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アーサー王伝説とパターに込められた名前

ARGOLFのパターにはアーサー王伝説にちなんだ名前が付けられている。
その理由をARGOLF創設者のオリバーに聞いたところ「ARGOLFはアーサー王伝説でも有名なブリター二の森の近くにあります。欧米人なら誰でも知っている伝説で登場人物や地名はすぐにどんなものかイメージできるものです。それに関連する名前を付けることで、自分の持っているパターにより親しみが湧くはずで、ナイスパットをしたら「Good job! アーサー」など、その名前を叫んで抱きしめたくなるのが人間の自然な行動だと思います。私の作ったパターをそのように親しみを持って使ってもらいたいからです。
一般的にパターの名前は番号で表記されたり、工場がある町の名前や通りの名前が付けられているものが多く、少し無機質な感じで親しみが持てないと感じていました。日本で言えば武士として初めて幕府を開いた源頼朝や戦国時代の武将、織田信長の伝説といえば理解してくれると思います」という答えが返ってきた。

9偉人の一人としてアーサー王のタペストリー(1385年ごろ)Wikipediaより

アーサー王伝説の概略
アーサー王伝説とはどのようなものかはウキぺディアには次のように記載されている。
アーサー王とその円卓騎士団の物語。フランスを中心として中世ヨーロッパのほぼ全土で親しまれた。6世紀ごろに実在したアーサーは、ケルト人の一武将にすぎず、この侵入するサクソン人をしばしば撃退したと、8世紀末の歴史家ネンニウスの『ブリトン史』が伝えている。しかし結局ブリテンは滅ぼされて、アーサーはしだいにケルト人の王国再興の夢を託するに英雄と伝説化していったものと思われる。
 伝説の内容は、アーサー王は、ブリテン王である父ウーサーが魔法使マーリンの助けで貴婦人と同衾(どうきん)して誕生する。若くしてブリテン王となったアーサーは、宝剣エクスキャリバーを得、これを振るって諸国を平らげる。彼は貴族の娘グィネビアと結婚して妃(きさき)とし、これを甥(おい)のモドレッドにゆだねてローマ遠征の途につくが、留守中にモドレッドが反逆し、王位と妃とを奪われてしまう。アーサーは遠征を中断して帰国し、モドレッドを討つが、自らも致命傷を受け、不思議な島アバロンに去る。これが主筋(すじ)であるが、ほかに150人の円卓騎士団の建国物語と彼らの武功と愛、さらにキリストが最後の晩餐(ばんさん)に用い、またアリマタヤのヨセフが十字架上のキリストが流した血を受けたという聖盤Holy Grailの行方を探求する、いわゆる聖杯(聖盤)物語などの諸伝説が織り込まれており、これらを総称して「アーサー王伝説」と呼んでいる。

プロトタイプのKing Arthur Model(限定品として発売予定)
最初にデザインされたアーサーモデル

 
最初の作品はアーサーと名付けた
オリバーはどのようにこの伝説を自身のパターに名付けていったのだろうか。もちろん最初にデザインしたパターはアーサーであることは容易に想像できる。
最初のモデル、アーサーは最も現代パターの中でオーソドックスなトウ・ヒールバランスのパターであるが、このデザインも直線と曲線をうまく組み合わせている。一般的にはこの形はピン型と言われていて、他社はデザイン特許が切れた時点からピンのアンサーモデルをコピーしたようにほぼ同じものを作っているのに対してオリバーはオリジナルデザインを目指した。それはトウとヒールのカッティング、フェイスの肉厚、クランクネックのホーゼルを少し短くして重心を下げ、ボールの転がりと操作性を良くした点である。
アーサー王の強さ威厳を一つの形に纏めた作品と言える。
 
では2番目はなんだったのだろうか。
2番目は魔術師マーリンという。

ユニークな形のマーリン
私は取材においてなぜこのモデルにこの名前をつけたのかは特に聞かなかった。あえて聞かないようにした。それは自分ならどのような名前をつけるだろうか、と考えた時、そのプロセスが謎解きのようにワクワクする感じを強く受けたからだ。答えを聞くより答えを探す楽しみの方が数倍も面白いし、オリバーがパターをデザインする時にどのような機能を持たせたいか、そのためにはどのような形がふさわしいのか、そしてそのアイデアが具現化していく中で、アーサー王伝説の登場者の中でどの名前をつけようかと考えた時、それが自分の推理と一致したら…
それだけでも使いたくなる、多分順番に一つずつ。
 
マーリンはアーサーの父親ウーサーに使える魔術師であり、アーサーが生まれるきっかけを作った張本人である。マーリンモデルは一見するとオーソドックスなT型の、俗にいうキャッシュインタイプのパターであるが特徴のあるフレンジをつけることで構えるとブレードパターに見えるようにデザインしている。従来のパターデザインには見られない手法でありマジックを仕掛けたようでとてもユニークだ。
ヘッド重量もあえて重めに設定して、打球感とボールの転がりを考えての仕掛けは魔術師としてパッティングを面白くする意図を感じる。

見方によっては全く異なる形に見えるマーリン

オリバーはこの2つのパターを最初にデザインすることで彼の中にイメージしていたアーサー王伝説をスタートさせた。
機能とデザイン、そこにストーリーが加わることで何か道具にあたらしい世界が広がっていくような感じを受けるのはオリバーのデザインコンセプトであるART of GOLFなのだろう。

アーサーの第二世代アーサー2.0のデザインスケッチ

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