自信を持ってドリブルできるようになった。大学を卒業する前にサッカー部で参加したソサイチの大会で積極的に前のポジションをやりたがっていたのにはこのような背景がある。

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4. まとめ

このように見えない中でプレーすることで逆に見えてきたものがたくさんある。
これまでできなかったプレーができるようになる感覚は久しぶりだ。

ただ、これで満足していたらそこまでの選手になってしまう。
自分にはブエンカンビオ横浜を日本一のチームにするという目的がある。

今、チームには絶対的なエースがいる。他のチームにこの選手を止めればブエンは大丈夫なんて思われたくない。現場はそうかもしれない。でも今後は誰が出ても、色んなパターンで得点が取れる、そしてどんな相手でも組織的に守れる。


「どうやったらこのチームを止められるんだ」


このレベルまで持っていきたい。

相当高いハードルだが、このチームでそれを実現できると本気で思っている。
そのためには限られた時間、環境の中でベストを尽くすしか策はない。

社会人になってもなお、本気になって戦える環境に感謝しながらプレーヤーとして、一人の人間として大きくなれるように頑張っていきたい。

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