【ふせん会議術10】よくある質問と回答
みるみるプロジェクトが進む「ふせん会議術」を説明したら、たくさん質問をいただきます。
いただいた、よくある質問への解答をまとめました。
「ふせん会議」をトライして、疑問点が出たときに参照してください。
1 ふせん会議の流れ
下の図のように、「1 キックオフ」から始まり、「2 問題分析」「3 解決策・活動計画」と進み、「4 進捗確認会議」の流れになります。
2 問題~原因分析でよくある質問と回答
「目標」を確認し、目標達成を阻害する「悪い結果=問題」の「原因」を出し、根本原因を探るステップでよくあるご質問
FAQ(Frequently Asked Questions)
Q1 問題と課題は使い分けるの?
「それは問題だ」という表現は、相手を傷つけないか心配で「課題」と置き換えて使うことがある
CPSでは「目標に対し悪い結果を問題と表現する」と定義づけて進めることで、心証は害さない。
Q2 セッションメンバーから出された「目標」が手段であるときは?
問題討議を始める前に「目標」が妥当であるかを確認は必要です
よくある「XXシステムを導入する」は、本来手段であり何のためにXXシステムを導入するかの「目標」があるはずですので、その目標を確認しましょう
Q3 目標の設定は何時のタイミングで決めるべき?
CPS実施が決まれば、必ずプリセッションを行い、「目標」「問題」の意義を明示し、責任者と「目標」の妥当性を確認しておくことが大切です
Q4 問題(悪い結果)の表現は?
悪い現象・結果を具体的に、できれば数字で示してもらうことで、原因究明がスムースに進みます
良い例:「お客様AへのXX商品の納期が1ヶ月遅れる」など
悪い例:「余裕が無い」などの問題表現は避ける
Q5 問題は「想像」でも「事実」でもいいのか?
発言がしやすい雰囲気づくりのために、自由に問題をあげてもらうことは必要です
セッションリーダーは「それは想像ですか?事実ですか?」を確認し、付記しておきます
Q6 問題の原因分析の順番は?
慣れるまでは、問題の原因をひとつづつWhyと聞いていき、「解決策がイメージできる」レベルまで掘り下げます
慣れてきたら、最初に「この目標を阻害する要因・悪い結果をあげて下さい」と全員にポストイットを配って書かせ、そこから一つづつかたずけると、全体観がわかりあとどれくらいかかるか見積もりやすい
Q7 問題の原因はどこまで掘り下げるべきか?
セッションリーダーの経験が増えると、自ずと見えてくる。 それまでは、以下を参加者に問いかけ、参加者に判断を委ねるといい
この原因で、解決策が見えていますか?
これ以上Whyを繰り返す必要がありますか?
あまりWhyを繰り返しすぎると、「人」「時間」まで行き着いてしまい、解決できなくなります
Q8 SI (Systems Integration)er の例では、原因を掘り下げると、お客様や参加メンバーの誰かの悪口になってしまうことがある。どこまで掘り下げるべきか?
「お客様仕様変更によるプロジェクト遅延」と言った永遠の課題は、お客様・外注先などが、悪さ加減・価値観を共有して一緒に経営課題として取り組む場の設定が重要です
Q9 同じ原因が複数出てきてもいいか?
OKです
これがCPSの生産性が高い理由なんです。 先にやった問題分析の結果、判明した根本的原因が、次の問題の原因でもあれば、その検討の重複が防止できるのです
しかもその解決策が、複数の問題を解決することになります
Q10 問題(悪い結果)や原因をまとめた表現にするのはなぜいけない?
問題の原因を、汎用的・一般的に表現すると、解決から遠ざかってしまいます
問題・原因は具体的に記述することで、解決しやすくなります
Q11 問題分析は、網羅性を狙うのか、特定解を絞り込むのか?
まず、特定の根となる原因まで行きつくことが第一
参加者全員が提出した問題全てを、ひとつづつ、同様に根本原因にたどりつくことで、網羅性を担保します
例えば10人のメンバーで一人2つ問題を提出すれば 20の問題を、根本原因まで落とし込むのに10時間ぐらいはかかります
Q12 問題分析で出た「根本的原因」だけにスポットを当てて、解決策を考えるべき? 当該問題の原因分析全体を見ると、根の解決策だけでなく、他の原因もありそうだ
そういうことはあります。根本的原因だけを解決できたら、明日はよくなりますが、明後日までは視点が行っていないリスクはあります
したがって、原因分析全体を見て、背景や目標が達成できそうかを見ながら解決策を検討することは重要です
例えば、根本的原因の一覧表をながめて、相互に悪さをしていないか? それらの裏に本質的な問題がないか? などを全員で討議するのは非常に価値があり、原因の見直しにもなります
Q13 セッションリーダーの投げかけによって、同様の議題でも結論が変わることはないか?
ありえます
基本は、自分の役割に徹し(セッションリーダーは自分の意見は言わず、あくまで議論の整理・事実の確認・発言の記録)などに徹することと、参加者にセッションルールを守らせることです
ぜひ、CPSテーマのnote記事全体を見て、スキルレベルを向上して下さい
3 「解決策検討」で、よくある質問と回答
Q14 どうすれば解決しますか?と聞いてもアイデアが出ないときはどうすれば?
解決策詳しい、その道のエキスパートをセッションに呼び、アドバイスをもらうことは有効です
それでもアイデアが出なければ、下の頭文字「PRIME」で覚えておいて、切り口としてアイデアを誘発することも効果的です
Process は?
Ruleは?
IT
Management, Measurement
Education
それ以外に様々な切り口があります 検索して参考にしてください
組織の7S モデル : Structure, Systems, Style, Staff, Skills, Strategy, Superordinate goals (Shared Values)
マーケティングの4P: Product, Price, Place, Promotion
ハードの3S・ソフトの4S
製造業のQCD : Quality, Cost, Delivery
Q15 解決策が有効なものか、どうやって確認する?
この案で、根となる原因は解決出来ますか? と参加者に確認する
さらに、今まで同じ根っこで解決出来なかったことはないか? と確認し、そうであれば、違う解決策が盛り込まれていること
休憩を取ってその領域でのエキスパートの意見を聞く、またはアドバイザーとしてエキスパートに出席いただいておく
ChatGPTなど生成AIを使って、裏方事務局が他の解決案を紹介する
Q16 問題の根が掘り下げ不足だったとき
本来避けるべき事象ですが、根本原因の掘り下げ不足で、解決策が的を得ないケースになることはありえます
その時は、再度真因を掘り下げるしかありません
Q17 解決策が多すぎるなど実現があやういとき?
解決策の数が多いのは危険です。 せっかく英知が長時間集まって決めたことが実現できないと、努力が無になります
そこで有効なのは、解決策全体を見渡して、優先度をつけ、労力や投資に見合った解決策に集中することが大切です
選択と集中で、解決策をチーム一体で取り組むことが重要です
Q18 解決策はどこまで深く検討・記述すべきか?
基本は、詳しいHow toが不明でも、何をどう解決するか?というレベルでいい
理由は、優先度を後で検討するため、あまり詳しくしても、優先度が低い場合は徒労に終わるリスクがあるため
Q19 複数の解決策(案)が、前後関係は補完関係のものがあれば?
「解決策は単独で完結するもの」とすします
理由は、優先度に矛盾が出るためです
例えば、複数の一連の解決策を実行して初めて、根っこの問題が解決する場合は、その全体を一つの解決策として、重要度・難易度を決めるべきです。 一連の作業は、「活動計画」で落とし込みます
4 優先度付けで、よくある質問と回答
優先度をきめる目的は、解決策の投資効果(ROI)です
平たく言うと「根本原因を解決できる貢献度」の高いものに集中し、難易度は高いのに、あまり効果がえられないものを捨てることです。
私は、「重要度」で評価してもらい、参考として「難易度」も頭に入れてもらう2軸で、A>B>C 3段階で評価してもらっています。
Q20 優先度付けで、A>B>Cの判断は立場によって変わることはないか?
その通りです
投票する時は、自分や自部門最適で判断されないよう「事業責任者の立場になって、A>B>Cを選んで下さい」とガイドが必要です
ある部門 (例:販売) の仕事が増えて、別の (生産) 仕事が楽になる、というケースはよくあります
対立する部門では、自部門を優先したいのは性であるが、CPSでは「経営者の立場で全体最適」視点で判断してもらうことが重要です
Q21 重要度・効果度の違い
参考:昔は効果度の3軸を使っていたが、時間がかかる割にあまり意味がないので、重要度・難易度の2軸にした
迷うケース: 市場要望に答えるため、ある部門の仕事が増え生産性は下がり、解決策が生産性を下げることはある。 参加者が、経営視点で重要であれば生産性が下がってもGOの判断はあり得ます
迷うケース: 法令遵守など、経営効果がなくても、市場参入のために必要だから重要というケースもある
5 その他の質問と回答
Q22 セッションリーダーは一人でするの?
複数で実施することはありです。 チームワーク・一貫性が必要です
私は、しんどいこともありますが、丸2日間一人で運営することに慣れ、全てが自分の頭に入って整理できている状態が好きです
まとめ
私は、IBM社で使われているCPSという手法に、「ふせん」を使う会議術を追加した「ふせん会議術」を使い、お客様の問題解決を300回以上ご支援してきました。
CPS: Customer Planning Session お客様の(事業)計画をセッションという形式で検討する手法
また、ふせん会議術をテーマでセミナーを実施しており、2024年3月時点で38社412名に受講いただいています。
その中で「ふせん会議術」を実際に演習して、よくある質問(FAQ) を、問題分析時、解決策検討時、優先度付け、活動計画策定、その他に分類して、私からの回答集を掲載しました。
みなさん、ふせん会議術に興味を持っていただき、試行されたときにお使いください。
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