農的生活序章~これから都農町で実践したい農ライフ~

「コンパクト農ライフ塾」というものに9月から通っている。正確には通っているのではなくオンラインで講座を受けている。都農のとある財団が僕らの組織のために枠を確保してくれて、僕が受けることになった。1コマ3時間×2コマで1日6時間、毎週土曜日朝10時~16時まで、ほぼぶっ通しなのでなかなかヘロヘロになる。1コマずつ講師の先生がいて、講義・質疑応答含め2時間、そのあと受講生で振り返り1時間という形。受講生は25人、そのうち僕を入れて5人が都農在住、僕以外みな現役農家。他の受講生は現役の人と未経験者が半々くらい。動機もさまざまで、なんとメキシコからの受講生もいる。オンラインってすごい。その方は奥さんの体調不良をきっかけに食に関心を持ったそう。前回、カレーとスパイスとメキシコ料理とサッカーとラテン音楽の話で盛り上がった。近々メキシコに会いに行こうかなと思っている。

今僕が所属しているツノスポーツコミッションという団体はJ.FC MIYAZAKIというサッカークラブと都農町とで三位一体となって様々なことを行っている。その中の大きな柱が農業部門である。都農町の現状としては農業従事者の減少・高齢化、継承者不足など、どこの自治体も抱えている問題があり、僕らに出来ることはなにかを模索している最中である。その農業部門を一緒に加速させる「仲間集め」も、僕に課せられた重要なミッションのひとつである。

さて、この塾は「コンパクト」とあるように誰でもすぐに農業を始められようにするというのが謳い文句であり、いきなり大規模農園を経営するというような話ではなく、出来ることからやっていって農業ビジネスを始めてみようという感じのものである。
1つの考え方として提示されたのは、農地を探すというところから始めるのではなく(それでも良いが、時間がかかってしまうので)、まず農家の知り合いや友人を増やして、そこから野菜などを買い、加工し(自分でやっても業者に出してもよい)、商品化して売る、そこでまず利益を得てから何かを自分たちで育ててみるでも良いのでは、という農ビジネスである。なるほど、僕らが都農町で廃棄物野菜を使って加工品を作ろうとしている考え方と同じだ。
僕も少しだけ農業経験があり(そのことはいずれまた書くと思うが)、土地を5反借り、無農薬でお米を作るだけでもいろんな意味でしんどかったので、このプランは現実的だなと思う。いずれは組織としても個人としても農場を持ちたいなとは思うけれど。

この前のテーマは「農テクノロジー」と「流通」の話。農テクノロジーの話はドローンを使ったりロボットを使ったりという、いわゆる「スマート農業」(僕は胡散臭いと思っている)の話かと思いきや、あなたはこれからどう生きますか、という「哲学」の話だった。流通の話も決して耳障りの良い話ではなく、「自分が歩いた距離に売り上げは比例すると思う」という、ありきたりかもしれないが商いで大切なのは「人」であるということを再確認させてくれるものだった。
合わせて、今後考えなくてはならないのが「自然環境」についてである。地球環境はかなり危機的な状況であるという話をよく聞く。農業をするにはこの問題がついて回る。これは今後避けては通れない。これについては勉強中なのでまた書きたい。

僕は「農的生活」という言葉が好きである。農を生活の一部に取り入れること。これは歌手の加藤登紀子さんの夫で農家・活動家だった故・藤本敏夫さんの本で知った。藤本さんは同志社大学の大先輩でもあり、僕の尊敬する人物の1人である。自分なりの農的生活をガツンと進めていくために、走りながら考え、考えながら走っていこうと思う。
時には立ち止まり(「時には昔の話を」という歌もあるけれど)、そうすることでしか見ることの出来ない景色を楽しみながら。

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