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決算解説・財務分析

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#アパレル業界

使える財務指標#2 ユニクロとしまむらで学ぶ「売上総利益率」の使い方

使える財務指標シリーズ第二弾は「売上総利益率」を取り上げます。一般的には「粗利率」とも呼ばれますので、ここでは粗利益、粗利率と表記していきます。「脱・丸暗記」をキーワードに財務指標を使えるようにするのが目標です。 なぜ「脱・丸暗記」なのか?企業を分析するとき、どの財務指標を使うのが適切なのかは、なかなか悩ましく、簡単には答えが出ません。けれど、適切なモノサシを選ぶことができなければ、企業の実態を理解することはできません。 世の中には数多の財務指標が溢れかえっています。資格

【決算解説】しまむらの業績が急回復した理由は郊外シフトにあり?

しまむらが好調です。同社の2020年9〜11月期の連結業績は、純利益が前年同期比3.6倍の110億円となり、同期間の過去最高益を更新しました。 郊外型店舗を主軸に低価格帯で勝負する同社は、コロナ禍でもその強さを発揮しています。今回はしまむらの決算を端的に解説します。 業績急回復の背景に郊外シフト 上記のグラフはしまむらの四半期別の営業利益を示したものです。 しまむらは、1Qに営業赤字を計上しました。これは、新型コロナウイルス感染拡大を受けた外出自粛要請が大きく影響して

【企業解体新書】しまむらの決算書の特徴とは?

ファッションセンターしまむらが絶好調です。2020年9月~11月期の純利益は、前年同期比で3.6倍の110億円でした。背景には、気温の低下により秋冬物の販売が好調だったことがあります。 今回はしまむらの決算書の特徴を3つのポイントに整理し、同社の経営戦略に迫ります。 特徴1.粗利益率の低さ 上記は、アパレル各社の売上総利益率(粗利率)の推移を示したグラフです。 アパレル業界におけるしまむらの最大の特徴は、粗利益率の低さにあります。しまむらの粗利益は30%前後で推移して

#002 洋服の青山が200億円の最終赤字に転落した理由

 「洋服の青山」を展開する紳士服最大手の青山商事が、通期の業績予想を下方修正し、203億円の最終赤字を計上するとのニュースがありました。業界のリーディングカンパニーが赤字ということで、紳士服業界の現状を調べてみました。 青山商事の売上高は停滞  まずは、青山商事の売上高のトレンドチェックです。現在開示されている業績予想によれば、2020年度は前年比▲12.5%に売上高が落ち込む見込みです。上記のグラフから、業績が頭打ち状態にあることが分かります。 創業以来初に最終赤字に