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清キ1票集メマス(SS;3,900文字/エレクトロニック・ショート・ショート・カタログ)

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 ノートPCのキーを3分ほど叩いていたエンジニアが、表情も変えずに言った。
「指示が出ました ── 次の演説会場では減税を公約してください」
「えええ?」
 移動する街宣車の中で、私は思わず大声をあげた。
「何言ってるんだ! つい10分前に、
『調子のいいことばかり公約する候補者が多いようですが、あえて言わせていただきます ── 財政健全化のためには皆さんにもそれ相応の負担をしていただかなくてはなりません』
とぶち上げてきたばかりじゃないか!」
 エンジニアは、それが一体どうかしたのかとでもいうように、いぶかしげな顔を上げた。
「ええ。それで大きな支持を得ましたよね ── 私の教えた通り ── よかったじゃないですか」
「ああ、すごい拍手だった ── 君、じゃなくて《CC》に教わった通り」
 それは認めざるを得なかった。

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