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遊園地の待ち時間が我慢できる理由

 病院での待ち時間にイライラしている姿を見たことがあると思います。中にはイライラする立場になった人もいるかと思います。私たちは、何もせずにただ黙って待ち続けるのが苦手です。私達の出番がいつになったらやってくるのか分からないと、待ち時間が異様に長く感じますし、自分が回ってくるのを緊張して待っていると、神経も疲れてしまいます。しかし、同じ待つことにしても「あとどれだけで出番が回ってくるのか」あるいは「あと何分待てばいいのか」が分かれば、それなりに我慢できるようです。


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 イスラエルの心理学者ナイラ・ミュニチャー氏が大学の研究室にかかってきた123件の電話で少しかわった実験をしました。ミュニチャー氏は、かかってきた電話をすぐには取らずに、相手が108秒間待てるかどうかを測定してしました。しかし、この待っている時間に1つのグループはただ音楽が流れるだけで、もう1つのグループは音楽のみならず「お待たせして申し訳ありません。そのままお待ち下さい」というアナウンスが、108秒間に3回流れることになっていました。すると以下の結果が得られました。

・音楽のみの場合は、69.4%の人が待ちきれずに電話を切ってしまった。
・音楽だけでなくアナウンスも流れた場合は、66.7%の人が待ちきれずに電話を切ってしまった。

 


 どちらの条件でもほぼ同じ割合の人が待ちきれずに切っていました。次に、「現在、あなたは3番目です」「現在、あなたは2番目です」「次があなたの番です」というアナウンスが3回流れるようにしました。

 すると、途中で待ちきれずに電話を切る人は35.9%にまで減りました。


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 私たちは、待たされるのが嫌であっても、どれだけ待てばいいのか目安が分かっていれば、少しくらいは我慢できるようです。遊園地の待ち時間の場合は、「このアトラクションは待ち時間が50分」といった看板を出して、きちんとした待ち時間を伝えています。なので、お客さんもそれを承知で機嫌を損ねずに待てるのです。銀行でも最近では、番号札を配るシステムになり、自分の順番がいつ来るのか分かるようになりました。そのおかげで、お客からのクレームが減ったそうです。お客を待たせてしまっている立場の人は、この心理やシステムを理解しておく必要がありそうです。

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