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テレビ用の【企画書】を作りたい! <有料級>

放送作家志望者に向けてのお話でも…。
若手放送作家の仕事の1つに

企画書を作成(清書)する

という作業があります。
企画会議で出たアイデアを
まとめる作業です。

企画書の重要性については以前に
書いていますので、ご参考までに…。
(※有料ですがw)


ただ、テレビ業界で流通している
企画書は、一般的な企業で使われる
企画書と若干違っているものかと…。

「電通の企画書」みたいなビジネス書が
たまに書店で売っていたりしますが、
見てみるとデザインから書く内容まで
全く違ったものでして…。
参考になった書籍に出会ったことはありません。

テレビ番組を通すための企画書は
超特殊かつ超ニッチなため、
書き方を解説する人もいないです。
自分も、そういった書き方の
サイトや情報を(ほぼ)見たことが無いですし。
なので、途方に暮れる若手も多いことでしょう。

これは口伝に近いと言いますか。
北斗神拳の「一子相伝」的な
雰囲気さえ漂います。
大抵は企画会議に参加して、先輩が
書いたのを見て覚えることが多いため
業界に知り合いがいない限り
テレビ用の企画書を目にすることは
まずないでしょう。

書き方があまりにも謎すぎて…

教えてもらえそうな先輩作家に
「クレクレ君」な態度を
取っちゃったりするわけです。


まぁ、このエントリーを見たのも
何かの縁ですので!
「どんなものなのか?」の雰囲気だけでも
伝えられればと思います。


テレビ用の企画書は主に「4つ」
ブロックで構成されます。

「表紙」
「企画意図」
「番組内容」
「番組概要」

です。
1つずつ詳細を説明します。
ただし、これはあくまで
「基本中の基本」です。

「必ずこうしなければならない」
というのではなく
「企画書の礼儀の最低ライン」
と考えてください。


★表紙

読んで字の如く、表紙です。
やりたい企画を伝える「顔」なので
なるべく派手でインパクトのある
ものが好ましいかと。

表紙のサンプル

このデザインの「センス」
作家ごとにまるで違うので、
書きながら鍛えていくしかないと思われます。

「企画提出」の部分には、
提出するプロデューサーの名前だったり
制作会社の名前などが入ります。


★企画意図

「なぜ、今この企画をやりたいのか?」
「なんでヒットすると思うのか?」
「どこが面白いと思うか?」

…など、この番組を立ち上げようという
「想い」を詰め込んだページです。

企画意図のサンプル

短い文章の中に「面白がりどころ」を
凝縮して詰め込んでいきます。
最近は【PowerPoint】で作る作家が
増えたので、写真だけではなく
文字の装飾も派手派手になっている
傾向があるように感じます。

「@ページにまとめなければならない」
というルールはありませんが
1〜2ページでまとめるのが多いですかねぇ。
多すぎても読む気が失せますので。


★番組内容

「どういう展開・進行になるのか?」
「どういうネタを扱う予定なのか?
 そのネタ例」       など

この企画書を見た編成マン
番組をイメージしやすいように
写真などを交えながら展開例を
書いていきます。

番組内容のサンプル

この番組内容も「@ページ以内」
などのルールは存在しません。
書きたいように書いてください。

他にも、コーナー案とか
取り扱うネタのサンプルとか…。
「こういう展開になる番組です」
を分かるようにするためのブロックです。

「企画書」というのは、
今まで見たことのない空想の番組
書類に起こしたものとなります。
なので、具体的な展開を交え
読む相手に「面白い番組だ」と
思ってもらえること

一番重要なポイントになるかと!


★番組概要

・タイトル
・想定枠
・放送形式
・ターゲット
・出演者候補(MC&ゲスト陣)

などの番組の基礎情報を入れ込む
ページになります。

番組概要のサンプル

最近は企画書の一番最後に
1ページでペラっと入れ込んでいるケースが多いです。

一般的に分かりにくいのは
「放送形式」
「ターゲット」

ですかね?

「放送形式」
”スタジオ”を使うのか?
”ロケ”が存在するのか?
を示す一行です。
なので、全編がロケになる
スタジオを開かない「旅番組」などの
場合は『オールロケ』などと
書いたりします。

「ターゲット」は狙いの視聴者層です。
主に使う単語は…
「ファミリー層」
「Fコア層」
「若者層」
「女性層」
といった感じでしょう。



…と、だいたいがこんな感じですかね?
こういうのを説明すると、子供の頃から
「マニュアル」育ちな若手が

「企画書を書くのって、
 どれぐらい時間かかるものなの?」
「企画書って、だいたい平均
 何枚ぐらいになる?」

など…「普通・平均を教えて!」の
情報クレクレ君をしてきますが。
それは作家や企画の内容ごとに千差万別
答えなんてありません。

自分が書いていても…
8時間かかる場合もあれば
3時間で書けるのもあります。
6ページの企画書もあれば
12ページの大作になる場合も。
さらに気分が乗っていれば早く書けますし…。
ベテランと若手でも書く時間は違います。

「だいたいこれぐらい」
と一概に言えないのがテレビ番組用の
企画書作成です。
なので、平均的なデータを求めるのは愚かかと。
作家の能力次第で全然違うのですから。

書いて、怒られて、直したりしながら
「自分なりの正解」を見つける感じに
なるかと思われます。


昔、秋元康さんが表紙の次のページに
「1枚の写真」を入れて…みたいな
惹きつけるテクニックを使い始めた…
などの伝説を聞いたことありますが、
今はそんなことをしても企画が
通りやすくなるとかは無いと思います。
それに引きずられてか……

「番組を表現する一行キャッチフレーズを
 つけなければいけない!」
「三行で心を掴むワードを入れ込む!」

などの謎ルールを言い出す若手も
ごくたま〜にいます(笑)。
そんなの、全くありません!
誰がそんなことを広めているのか…。

とにかく「面白そうな番組だ!」と
思われるような企画書を書けばいいんです。

編成マンは何百・何千という企画書を
見てきているんですから。
もう、「小手先のテクニック」や
「子供だまし」は通じない時代です。


これらが志望者の参考に
なりましたら幸いです。




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