PayPayのキャンペーン分析(アリババのキャンペーンと比較して)
はじめに
2019年12月4日〜12月13日まで開催された、「100億円あげちゃうキャンペーン」は中国のモバイル決済最大手のアリペイを参考に実施されたと言われています。
今回はアリペイの事例を比較対象にキャンペーンの効果を考察します。
キャンペーンの比較
アリババが実施した、キャンペーンの概要は下記の通りです。
PayPayのキャンペーン内容とは異なり決済後の還元ではないことから、アプリのインストール等の誘導が目的であると推測されます。
2015年2月18日、旧暦大みそかにあたるこの日、アリババグループの創業者である馬雲(ジャック・マー)が繰り出したのが国民お年玉。なんとアリペイユーザーに99万9999件のお年玉を配るというものだ。中身は日本円にして約0.1円から8万円前後までばらばら。もらった金額によって、運が良かった悪かったとその後もネタにできるのが楽しく、大きなインパクトを残した。
また、上記以外にも以下のようなキャッシュバック施策も継続しており、利用開始にポイントを置いた施策を継続して実施していることが伺えます。
・「1週間連続使用でキャッシュバック」
・「**の新商品でキャッシュバック」
・「新機能を使うとキャッシュバック」
PayPayの実施した、決済毎に20%キャッシュバック+一定確率で全額キャッシュバック というインセンティブはアリババの実施してた施策と類似しています。
事業者(店舗)向けの施策も実施しています。
アリババは2016年から加盟店に対して、決済金額に応じてキャッシュバックを行うキャンペーンを実施しました。
PayPayは加盟店に対して、以下のようなインセンティブを付与しています。アリババ、PayPay共に、似たような施策を加盟店に対して実施していることが伺えます。
「ユーザースキャン方式」では2021年9月末まで加盟店手数料無料です。さらに先着30店舗までは利用された金額の1%が還元される(2019年1月末迄)というものすごいキャンペーンが行われます。
アリペイ/ウィチャットペイの効果
下記の通り、モバイル決済比率は2016年で前年対比10%以上増えており、新規料の向上には貢献していると考えられます。(出典「5 charts on how mobile payments are growing in China」)
アリペイのシェアが低下しているのは、Wechatのキャンペーンも同様に効果を出していると考えられます。
PayPayの効果
PayPayのキャンペーンは上限で100億円まで、PayPayを利用した決済には購入金額の20%を付与する。(ただし、1回の購入あたりの付与上限は5万円)というものですので、もう一つの特典の全額キャッシュバックを無視すると、500億円の消費を喚起したことになります。
これにより、2018年のキャッシュレス比率の向上には寄与するでしょう。
また、加盟店も今回のキャンペーンを期に主要な家電量販店、飲食店に一気に導入が進んだようです。
100億円あげちゃうキャンペーンはPayPayが日本でキャッシュレスの覇権ダッシュに寄与するか?
やっと結論となりますが、今回のPayPayのキャンペーンはキャッシュレス可の浸透、および、シェアの獲得を獲得するのでしょうか?
私は、今回のキャンペーンでは不足していると考えます。理由は、今回のキャンペーンは初回利用(アプリのインストール+はじめてのモバイル決済利用)には寄与するものの、継続的な利用に影響を与えるものでは無いと考えられるからです。
下記は少し古いですが2015年(アリババ、Wechatのキャンペーン実施前)世界のモバイル決済比率です。
中国は2015年時点で総決済の60%ががキャッシュレスとなっています。
つまり、キャンペーン開始時点で、キャッシュレス(モバイル決済)が生活に浸透しており、キャンペーンの目的は複数あるキャッシュレス決済の方法の中で、いかにしてに自社の決済アプリを選択してもらうか、というポイントを狙ったキャンペーンであるためです。
一方、日本は2018年時点でキャッシュレス比率は20%前後と、一部の生活者の間でしか浸透していません。また、日本は交通系カードを利用した決済が非常に便利で生活者に浸透しています。今回のキャンペーンの参加者は交通系カード等の既存のキャッシュレス決済を利用している生活者がインセンティブ欲しさ試しに利用している状況と推測されます。
PayPayの決済UXは交通系カードと比較し、アプリ起動+スマホ画面の表示が必要となり、交通系カード利用と比較して不便なため、キャンペーンが終了したいま、これまでと同様に既存の決済手段(現金 or 交通系カード等)を利用すると考えます。
まとめ
前述の通り、現時点で決済手段として継続して選択肢もらうのは難しいと思います。利用を増やすためには、導入店舗の増加や決済手段の改善(これはスマホのOSに大きく依存するので限界がある)が必要と考えます。この点は別の機会にまとめたいと思います。(長くなってきたので疲れた。。笑)
ではでは。
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