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院卒の就活生が即戦力と言われる理由。修士論文というプロジェクト

こんにちはーーー!!!
先日修士論文をなんとか書き終え、春から社会人になる予定のほりしゅんです。

論文を書き終え、卒業を控えるこの間に、大学院で何をしたかについて記録しておきたいと思います。

大学院でのある講義で先生に言われたことがあります。

「論文はプロジェクトだよ」

はじめは、どういうことか理解できずにいましたが、論文を書く過程でそのことをすごく感じるようになりました。と同時に、院卒の就活生が即戦力と言われる理由もここにあるのかなと思いました。

そして、それは研究の計画段階に集約されていると思ったので、僕の経験をシェアしたいなと思います。

これから大学院進学を考えている人や、大学院で勉学に励んでいる人の中でも、大学院での経験がこの先活きるのかと不安になっている人も多いと思います。僕自身もそんな不安を抱えていた時期もあります。

でも、論文を書き終えた僕が思うに、大学院での経験は社会人になる上ですごく大切なものを教えてくれたと感じています。不安を抱える将来の大学院生の手助けになれると嬉しいです。

研究を計画する

入学当初から、口うるさく研究計画を書くことを求められ、報告をしました。

その中で、研究計画の出来次第によって、「アウトプットの質が決まる」とよく言われたのを覚えています。

何がわかるかわからない状況の中で、研究を行うことは博打と一緒です。ある程度見えた状況でないと論文は書き始められません。

では、どのように研究計画を作ったのか、三つのポイントをあげたいと思います。

・文脈を考える
・ケースと理論を接続する
・調査を計画する

順に解説していきたいと思います。

文脈を考える〜マーケティング思考〜

自分の興味がある分野やテーマに、自分の研究を位置付けるという作業です。その上で、大切なポイントとして意識したのは、

・誰に読んで欲しいか、
・面白いと思ってもらえるか
の2点です。

まず、自分の研究を「誰に読まれたいか」は、研究の範囲を限定するために考えるポイントです。

僕の場合は、フィリピン政治研究を行いました。なので、読者もフィリピン政治研究者に限定できたのですが、彼らが何を考え、何を知っていて、何を知らないのか、ということをまず理解する必要があります。

ビジネスにも、市場やターゲット層を決定しなければならない場面があります。その時、ターゲットが何を求めているかを考えたり、競合他社が何を提供しているか分析し、他社にはない部分を考察したりすると思います。そのような作業の中で、他社との差別化を図り、ビジネスを行っていきます。

研究でも同じように、研究者によるこれまでの議論の流れについて理解を深めます。そして、彼らの議論から自分はどのように発展するのかを考えます。学術的にいうと、「新規性」を見出す作業になります。

読者にとってそれが新しい、と感じられるものが大切なのです。

まとめると、

・誰の、
・議論に対して、
・どのような変化を与えるか

が研究の文脈を考えるということです。ビジネスと全く同じであるとは言えませんが、似ている部分もあるのかなと思います。

ケースと理論を接続する

僕は実証研究に重きを置いている研究科だったので、ケースというものがすごく大切になっていました。

僕の研究におけるケースを紹介すると、フィリピン政治でもドゥテルテ大統領の違法薬物対策でした。なので、研究するにあたりまず、詳細にケースを把握する必要がありました。

しかし、把握したことを書くだけでは研究とは言えません。
把握したことを、理論と接続することによって研究となります。

ある営業マンの営業のケースを考えてみることにします。

「その営業マンは先輩からの教えに従って、これまでAとBに気をつけて営業をしていました。しかし、営業成功率が上がらないため、自身の営業について振り返った時、成功しているときはいつもCがあると気がつきました。」

ある営業マンは、「自身の営業の成功事例」を考察しています。考察を通じて、成功にはAとBという要因だけでなく、Cという要因があったと発見しました。(前提として、先輩の「営業論」について理解する必要があります。)

それによって先輩の「営業論」が発展し、ある営業マンによる「営業論version2」が生まれたという具合です。

このように、先輩の「営業論」と自身の「営業の成功ケース」を接続することによって、AとBだけでなく、Cという要因が営業の成功に必要だという仮説が立てられ、それを明らかにすることが研究目的となってきます。

次に考えなければならないのが、Cを明らかにするための調査です。

調査段階〜仮説思考〜

先ほどの例からすると、明らかにしたいのはCが営業成功の要因であることです。
例えば、Cという要因を「接待」として例証していきます。

営業の成功に「接待」が必要なのは、なんとなく理解できます。しかし、どのように成功という結果が出るのか、そのメカニズムは不明です。

成功のケースを振り返ると、いつも接待で盛り上がっていたと気づきます。つまり、接待でも盛り上がりを見せたものが成功に結びつくという、本当の意味での仮説が浮かび上がります。

その盛り上がりが本当に、成功をもたらしているのか明らかにするために必要となるのが調査です。では、どのような手段が盛り上がりを説明するために適しているでしょうか。

ここでは、インタビューを手段として説明していきます。この時点で、質問内容も限られてきました。

社内の人にインタビューを行い、「接待は盛り上がったか」などの質問をし、回答を得ます。その回答を分析した結果が、研究の核となります。

ここで例証した研究は、『営業成功のための要因分析ー「接待における盛り上がり」の重要性ー』を明らかにした研究となり得ると思います。

この調査段階においては、すでに「言いたいこと」が決まっており、仮説を実証するために必要なことも理解でき、そのための手段も確立している状態を計画することが求められています。

ここまで見えた状態で、研究を始められることができれば良い研究になるのかな、と思います。僕はできませんでしたが。。。

院卒が即戦力である理由

論文計画は入学直後から取り組み続けるものの一つです。
その中で、
・マーケティング思考
・仮説思考
が得られると書いてきました。

しかし、それだけでなく、修士論文というプロジェクトを進めるにあたり、培われるものはまだまだあります。

例えば、洞察力です。

研究では、目に見えない部分を明らかにする作業でもあると思います。それは「なぜ」を突き詰めて考えることでもあり、例えば、「接待」が営業の成功になるのはなぜかといったように、現象の奥深くを照らし出していきます。そのような分析の中で深い考察を行うことから、洞察力が得られたのかなと思います。

挙げ出すとキリがなくなるので、これぐらいにしておきます。

今回は、大学院での勉学を通して、社会人にも必要となるスキルや思考を紹介してきました。学部で、これらを社会人になるために勉強する人はいますが、プロジェクトのために考える人は少ないと思います。そのため、大学院生はこれらのスキルや思考を実践的に学んでいるはずです。

だからこそ、院卒の就活生は即戦力と言われるのではないかなと考えています。

読んでいただき、ありがとうございました!!

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