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ベトナム人70人と働いて学んだ海外勤務で信頼される方法

こんにちは。僕は2020年2月にホーチミンに渡って以来、1年半ほど、70人くらいいるベトナム人チームに日本人1人という構成で仕事をしています。ちなみに僕が属する会社はスタートアップ企業であり、大企業にくるベトナム人の特徴とはまた異なる可能性があります。一緒に働いた人は所謂エリート層なので、そこも異なる可能性があります。また、率いていたチームはサービス体験とオペレーション部門なので、エンジニアとは性格が大きく異なりそうです。最後になりますが、敢えてこの記事では一般化(性別、国民性など)するものの、結局大事なのは一人ひとりを見ることだということは強調しておきたいです。この記事はベトナム人と働いた経験をもとに書いていますが、他国でも応用が利くケースが多いと考えています。

・勤勉

学生時代に何度も訪れたインドネシアやフィリピンの方たちの国民性と比べるととても勤勉だと思います。上昇志向が強く、また受験戦争もそれなりに激しいです。高校生は朝7:00から夜8:00まで学校にいることもあるらしい。勤勉でキャリアアップへの意欲が高い人が多い印象です。ですので、タスクをデザインするときに、キャリアアップを目指して仕事をしている前提を強く持つようにしています。

・責任感が強い

特にこれはベトナム人女性に対して感じているのですが、とても責任感が強いです。与えられた仕事は絶対期限内にやり切ろうとしてくれます。

・やる意義をきちんと伝える

勤勉で責任感が強い分、やる意義をきちんと伝えると遂行してもらいやすいです。これは全世界共通だと思います。なぜやるのか、なんであなたに頼みたいのかをきちんと言語化して伝え、このタスクによって得られる成長機会と会社への貢献を理解してもらえるようにすると良いと思います。

・「つらい」ことはなかなかシェアしてくれない

責任感が強いことの裏返しなのですが、辛いことをシェアしてくれる人はそんなに多くないです。なので、責任感が強いのをいいことにボンボン仕事を投げてると言い出せないまま限界を迎えて辞めてしまうケースもあります。責任感の強さをしっかりと理解し、日々の1on1ミーティングで、仕事量が多すぎないか、適切に学べるようなタスクのデザインになっているかを確認しています。

・たくさん飲みに行きましょう

つらいことをシェアすることがあまりなかったり、上司への相談文化が少ないので、とにかく信頼してもらえるように飲んだり食べたりすると良いと思います。そこで家族の話や、これまでの仕事の話、週末の話など、を聞くことで、「こういう性格なんだなー」という理解が進むし、また相手にとっても仕事以外の上司の姿を見ることで、色んなことをシェアしやすくなりそうです。

・とはいえある程度の距離感も大事

結構この何でも言えるというのはバランスも大事です。バランスを崩すと緊張感が簡単になくなってしまうケースもありました。なので厳しく指摘する場面は心を鬼にして、きちんと距離感をとるというのも必要です

・上司に相談する文化はそんなにない

上司に相談して仕事内容を調整したり、というのが実はあまり文化的にないのかな?と思ったりします。話を聞いてみると、ベトナム人マネージャーは結構トップダウンで仕事を落としていくケースが多いらしく、これまでのキャリアでは受け入れざるを得なかったそうです。また、辞めるときに引き止めるみたいなこともあまりないらしく、僕が全力で引き止めていたらびっくりしていました(後にそのメンバーは戻ってきてくれました)。ベトナムでは1ヶ月前に言えばいつでも仕事を事実上やめられてしまうので、かなり強い信頼関係を作る必要があります。

僕の場合、何度も「あなたの成長に貢献したい」「タスクがきつすぎたり楽しくなさすぎたらちゃんと言ってほしい、責任持って変えるよ」「長く続けてほしい!」などとしっかり言語化して伝え続けたこと、また僕自身の弱みをさらけ出していくことで徐々に信頼してもらえるようになり、ボトムアップで意見がたくさん出るようになりました。 

・相談の仕方に特徴あり 

結構たくさん遭遇したのが、「相談があるんだけど、、」とslackで送られてきて、「どうしたの?」ときくとしばらく返事がなくまさかやめるんじゃ、、とめちゃくちゃ不安になることがありました。結構周りに気を遣う人が多い印象なので、敢えてこういう頼み方をするのかもしれないですが、毎回こういうメッセージを受けていると気持ちが持たないので、どう伝えてほしいかをフィードバックするとわかってもらえます。「いつでも相談にもちろん乗るから何でも話してほしい!でも質問するとき、相談内容も一緒に含めて送ってもらえると変な心配しなくてすむからありがたいな!」

・育成文化、フィードバック文化はまだ始まったばかり

メンバーから話を聞いていると、あまりクリティカルなフィードバックを受ける、ディスカッションするということを経験している人が少ないように思えました。フィードバックをすると落ち込んでしまう人もいたので、「これはフィードバックで、お互い仕事を良くしていくために言うからね」という前提を共有するようにしています。

また、上司に対してもフィードバックして問題ないんだ!と心から思ってもらうことが大事です。「僕のマネジメントどうかな?やりにくくない?はじめてのマネジメントだから勉強したいんだよね」などというと色々教えてくれて、マネジメントの改善ができました。

・マーケットの給与は常にモニターする

日本などだとある程度ハイキャリアになってくるとお給料より重要なことを考え出すと思いますが、僕の持つベトナム人の印象では、例えベトナム国内においてハイキャリアでも給与に不満があると出ていかれていきやすいと思います。やはりまだ経済成長真っ只中なので、毎年ガンガン給料は上がりますし、マーケットを常に見て、競争力のある給与を渡せているかを確認するのがとても大事です。

・承認欲求はそれなりに強い

これまで働いたところで言うと、ベトナム人男性は結構周囲から認められたい欲が僕の知る日本人より強い気がしています。ですので、成果が出たときは思い切り褒めるというのも重要だと思います。

これは全世界共通だと思いますが、怒るときは1on1で、褒めるときはみんなの前で、というのは意識すると良い気がします。例えばslackで大勢の人の前で指摘されると必要以上に頑固になってしまってわかりあえないなんてケースもあるので注意が必要です。

・自分の当たり前を求めない

これも全世界共通だと思います。特に日本の仕事文化は特殊です。それを当たり前だと思って異国の文化に適用しようとすると大変です。ですので、なぜそれが当たり前でないのかを理解し、上記で述べたフィードバック文化を醸成したのちに、なぜやるのかを伝えていくのが必要です。

例えば、ミーティングのアジェンダをきちんと用意してこない、時間通りに来ないみたいな事象が時折発生し、全く生産的にミーティングが運ばないことがありました。そういうときは敢えて何も言わずにミーティングを進めてもらってみて、なんで生産的にいかなかったのかを後ほどフィードバックします。肌感覚で、「なるほど、アジェンダ用意したほうが生産的なんだな」ってわかってもらえればみんな勤勉なので次からはしっかりやってくれます。

・最後に

これも全世界共通に思えますが、とにかく相手を愛することから始めると結構なんでもうまくいく気はします。ベトナムの方は他国と比べても、困ったときに人を助ける文化はすごく強いと思います。相手の人生を理解し、寝食を共にする気持ちで向き合っていると自ずと相手もわかってくれて、めちゃくちゃ助けてくれます。参考になれば幸いです。

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