暖かい日差しが降り注ぎ、車内には光が満ちていた。私は前の方の席に座っていた。隣を見るとアミが座っていた。小学生の時の親友だ。 バスの中はとても静かだった。エンジンの音がしないまま、流れるように走っている。道は、山の斜面に沿って緩やかに上って、カーブの先は見えない。私は再びアミを見た。彼女はうつらうつらとしている。 駅にとまった。駅にとまるから、これは電車なのかもしれない。プラットホームにはたくさんの人がいた。窓のガラス越しに、子供を抱いた母親が見えた。私が、席を譲るべきなのだ
「ここはいわゆる現実ではありません」 「でも先生。ここは現実だよ」 だよねえ、と他の生徒も頷いた。 「定義によってはそうでしょうね。しかし、もしあなた方の身体が他の世界にあって、そしてその身体からあなた方は思考しているとしたら。他の世界にあるはずのその身体が死んだ時にあなたが死ぬとしたら。実はその世界の方が現実なんじゃないか、とは思いませんか?」 「えー、死ぬってなあに?」 「思わないよ。だって僕の身体はここにあるし」 「ここにいるって感じるもん」 生徒は口