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臨床で使えるボバース

脳卒中片麻痺患者の立位の特徴

・骨盤前傾、後方回旋(下部体幹コアコントロール低下)

・股関節外転、外旋(殿筋、内側ハムの低緊張)

・反張膝、膝屈曲(大腿四頭筋の低緊張)

・股関節外旋、足内反の増強、足趾屈曲(下腿外側腓腹筋の過緊張、内側腓腹筋の低緊張)


このような姿勢から二足立位をつくろう!

・内側ハムと大殿筋、内側腓腹筋を促通しながら麻痺側へ重心移動

・足趾を牽引し、前後に長い足部をつくる

・母趾と小趾の間を牽引し、小趾外転筋を促通

・腓腹筋内側頭を把持し、背屈させ踵に体重を移動する。

・麻痺側下肢を後方ステップさせ、前足部⇒踵接地させる。股関節と膝関節を伴った機能的に長い下肢をつくる。


二足立位から活動的な端座位に姿勢転換させよう(コアコントロール)

骨盤介助にて、上部体幹は垂直位のまま骨盤を後傾、膝を屈曲させる。

膝を前方に誘導、足を背屈させ、その後膝を後方に誘導、底屈させ着座させる。

立位で骨盤の後傾が難しい場合は、端座位で上部体幹を垂直位に保ったまま骨盤前後傾を誘導する。


座位から背臥位 コアコントロール促通

体幹を対称的かつ分節的に背臥位へ誘導する。

胸椎部伸展位での安定性と腰椎部の分節的な可動性が必要。


・座位での左右へ重心移動し、移動側の体幹遠心性収縮と骨盤側方下制、対側の体幹求心性収縮と骨盤側方挙上を促す。

・非麻痺側骨盤を後方回旋させながら、膝伸展位で下肢を治療台の上に乗せる。

・麻痺側骨盤を挙上、後傾させながら麻痺側下肢を治療台の上にのせる。このとき麻痺側下肢は牽引しながら行う。

この端座位から長座位になる過程で、下部体幹のコアコントロールと股関節屈筋群、膝伸展筋群の促通を行いながらハムの過緊張を軽減させる。

・腰椎の分節的な屈曲を促しながらゆっくり背臥位になる。


両膝立て背臥位

まずは背臥位。前脛骨筋を伸張し、足趾を一つ一つ丁寧に伸張する。

足関節を背屈させ、膝関節屈曲を誘導

膝屈曲しにくい場合は腓腹筋を促通する


両膝立て位から内側ハムと大殿筋をグリップし坐骨方向に圧をかけながら骨盤を後傾させ、ブリッジを行う。(腹筋群、大殿筋、ハムを促通)

このとき過剰な背筋群の活動で腰椎が過伸展、骨盤が前傾し頭部を床に押し付けないように注意が必要。

ゆっくりと上部腰椎から分節的に床につくように誘導する。

Active supine to sit

背臥位から肩甲骨セッティング(肩甲骨の内転、下制、後方回旋)と胸筋コントロールを行い、前鋸筋を促通しながら分節的な腰椎の屈曲を促し、長座位へ移行する。

長座位から非麻痺側に重心移動し、麻痺側骨盤を側方挙上しながら下肢をプレーシングさせ外側へ誘導し、麻痺側下肢を治療台から降ろす。

非麻痺側骨盤を側方挙上、前方回旋させながら端座位へ誘導する。

この時、麻痺側手関節背屈位、母指伸展位で肩内旋しないようにコントロールし誘導する。


CHOR

CHORは表面に対する手の摩擦的接触であり、安定面への手の接触による垂直姿勢制御の強化である。

指先先端部の感覚受容器は、ほかの固有情報と統合されて、姿勢安定の制御に関与できる。

つまり、CHORは手掌、手指からの感覚によって立位バランスを助ける参照枠を形成する、ということである。


前方にテーブルを設置し、先に非麻痺側上肢をテーブルの上に置いておく。

肩甲骨セッティングをし、麻痺側上肢をテーブルの上に置く。

両手以外の身体はテーブルに接触しないよう注意する。

母指の伸展は上腕三頭筋、示指の伸展は三角筋を活性化する。


肩甲帯コントロールの促通

肩甲骨セッティングは肩甲骨を内転、下制、後傾させ肩甲骨の安定性をつくり、関節窩の位置を最適化することである。

肩甲骨内転により前鋸筋と大胸筋の遠心性収縮を促通する。体幹伸展させることで大胸筋を伸張させる。

CHORの姿勢から麻痺側上肢を挙上しプレーシングさせる過程で肩甲帯の安定性を促通する。

両手を組ませて頭部に置き、両上肢を水平外転、水平内転させる過程で肩甲帯の安定性を促通する。


次に端座位で両肩外旋、後方伸展させ、肘伸展位で両手を後方に支持させる。

肩甲骨を内転、下制、後方回旋させ、体幹の伸展を促通する。

この肢位で肩甲骨セッティング、上肢のリーチを誘導する。

参考文献 最新のボバースアプローチ紹介 弓岡光徳 他 西九州リハビリテーション研究 2012


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