パーキンソンには後ろ歩きをするべし❓
パーキンソン病はホーンヤール重症度分類Ⅲ以上になると、抗重力筋である下肢伸展筋機能の屈曲筋に対する相対的な低下や固縮により屈曲筋優位の姿勢調節となる。
そのため股関節と膝関節が屈曲位を取りやすくなる。
その結果、身体重心は支持基底面の後方へ偏位し後方転倒しやすくなる。
代償として前屈姿勢が増強する。
前屈姿勢の増強は二次的に股関節や脊柱の可動域制限、腰部傍脊柱筋への過負荷、腹筋群の筋活動低下を生じ、突進歩行やすくみ現象を助長させるので、動作時のバランスも障害されることになる。
これらを防ぐためにも前屈姿勢の改善は重要であり、後ろ歩きの介入が推奨されている。
後ろ歩きは下肢の振り出しを股関節伸展方向へ行うため、動作の反復が体幹及び股関節伸展筋の筋活動を促通すると言われている。
これらを前提にパーキンソン病患者に後ろ歩きの介入を行い、結果を考察した。
①姿勢
下肢の相対的筋出力が増加し、体幹・下肢の伸筋群の活動促通もされ、前屈姿勢が軽減した。
②FRやCrossテスト
股関節戦略の割合が減少し、足関節戦略の割合が増加した。
バランスが低い患者は股関節戦略に依存することが多く、股関節戦略への依存は足関節戦略による姿勢制御に不利に作用してしまう。
また、パーキンソン病患者は随意運動時に下肢遠位筋の主動作筋と拮抗筋の過剰な同時収縮を認めやすく、足関節運動の自由度が制限されやすい。
しかし後ろ歩きにより立位アライメントが是正され、姿勢保持の下肢遠位筋の過剰な同時収縮が軽減し、足関節の自由度が増加した。
足関節運動の自由度が増加し、姿勢制御における股関節から足関節への戦略の移行が促進され、立位姿勢が安定する。
まとめ
後ろ歩きは前屈姿勢の軽減と足関節を主とした姿勢制御能力を向上させる。
参考文献 パーキンソン病患者に対するこ後進歩行運動が姿勢と姿勢制御に与える即時効果 二階堂泰隆 他 理学療法科学 2011
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