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”Pick Any Two!"「うまい・やすい・はやい」全部叶えるってのはおかしいぞ、と言うアメリカの大工さん(再掲プラス)

人手不足や食材原価の高騰で、飲食業の倒産が増えているそうです:

そんな中、camyuさんの記事を読みました。
「安さと品質とサービス」の全てを求める日本人の思考回路自体の問題を指摘しています:

確かに、(私も含め)日本人は特に「サービスはタダ」という意識が強く、たとえば「チップ文化」の国を旅すると、
「納得がいかん!」

という気持ちに囚われます。
そのマインドが、
「通販は送料無料を選ぶ」
「見積もりだけならタダのはず」
「投げ銭(大道芸人にもネットでも)を惜しむ」
辺りとも同根なのでしょう。
「安さと品質」両立が困難であることはもちろんですが、この「サービスはタダ」意識が現場を疲弊させ、サービス業から人が去って行く要因になっているのでしょうね。

なお、「見積無料の文化」については、日本の労働生産性を引き下げる要因になっている、とまっちゃんが書いておられます:

「『安さと品質とサービス』の全部を求める日本人」記事を読んで、昔書いた記事を再掲したくなりました。


古い友人に、米国で小さな工務店を共同経営していた大工さんがいる。
彼が仕事道具を運ぶ小型トレーラーの後部ドアには、このように書かれていた。

トレーラーの後ろにこう書いてある

《Good》《Cheap》《Fast》から、どの組み合わせでもいいから、2つ選びなさい、その2つを叶えるやり方で家を建てましょう、というのである。

「3つ全部を要求してくる客がいるが、それはダメだ、というわけさ」

「日本には、《うまい》《やすい》《はやい》と三拍子そろっていることをウリにしているレストランがあるぜ」
そう言うと、
「それはおかしいぞ。ありえない!」
声のトーンを上げた。
そりゃ、そうだろうな。

それにしても、彼のトレーラーに書かれた《Good》《Cheap》《Fast》が、某牛丼チェーンの《うまい》《やすい》《はやい》と同じ順で並んでいるのは、偶然ではないだろう。
そこは、サービスを受ける側と、提供する側との、《本音》《建て前》《プライド》《実質》との、複雑な方程式の結果として出てくる《順番》になっている気がする。

〈初出:2021年9月9日〉


しかし、その後、某牛丼チェーンの《うまい》《やすい》《はやい》という順には変遷があったことがわかりました。その記事(2022/10/24付)も載せておきます:

創業者の松田瑞穂さんの陣頭指揮で急成長を遂げた1970年代のキャッチコピーは「早い、うまい、安い」です。経営破綻し松田さんが吉野家を去った1990年代に「うまい、早い、安い」と変わり、さらに2000年代に「うまい、安い、早い」となり現在に至っています。
ちょっと順番が変わっただけのようにも見えますが、私はその変化は経営陣の経営方針を如実に表していると思います。つまり、「うまい」「安い」「早い」のどれも重要だけれども、最も重視しているのは「うまい」だというのが現経営陣の経営方針であり、創業者である松田さんが最も重視していたのは「早い」だったということです。

加藤一隆「かつての吉野家の売り文句が『うまい、安い、早い』ではなく『早い、うまい、安い』だった深すぎる理由」
https://president.jp/articles/-/62704?page=1

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