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就活回顧録 / ゼネコン・組織設計

昨年5月ごろから動き出した就職活動が、先月、幸いなことにもっとも願わしい結果で終結しました。内定先は大手組織設計事務所です。今回の記事は、その経験と反省をできる限り披瀝するものとなります。

もしかしたら僕の意見は偏り誤っているかもしれません。ですが一方で、就活戦略の常套形式のようなものに違和感をおぼえる10ヵ月でもありました。どうか読み入りながら、まったく気にしないでいただきたいと思います。



※ 04・05では僕の作例を掲載しています。
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01 | 自己紹介と、伝えたいこと

まずは前提条件を共有しておきます。

大学 : 中堅私大
専攻 : 建築意匠
学年 : 修士1年(就活時)
賞歴 : ほぼ無し
卒制 : せんだい100選
GPA : 3.6
趣味 : 写真
特技 : 無し
TOEIC等 : 無し
留学経験 : 無し

つまるところ僕は、履歴書に華がないということです。誇らしい実績もなければとくべつ愛嬌があるわけでもありません。自分を、まったくの始めから伝えることが求められていました。

方法はいくつかあります。作品集はもとより、身だしなみや話し方、プレゼンの構成や趣味のこと。ささいな身振りを以ても人は伝わるものですが、そのときに何よりも肝心なのは、まわりとの同調を疑うことだと今は思います。

それは奇を衒うことでもなければ、強行に差別化をはかるものでもありません。就職活動では、それまで建築の実践を通して徹底的に自分らしくあろうとしてきた誰もが、特定のフォーマットに迎合をはじめます。同じ装いで、同じ話し方で、同じファイルに入れられた同じような資料が並べられることになります。それらはたやすく個性を隠すでしょう。暗に踏襲されてきた一つひとつの局面で立ち止まり、その妥当性と向き合ってみることが重要です。

たとえば散らばった作品群を鮮やかに設計理念で束ねたときの「多面性」。雄弁なテキストを視認性の良い図版で代替したときの「語彙力」。また複雑な卒業設計を1分で見事に説明し終えたときの「解釈の幅」。それらはたとえどれほど明快な主張であろうとも、自分を正しく伝える上では損失です。

同調の波があらゆる個人をのみ込んで、平たい光景をつくり上げています。




02 | 会社の選び方


僕の場合は、そこで働く「人」を重視していました。調べる方法はそのなかに入ってみることが一番たしかでしょう。僕はゼネコンと組織設計を目指していたため、両社アルバイトをさせていただき、広報誌や説明会などには決してあらわれない職場の生の雰囲気に参加してみました。

ただそれは、各社の作風がいまいち捉えられないことへの裏返しの理由でもあります。とりわけゼネコンに関しては、施工側の意図まで加味しなければ理解できない事例も多く、僕のちっぽけな知識で掴めるその差異は、志望動機に足るほどに有効な判断材料ではありませんでした。それにこれからつくるものが、それまでつくってきたものに、さほど拘束されるとも思えませんでしたので。

また、「自分と会社の共通項」を持ち出すことは志望動機の紋切型ですが、必ずしもそうである必要はないと思います。仮に自分の動機を譲って入社した者がいるとして、それは賢明とも不誠実だとも受け取られ得ますが、たとえば「作品はよくわからないけど社員が好き」だと主張したならば、見かけは妙かもしれないけれどそれなりに正直ではあります。それはとても大切なことだと思います。




03 | 就活行事

就活行事の主なものは以下の4つです。

①  説明会
②  社内見学会
③  インターンシップ
④  選考試験(即日設計・面接・SPI など)

それぞれが兼ねられることもありますが、通例は各社のマイページにて告知されますので、小まめなチェックは欠かせません。

またどんな名目の会であれ、何かしらの作品集を持っていく方がよいです。閉会後に有志で添削をおこなう場合もありますし、それを打診したからといってマイナスに働くこともありません。ささいな出来事によって事態が好転することを、僕は何度か経験しました。

ここで悩ましいのが、サマリーとポートフォリオのどちらを優先して作ればいいのかということ。僕の意見は後者です。自分のなにが得点するか分からない状況では、とりあえず数を見てもらうべきかと。ただサマリーはインターンの選考提出物であったり、説明会後に社員がそれを持ち帰る場合も少なくありませんので、両方持ち歩くことが間違いなく最良ではありますね。




04 | 資料作成

ここからは、就活に用いた僕の資料と併せてお話します。

1. 名刺

名刺をつくる人はあまり多くないようですが、これは小さな自己表現の場です。名前とともに、自分の美意識のようなものまで伝わることを念頭にデザインする必要があります。

以下作例です。

Ver. 1
Ver. 2
Ver. 3


1と2はこちら、

3はこちらのサービスに印刷を発注しています。

名刺には実にさまざまな加工方法がありますので、ぜひ自分なりの表現を探してみてください。


2. サマリー(作品シート)

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