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夜ドラ『VRおじさんの初恋』がようやく終わった(ネタバレ:ほぼなし)

各回15分間の連続ドラマ『VRおじさんの初恋』が先週終わりました。表題に『ようやく』と書いたのは、
「やれやれ、やっと終わったか……」
という安堵ではなく(だったら、そもそも8週間32回にもわたって視続けるわけないよね)、
(けっこう盛り沢山でいろいろ展開があったなあ……)
という振り返り感です。

主演の野間口徹さん、その会社の同僚役・堀内敬子さんには、ワタクシ、15年ほど前、NHK『サラリーマンNEO』の『博多よかばい食品』以来のファンになります。
お二人ともすっかりメジャーな俳優になり、今や顔を見ない日はありません。
名バイプレイヤー・野間口さんが主役を務めるドラマを観ないわけにはいかない。

ネタバレはしたくないのであらすじを追うことはしませんが、このドラマを観ていて、
「うーん……VRゴーグルを装着しただけでここまでの『没入効果』はないかな……」
「おそらく、その触覚を得るためには、VRグラブも身に着けなきゃならないだろうな」
「二人でパフェを食べる ── その味覚と嗅覚を共有するためには……」
などと、Wet Blanket なコメントをブツブツ呟きながら観ていました。

それは20年ほど前に、
『エレクトロニック・ショート・ショート・カタログ』と題する、こうした電子機器を開発する企業の開発にまつわるスラップスティック・コメディを連載していたからだけでなく、
さらに10年ほど遡る昔、某全国紙の日曜版に、
『名古屋バーチャル・ファミリー』と題する短編小説を連載していたことを想い出したからです。
── 携帯電話が普及し始めた頃でした。

後者は、自分の記憶からも完全に欠落しており、このドラマを観て深い湖の底からぽっかりと浮かび上がってきました。
読切で8回ぐらい書きましたが、例えば、
・友だちのいない孤独な学生が、学校で(今でいう)AIからかかってくる電話に応対することで、恋人や友人との会話を装う(装っているうちに、自分でもそれがリアルなのかバーチャルなのか、わからなくなってきている)。
・性別も年齢も偽ってバーチャル世界での恋愛を楽しむ。
といったストーリーでした。

30年も前のことであり、書き手は十分若く、リアル世界をエンジョイしていたこともあり、そうした主人公たちを『少々病んでいる』と捉える描き方をしていたかもしれない。

でも、
『仮想空間で、リアル世界とは異なる自分になる』
── それは、個人にとって、宇宙旅行や月面着陸などよりもはるかに大きく、夢がある冒険なのではないか、と今はかなりポジティブに捉えるのです。

うーむ。
それは、
① ジジイになり、この先の人生に『無限の可能性』などとはとても考えられなくなったことももちろんあるのだろうが、
長く続く円安で、海外への『冒険』に行きにくくなったことも関係しているのかもしれない。

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