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生活期における左大腿骨頸部骨折者における歩容改善
評価
左MStでの頭頸部および体幹左側屈・左上肢外転・左股関節外転の戦略をとっている。
⇒脚長差が生じているための代償動作や中殿筋の筋力低下のみならず、荷重時に生じている左股関節近位内側部の疼痛を回避している。
左臀部への重心移動時に骨盤右挙上が困難。
⇒MStには骨盤を安定させる働きとして遊脚側脊柱起立筋や外腹斜筋の筋活動を要すため、体幹筋の機能低下がある。
また、歩行補助具に依存しており、疼痛回避の戦略を数か月間続けてしまい、代償戦略が誤学習され、二次的な中殿筋の筋力低下や体幹筋の機能低下が誘発されていた。
左MStで股関節近位内側部(恥骨筋筋腹、内転筋群起始部、腸腰筋停止部)に疼痛
⇒左MStに体幹左側屈し上半身の質量中心から左側へ偏位し、左股関節に外転回りの外的モーメントが増加する。それを制御するために左股関節内転筋の活動が増加し、疼痛を誘発している。
根拠として、
独歩と比べて、健側で杖を使う歩行は股関節外転筋の筋活動が30%程度減少する。
体幹を筋力低下側(股関節外転筋)に傾けることは、外転モーメントアームの長さを減少させ、外転筋の内転トルクをの要求を少なくしている。
治療
中殿筋の筋力向上は、逃避反応を抑えるため、まずはOKC運動から開始し、CKCへと移行していく。
体幹筋の機能向上は筋出力向上を求めるよりも左MStのタイミングで右脊柱起立筋・外腹斜筋の抗重力筋活動が生じ、骨盤を定位できるようにする。
体幹左側屈が生じないように留意しながら左下肢へ荷重練習を行う。
考察
介入により歩容の改善を認めた。
「慢性疼痛」と「誤学習」が臨床推論していくうえで重要であった。
生活期の理学療法介入は、時間の制約がある中で二次的な機能不全への介入も並行して行う必要がある。
参考文献 生活期における左大腿骨頸部骨折者の歩容改善に対する臨床推論 瀧澤快至 他 理学療法 2018
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