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あ 「あじフライ」


あじフライが好きだ。一方、あじフライほど、美味しいのとそうでないのの差が大きい食べものもない、とも思う。べちょっとしていて骨っぽく、古い油が冷たくなった感じのあじフライは、白米にダメージを与えるほど美味しくないと思う。まぁ、たまたま自分が選んだのではない弁当とかに入っていれば、それでも食うけどね。フードロス的にもあれだし、あと僕は多分、いやしいのだ。でも、「うーん、予想通り美味しくないなぁ」とは思う。噂に聞く「胸やけ」とは今僕が感じているものだ、と。それだったら、あじフライじゃなくて「ハズレても底が知れている」コロッケにしてくれれば良かったのに、と思う。

あじフライの美味しいやつは、座布団のように分厚くフワフワで、揚げたての「カリサク」からの、白身の繊細な香りがフワッっと鼻に抜ける。新鮮な白身魚系のフワフワの美味さは格別で、それにソースの香り(ときどきタルタルソースとレモン)がたまらない。フィッシュ&チップスの上位互換なのではないかと思う。フィッシュ&チップスにはビールが合うが、あじフライはビールよりも白米だ。

漁港近くの食堂とかで「あじフライ定食900円」みたいなやつがあって、それで座布団フワフワあじフライに当たったときはテンションがぶち上がる。「海鮮丼1500円と迷ったけどこっちにしてよかったー!」と、心の中の織田裕二(正確には織田裕二のマネをする人)が拳を天に突き上げる。

……でもなー、海鮮丼も美味そうなんだよなー。きっとあじフライがこのレベルなら、海鮮丼も美味いに決まってるんだよなー。どちらを選んでも結局は後ろ髪を引かれ、僕は漁港を後にすることになる。


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