長い夜を歩くということ 98
彼は頭の上から熱がゆっくりと抜けて消えていくのを感じた。それは仕事で部下が大失敗を犯した時の対応を考える時に似ていた。そして、そんなことが何よりも先に頭によぎった自分が許せなかった。
しかし、感情はついてくることはなかった。
「真二はね、知ってたんだよ」
彼女はまだ流れる涙を拭きながら、それでも、どうにかして私の知っている彼女であろうとしている。彼はそう思った。
「昨日の人に会う前からずっとね。私と一緒にいるってことがどういうことなのか。だから、知ってたから、私と付