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果たして脳は回復するのかという疑問

脳損傷後の回復メカニズム


①局所的変化

脳浮腫や虚血性ペナンプラの改善。数日から数カ月と比較的急性期の時期に起こる改善。



②中枢神経系の再組織化

発症直後から数カ月続く可塑的変化。代償性経路の再構築やシナプス形成などにより起こる。


脳機能回復のステージ理論

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①1st stageの回復メカニズム

残存している皮質脊髄路の興奮性に依存する回復。

皮質脊髄路を刺激し興奮性を高めることで麻痺の回復を促進する時期。

皮質脊髄路の興奮性が減少すると病巣大脳脚にてWaller変性を生じることが明らかになっている。

Waller変性は運動麻痺回復を阻害する。予防には早期離床による筋収縮の賦活や電気刺激など外部からの刺激入力により、皮質脊髄路の興奮性を高めるとともに廃用症候群を防ぐことが重要。


②2nd stageの回復メカニズム

皮質間のネットワーク再構築であり、発症から3か月をピークとする時期。

脳の使用頻度が高ければ大脳皮質の機能地図拡大、機能代償がなされ、使用頻度が低ければ減少する。

この時期は痙縮と言う誤った運動パターンを学習してしまいやすい。難易度を調節した正しい運動学習が必要。


③3rd stageの回復メカニズム

シナプス伝達効率向上に依存する時期。再構築された新しいネットワークシナプス伝達が効率化されることにより改善する。


ダメージを最小限にとどめ(Waller変性を防ぎ)、機能回復を促進するためには、その時期にあった介入アプローチが必要。


参考文献 装具選択や治療計画に影響する理学療法士の視点 島本祐輔 PTジャーナル第53巻 2019

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