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現在とシンクロする、Conptemporary大河ドラマ「どうする家康」

今年の大河ドラマ「どうする家康」が例年とはかなり異質であることが、その時々で個別に指摘されています。
この記事では、その底流を流れるプロデュース方針について、
「おそらくこういう意図なのだろう」
と素人が考えたこと、そして、この先どこに行くのかの予想を立ててみます。

従来の『歴史大河』と比較して最も『あれれ』的反響が大きかったのは、第10回「側室をどうする!」だったのではないでしょうか。
この回では、家康の側室に選ばれた侍女が、レズビアンであることを告白し、家康も最終的には理解します。
これはまさに、現在進行形の《多様性尊重》、その中でも《LGBT性向尊重》とシンクロしていました。

第19回「お手付きしてどうする!」では、家康のお手付きとなったお万が正室・瀬名と対峙する場面で、最後に言います:
まつりごともおなごがやればよいのです。そうすれば、男どもにはできぬことがきっとできるはず」
言うまでもなく、現在の日本で最大の課題のひとつになっている、
・女性の政治参加(大臣・議員・首長割合の少なさ)
・女性の企業経営参加(経営者・管理職割合の少なさ)

とリンクしているのは、誰も異論がないはずです。

さて、ゴールがちらほら見え始めたのが、第24回「築山に集え!」
瀬名はいくさのない世をつくる」という家康が秘めている決意を実現するために共鳴する人間を独自に集めます。
そして、隣国を征服するのではなく、隣国とは交易により平和裏に共存しようという、── 当時としてはある種ユートピア思想であり、けれど現在の領土保全に関する国連憲章にも通じる ── 訴えをするのです。
おそらく、この回を見た人の多くが、ロシアのウクライナ侵攻を頭のどこかで思い浮かべたことと思います。

今年の大河ドラマは、確かに表のテーマは「徳川家康の人生と信念(厭離穢土欣求浄土)」かもしれませんが、視聴者の違和感をものともせずに突き進んでいるのは、

現在進行中の政治・経済・社会情勢とシンクロする Conptemporary 歴史ドラマ

という《大方針》が存在するからではないでしょうか?

となると、この先の最も大きなテーマは、1年半以上も続く、

独裁者による隣国侵攻

でしょうね。

日本の歴史上、個人として《独裁者》になったのは、豊臣秀吉が最初で最後かもしれません。
もうすぐ独裁完了、というところまでいった人、集団として独裁政権を築いた人たちは他にいますが。

以前、別アカウントで書きました:

自国の《独裁》が完了に近づいた《独裁者》は、
➀ 必ず、
➁ 次のステップとして、
弱い国(=大きな犠牲を出さずに制圧できる、と独裁者が考えた国)を侵略する。

これが、今回、世界が学んだことの《本質》だと思います。

世界が学んだこと (エッセイ)|Pochipico (note.com)

上記の記事は、
だから、侵略の前段階である『独裁の進展』自体を防がなければならない。
というのが本意です。

つまり、国内独裁が完了した秀吉が『文禄・慶長の役(朝鮮侵攻)』を引き起こしたのは、ある意味、必然だったのかもしれません。

そして、侵攻された朝鮮半島の側では秀吉は『極悪人』ですが、侵攻した側では、相変わらず『郷土三英傑(名古屋)』であり、『太閤さん(大阪)』としてヒーローであり続ける
── これが《本質》であり、現在進行形の侵攻を開始した独裁者もそれを狙っていたのでしょう。

この後の大河ドラマが扱う『文禄・慶長の役』は、現在進行形の『独裁者の命令によるウクライナ侵攻』と重畳ちょうじょうさせ、現実を思い起こさせる形の演出になるのではないか、と予想します。
そして、『関東移封』のため出征しなかった主人公・家康にはおそらく、瀬名のユートピア思想/国連憲章とリンクした『他国侵攻自体への反対』を語らせることでしょう。

それ以外に登場可能性のある「時事ネタ」を考えると、
・少子化問題
・世襲政治家
などありますが、前者採用は、それこそ《多様性》の問題がありそうだし、後者は歴代首相の多くが世襲である政権与党が反対しそうですね(実際、家康などは世襲の権化だし……)。

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