見出し画像

アカデミー賞予想雑感

みなさんこんばんは。
今回は来年のアカデミー賞、そこそこ作品が出揃ってきたので雑感を書いていきたいと思います。

作品賞

まず作品賞に関しては、『Belfast』『DUNE / デューン 砂の惑星』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『ドリームプラン』は候補入り確実と言っていいのではないでしょうか。
インディーズ枠としては『CODA あいのうた』がBUZZを保っている感じがします。フランス映画のリメイクという点でどうかと思っていたのですが意外とそこは気にしてないみたいですね。


BUZZが上昇しているのは『The Tragedy of Macbeth』『Licorice Pizza』『C'mon C'mon』あたりかと。
そして逆にBUZZが下降しているのは『Passing -白い黒人-』『フレンチ・ディスパッチ』でしょうか。特に『フレンチ・ディスパッチ』は思ったより批評家の反応が鈍く当落線より下にいると思います。


『Spencer』と『ロスト・ドーター』はクリステン・スチュワートとオリヴィア・コールマンの勢いに乗れば候補入りも見えてくるかもしれません。


今後の期待作としてはジョー・ライトのミュージカル『シラノ』、デル・トロのノワール『ナイトメア・アリー』、スピルバーグのミュージカル『ウェスト・サイド・ストーリー』、アダム・マッケイのSFコメディ『ドント・ルック・アップ』、リドリー・スコットの『ハウス・オブ・グッチ』でしょうか。


この内ミュージカルの『シラノ』『ウェスト・サイド・ストーリー』はオスカー受けしづらく、しかも後者は主演俳優のスキャンダルもあり難しそうです。『ナイトメア・アリー』はいくらデル・トロと言えどもリメイク作ですしどうでしょう。とすると現実的なのはアダム・マッケイの『ドント・ルック・アップ』とリドリー・スコットの『ハウス・オブ・グッチ』が滑り込んでくる形になると予想します。

監督賞

監督賞で確実なのは『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジェーン・カンピオン、『Belfast』ケネス・ブラナー、『DUNE / デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴの三人。特にジェーン・カンピオンは久々のカムバックであること、女性監督のパイオニア的存在であることから確実でしょう。ケネス・ブラナーは『アルゴ』のベン・アフレックや『アリー スター誕生』のブラッドリー・クーパーなど俳優監督にオスカーは冷たいにも関わらず圧倒的な作品評価を手にしており、候補落ちはあり得ないでしょう。


またオスカー受けがいい『Licorice Pizza』のポール・トーマス・アンダーソンもある程度確実と言えるかもしれません。


そして可能性があるのは外国人枠として『Parallel Mothers』のペドロ・アルモドバル、『A Hero』のアスガー・ファルハディが挙げられます。この部門はしばしば外国映画の監督が候補入りすることがあるのでないとは言い切れません。そしてアルモドバルは対象作が国際長編映画賞スペイン代表に選ばれなかったことからここで救済される可能性が高いでしょう。


女性監督ということでいうと『CODA あいのうた』のシアン・ヘダー、『ロスト・ドーター』のマギー・ギレンホール、『Passing -白い黒人-』のレベッカ・ホールがいます。この中では作品人気の高いシアン・ヘダーの可能性が一番高いでしょうか。


ベテラン勢からは『The Tragedy of Macbeth』のジョエル・コーエン、『ナイトメア・アリー』のギレルモ・デル・トロ、『ドント・ルック・アップ』のアダム・マッケイ、『ハウス・オブ・グッチ』のリドリー・スコットがしのぎを削っています。


最終的にはジェーン・カンピオン、ケネス・ブラナー、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、ポール・トーマス・アンダーソン、シアン・ヘダーの5人なのではないかと予想しています。

国際長編映画賞

そして面白いのは国際長編映画賞だと思います。今年は『ROMA / ローマ』『パラサイト 半地下の家族』『アナザーラウンド』のような本命が不在という印象です。
まずは既にこの部門を制しているイラン代表アスガー・ファルハディの『A Hero』、イタリア代表パオロ・ソレンティーノの『Hand of God 神の手が触れた日』が有力視されます。


そしてこの部門常連の北欧からは3大映画祭で受賞しているノルウェー代表『The Worst Person in the World』、フィンランド代表『Compartment No.6』、そしてドキュメンタリー映画賞、アニメーション映画賞とのトリプルノミネートが期待されているデンマーク代表『Flee』が有力です。


アジアからはやはりカンヌ映画祭脚本賞の日本代表『ドライブ・マイ・カー』が頭一つ抜けている印象です。
またカンヌとヴェネツィアを制したフランスからはジュリア・デュクルノー監督『Titane』が選出され、かなりの異色作ながらも候補入りの可能性は大きいでしょう。同じくこの部門常連のドイツ代表『アイム・ユア・マン』も有力ですが、イマイチ勢いが感じられません。ベルリン映画祭を制したルーマニア代表『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』はまあムリでしょう。ベルリン映画祭とこの部門はあまり相性が良くありません。
個人的には最終的に『A Hero』『Hand of God 神の手が触れた日』『ドライブ・マイ・カー』『Titane』『The Worst Person in the World』で争うことになるような気がします。

主演女優賞

次に主演女優賞ですが、ここは混戦が予想されます。まず確実なのは『Spencer』のクリステン・スチュワートでしょう。作品評価も高く演技も絶賛されています。なにより実在の人物を演じている、しかもダイアナ妃というインパクトがあります。
有力ではありますが作品評価が伸びず黄色信号なのは『リスペクト』ジェニファー・ハドソン、『タミー・フェイの瞳』ジェシカ・チャステインでしょう。ただ、この二人も実在の人物を演じていますし、演技自体は評価されています。そして主演女優賞は『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』や『ジュディ 虹の彼方に』など作品評価が高くなくてもノミネートされやすい部門です。なので結局はこの二人はノミネートまではいくのではないかと思います。


『CODA あいのうた』のエミリア・ジョーンズは批評家賞次第では上昇するかもしれません。
また『The Tragedy of Macbeth』のフランシス・マクドーマンド、『ロスト・ドーター』のオリヴィア・コールマンらこの部門を既に制している女優たちは他が弱いと上昇してくる可能性があります。


また『ハウス・オブ・グッチ』のレディー・ガガ、『Parallel Mothers』のペネロペ・クルスはかなり有力だと言えるでしょう。レディー・ガガは『アリー スター誕生』でノミネート実績もありますし役柄も美味しい役です。またペネロペ・クルスは対象作がスペイン代表に選ばれなかったことでここに作品支持票が集中する可能性があります。


『最後の決闘裁判』のジョディ・カマーは作品評価が伸び悩んでいること、トリプル主演であることから厳しく、『ナイトメア・アリー』のケイト・ブランシェットは見せ場がどれくらいあるのかによりますね。
また自身で監督もした『ブルーズド 打ちのめされても』のハル・ベリー、『消えない罪』のサンドラ・ブロックはBUZZを上昇させている気配があり不気味です。


確実なのはクリステン・スチュワートだけという混戦具合で面白いですね。

主演男優賞

主演男優賞で確実なのは『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ベネディクト・カンバーバッチ、『ドリームプラン』ウィル・スミスの二名でしょうか。どちらも作品評価も申し分なく、演技も絶賛されています。


それに続くのは『The Tragedy of Macbeth』のデンゼル・ワシントン、『ハウス・オブ・グッチ』のアダム・ドライバー、『C'mon C'mon』のホアキン・フェニックスあたり。ただしアダム・ドライバーは『最後の決闘裁判』でも主演プッシュされることから票が割れること、ホアキン・フェニックスは受賞したばかりであり白黒のインディーズ映画であることが懸念材料です。


ミュージカル映画の主演がノミネートされることはあまり考えづらいですが、『シラノ』のピーター・ディンクレイジ、『tick, tick...BOOM!』のアンドリュー・ガーフィールド、『イン・ザ・ハイツ』のアンソニー・ラモスあたりに可能性が残されているかと。特にアンドリュー・ガーフィールドはキャリアベストとの評価も飛び交い、ないとは言い切れない現状です。
作品評価と共にBUZZを上昇させているのは『Red Rocket』のサイモン・レックス、『Belfast』のジュード・ヒルです。『Red Rocket』の監督ショーン・ベイカーは前作『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』でウィレム・デフォーを助演男優賞でノミネートさせていることから今回もないとは言えず、『Belfast』は対象作が急激にBUZZを上昇させており最多ノミネートも狙えるというところで勢いに乗ってという可能性があります。


『ドント・ルック・アップ』のレオナルド・ディカプリオは役柄の大きさ、そして作品評価によりますが、コメディ演技はオスカー受けしないのと、既に主演男優賞を獲得済みなのが懸念材料です。『Jockey』のクリフトン・コリンズ・ジュニアは作品評価、演技評価は申し分ないのですが、いかんせん作品が小さすぎるのがどう働くか。


ダークホースは『ナイトメア・アリー』のブラッドリー・クーパーと予想します。ブラッドリーは『アメリカン・スナイパー』で初ノミネート、『アリー スター誕生』で監督主演に留まらず作曲もしてしまうという才能を世間に知らしめたにも関わらずアカデミー賞は未だ無冠ということでそろそろ彼に…という思いが働いてもおかしくないと思います。

アニメーション映画賞

アニメーション映画賞はディズニーの『ミラベルと魔法だらけの家』『ラーヤと龍の王国』、ピクサーの『あの夏のルカ』、Netflixの『ミッチェル家とマシンの反乱』はやはりアメリカ映画ということでなんだかんだノミネートまでいくと思います。


残り一枠は『竜とそばかすの姫』、『Flee』で争うと思われます。『竜とそばかすの姫』は日本では賛否割れていますが、海外では細田守ブランドが強く、『未来のミライ』に続いての候補入りはなくはないでしょう。また『Flee』はドキュメンタリーをアニメーションで描くという斬新な試みが評価される可能性があります。


そして意外な伏兵としては湯浅政明監督新作『犬王』があります。東京国際映画祭でプレミアされ絶賛、BUZZを急拡大させている感があります。前作『君と、波に乗れたら』はいくつかの批評家賞で候補入りするなど実績もありなくはないでしょう。

ということで今回はなんとなく今の雑感を述べてみました。
個人的願望で言うと、国際長編映画賞で『ドライブ・マイ・カー』、アニメーション映画賞で『犬王』が入ってきたら嬉しいなーと思います。特に『ドライブ・マイ・カー』は今年絶対的存在がないのであわよくば受賞も…?と思っています。

読んでいただきありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?