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ワールドカップな日々

サッカーは時としてサッカーの理論を持たない。
強い者が勝つとは限らないんだ。それがサッカー、それが人生さ。
 ――ディエゴ・マラドーナ(アルゼンチンの英雄 2020年11月25日没)

サッカーは、実に単純だ。
シュートを全て止めればチームが負けることはない
  ――ジャンルイジ・ブッフォン(元イタリア代表ゴールキーパー)


▼▼▼オランダのディフェンダー▼▼▼

ワールドカップサッカーを観戦している。
日本×ドイツ戦はもちろん生で全部見た。
とても興奮した。

ただ、他の試合は時間が作れなくて、
デイリーハイライトを録画して見る、
ぐらいの見方しかできてない。
決勝トーナメントになると、
もっと見る試合は増えるだろうけど。

時間が作れなくて見られていないが、
ハイライトだけでもかなり面白い。
イングランドの若手の躍動と、
前回大会得点王のハリー・ケインの攻撃はヤバイし、
オランダの守備力もヤバイ。

特にオランダは昔から好きなチームで、
古くはヨハン・クライフのトータルフットボールだが、
90年代のオランダも面白かった。
クーマンっていうペナルティキック力が
ぶっ壊れたディフェンダーがいたり、
ファンバステンとかベルカンプというフォワードがいたり。
10年代だと、ロッベンとスナイデルという、
相手からしたら悪夢のフォワード陣がいた。
オレンジ軍団の攻撃的サッカーに、
僕はずっと魅了されてきた。

ところが、である。

僕も開幕してから知ったという、
マジで「にわか知識」なのだが、
今回大会のオランダがヤバイのはディフェンスだというのだ。
まず、世界最高のセンターバックと言われる、
ファンダイクという選手がいる。
そしてあと2人のディフェンダーも、
世界最高峰の選手たちなのだという。
さらにノパートというゴールキーパー、
ハイライトでセネガル戦を見たが、
このキーパーもすごい。

セネガルは決して弱くなかった。
いや、相当に強いチームだった。
しかし、オランダのディフェンスの前に、
1点も奪うことができなかった。

鉄壁のディフェンスのチームというと、
イタリアが有名だ。
いや、有名だったというべきなのか。
イタリアは2大会連続でワールドカップ出場してないから。
イタリアもまた弱いわけではなく、
ユーロとかでは優勝していたりもするのだが、
ワールドカップのヨーロッパ予選って、
ワールドカップ本戦の予選を勝ち抜くより難しいところがあるから、
仕方がないと言えば仕方がない。
高校サッカーの静岡予選で敗れたチームは、
全国大会の2位のチームに勝つチームだったりする、
みたいな話で。

そんなイタリアは「カテナチオ(かんぬき)」という異名を持つ、
鉄壁のディフェンスを誇る。
「一番美しい勝利は1-0の試合」
というイタリアサッカーの美学があり、
歴代のイタリア代表のキーパーやディフェンダーは、
それはもう世界的に有名な選手が揃っている。
GKブッフォンとか、DFマルディーニとか、
聞いたことある人も多いと思う。
だからワールドカップのカードで一番面白いカードのひとつは、
イタリア×オランダだったりする。
鉄壁のディフェンスのイタリアを、
攻撃的サッカーのオランダが崩せるか、
という「盾×矛」的な面白さがある。

そんで、今回のオランダなのだが、
これまでの「攻撃的サッカー」のイメージと違うのだ。
明らかに今大会、最強の守備のチームのひとつなのだ。

そしてセネガル戦のハイライトを見て、
なるほど、と思った。
今のサッカーって、
オフサイドとかの細かいルール変更により、
点が入るタイミングというか、
「形」が変わった。
基本的に「カウンター一閃」で、
ゴールが決まることがすごく増えた。

ドイツ×日本の2点目の、
浅野拓磨のゴールもカウンターだったし、
前回大会のベルギー戦で後半日本は3失点するが、
すべてカウンターからの速攻だった記憶がある。
(間違ってたらごめん)

つまり、中盤で押し込まれていても、
あるいは自陣ペナルティエリア内でボールを持たれていても、
良い形でボールを奪い、
そこから速攻をしかけることで、
その30秒後にはゴールを奪えていたりする。

つまりボールを保持して、
形を作って、、、
という組立型のサッカーよりも、
流動的に2、3人の選手で、
一気に相手を崩せる速攻ができるチームが有利なのだ。
戦術のトレンドがこういう形になると、
守っているように見える方が実は攻めている、
という構図ができる。

ディフェンスが既に、
オフェンスのイントロになっている。
そうするとオランダみたいなチームは強い。
最強のディフェンダー陣およびGKがいて、
ここがボールを奪う。
相手はまさか奪われると思ってないから前掛かりになっていて、
そうすると「裏」が空いている。
そこからゴールを奪う。

最も守備的なチームが、
最も攻撃的なチームである、
という逆説が生まれる。

だから今の日本代表に、
遠藤航がいることがとても重要なのだ。
押し込まれたところから彼がボールを奪い、
前線にフィードするところから得点が生まれる。
10年前ぐらいまでのトレンドだと、
たとえば中田英寿とか、中村俊輔とか、
あるいは柴崎岳みたいな、
トップ下のプレイヤーがボールを保持して、
そこからインサイドでスルーパス、
みたいな形がトレンドだったのだけど、
今は攻撃の起点はどんどん中盤よりも自陣になっている。

これもハイライトで見て驚いたのだけど、
デンマークのGKシュマイケルは、
そういう意味で、
もう自陣ゴール前にいる柴崎岳だ。
彼の足から繰り出される正確無比なロングパスが、
見方MFの足元にスポッと収まった瞬間、
将棋でいえば「王手飛車取り」みたいな形が
既にできてたりする。

現代サッカー、おそるべし。

あと、ウェールズの64年ぶり出場ってのはアツいですね。
前回ウェールズをワールドカップで見た人は、
もうほとんど生きてないっていう。
ベイルのゴール、感動しました。

というわけで、サッカー観戦というか、
ハイライト観戦を楽しんでいます。
今日はそんな話。


おわり。

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