見出し画像

最近のできごと(10月31日〜11月6日)

■10月31日
 朝9時ごろに起きる。昨日遊園地に丸一日遊びに行ったオットは布団と一体化するようにすやすや寝ていた。10時になる前に図書館に向かう。午前中の図書館は空いていて、原稿がはかどった。
 仕事の嫌な連絡がきて、面食らいそうになるがこらえる。嫌なことレベル1を容易にレベル100に押し上げてしまう症状が出る前に、胸をさすり「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせた。最近この儀式をするとパニックに陥らず、薬を飲む回数も減った気がする。
 昼はオットが街の惣菜屋で買ってきたとんかつでカツ煮をつくってくれ、昨日の残り物とともにかんたんに済ませる。午後から図書館へ行って原稿作業。前の席の人のエンターキーを押す音がかなりうるさく、ちょっと不機嫌に。
 日記を書くときはいつも悪いことがあった日ばかりだった。痛みなく晴れやかでおだやかな日もあるということを証明したくて、毎日短くてもいいから日記を書いてみたいと思った。

■11月1日
 昨日の夜、症状が出て暴れたせいでぐっすり眠る。通院日だったが、薬はまだ十分にあるしと理由をつけて、来週に持ち越すことにした。朝はたけのこの里を食べる。
 喉が枯れるまで叫び、ぼたぼたと涙を落とし、力いっぱいオットを殴る自分を止められない。どうしてそういう行動をしてしまうのか、ちょっと前まで「自分でもわからない」と考えることを辞めていた気がするが、これからはしっかり考えていきたい。昨日はそう思った。
 思い込みが激しくそれによって行動が制限されてしまうこと。相手を信じることができず、飲み込めないこと。事実と思い込みが曖昧になってしまうこと。これもどれも捨てたい思考の癖である。いくら殴られてもやり返さず冷静に居続けるオットに頭が上がらない。
 今日も図書館に行くも、集中できず胸が痛くなったりしたので夕方早めに帰宅。2時間くらい昼寝。夕飯は冷凍の餃子を焼いて食べた。オットが作ってくれたニラを刻んだ特製ソースがおいしかった。昼寝をしたというのにずっと眠くて23時ごろにもう布団に入った。昨日の夜の症状の疲れがまだ残っているのかこんこんと眠る。

■11月2日
 二度寝をしながら9時ごろ起床。顔の薄い男と嫌々ながら付き合う夢を見て目覚めは悪い。朝twitterを見たらいしだ壱成がまた20歳も年下の彼女ができたとニュース。どうでもいいと思いながらこういうの見てしまう。
 今日も秋晴れ。いつまでこの過ごしやすいいい天気が続くのだろうと考えながらコンビニまでコーヒーを買いに行く。今年の冬は寒いらしいので「着るこたつ」を買う予定。仕事は一件入稿した。

■11月3日
 祝日なのでゆっくり起きる。昼は、三鷹にあるラーメンの名店に行こうと店の目の前まで行ったのに、行ったことあったじゃん!となる。なんか見たことある道だったんだよなあ。以前病院帰りに寄ったけれど、そのとき飲んでいた抗うつ剤の副作用で強烈な眠気に襲われ、近くの公園で寝たという思い出つき。
 行ったことあるのならやめようということになり、近くのうどん屋へ。オットのカキフライ釜揚げうどんは正解。私の九条ネギうどんは微妙だった。その後は吉祥寺にキッチン用品を買いに行きそのまま早めに帰宅。夕飯は買ってきたグラタン皿をさっそく使い、牡蠣グラタンにした。
 ワインを飲みながら、つくったグラタンをおいしいおいしいと言い合いながら食べるささやかな日々が幸せだということを忘れないようにしたい。世の中の小さな棘につまづいたり自分の存在意義を考えたり、自分の思考の癖に振り回されがちだが、ちゃんと幸せの実感があるんだ、ということを忘れないように生きていきたい。

■11月4日
 祝日明けの金曜日は力が入りづらいのは全国誰でもそうだろう。でも今日頑張れば明日休みなので頑張る。朝生理痛でお腹が痛かったけど、ダルさ指数はそんなにない。
 新しい仕事の依頼が入った。仕事的な蓄えはないのに8月から依頼を断り続けて4ヶ月、それでもまだ声がかかるのはうれしいし、自分がこれまでやってきたことを評価されたみたいでうれしいし、フリーでまだまだやっていけたんだなと安心感もある。
編集者から校正者にジョブチェンジしようとしている現在、いい流れなのかもしれないが、“職人気質”があるのか10年続けてきた仕事を変えることに抵抗があった。本当のプロは嫌でも続けるんじゃないか。何十年もやってこそ本物になれるんじゃないか。そういった意識が何度もよぎる。でもオットいわく、転職は掛け合わせを増やすいい作業。昔は同じ仕事で同じ会社にいることが最も良しとされてきたけど、AもわかってBもできるしCの経験がある、とそのジャンルの唯一無二の人になれるというのだ。なるほどと思い、前向きに転職しようと思った。まだ資格も取ってないし職務履歴書も転職会社に提出もしていないけど。
 今日はかなり仕事が進んだ。集中してなにかできるのってすばらしい。
 夜は友達Mと久々に飲みに新宿。二人目を考えているというMには私がノンバイナリーだということ、だから妊娠出産を恐ろしいと考えていること、本当のことは口が避けても言えない。子供が生まれ当たり前のように自分だけが時短勤務になり子育ての大部分を担うことが夫と話し合いもせずに決定されていたことに憤慨するMの気持ちに寄り添った。

■11月5日
 朝ランニングをしようと思ったが断念。夜までだらだら過ごして、最近飲み会続きだったから温野菜に行って野菜を食べようということになり駅前へ。しかし温野菜が潰れていた! 仕方なく高架下の赤ちょうちん系の飲み屋に行こうかという話になったが、偶然見つけたインドカレーへ入ったところこれが大正解。今年食べたもののなかでいちばん美味しかったんじゃないか。スパイス料理は日本の食べ物と違い、足し算の調理だ。そもそも複雑な味付けがされているものに、さらに甘辛いソースをつけたりする。癖に癖を掛け合わせると味が大喧嘩しそうだがうまい料理はそうならない。「二人でこんなに食べてくれてありがとうございます」と店員にわざわざ感謝されるくらいの量を平らげ、大満足で帰宅した。

■11月6日
 遅めに起床。昨日の夜ごちそうを食べたので昼は野菜たっぷりを意識して作った。今日は夜に弟と弟嫁とその兄との飲み会があり、それまで家でダラダラ過ごす。
 飲み会はものすごく楽しかった。全員が全員を置いてけぼりにせず楽しめるようにいいかんじに気を遣い合っていたのがよかった。お酒も飲んだし煙草も何本か吸った。こんなに楽しく他人とお酒を飲めるのは久しぶりだったし、徐々に私は雑談をすることに慣れてきているのだと思う。でも、同時に、ずっとゆるやかに絶望しながら生きていくのだなあとぼんやり考えた。
今日ずっと応援していたアイドルが結婚を発表した。すごくおめでたいことだ。SNS上は、今後のライブでは結婚後の新姓を使った挨拶をするだろうとかいい奥さんになるだろうだとか素敵な家庭を作ってねだとか、そういう言葉で溢れていたが私はついていけず複雑な気持ちだった。推しを誰かに取られたという寂しさではなく、今まで応援していた女の子が結婚し属性が変わり新たな人生に変わるということ。今日夜の弟嫁たちとの飲み会の場では当たり前に家庭の話になり男が家庭で料理をする話題になるとへぇと大げさに驚かれた。定時で終わっても残業のふりをして会社でゲームをしていると言う、子供が二人いる弟嫁の兄はどれだけ自分の子育てをしているんだろう。そういう疑問も浮かんで消えなかった。
 人が生まれ結婚し家庭が成る生業を主としている人間の社会にいる限りは、今後こういうのを何度も目にしていくことになる。それが普通だから。普通のことに疑問を抱く私のほうがおかしいから。この人生を生きるのはそういうことだ。
 自分も結婚という契約をしている身だということを考えると前にも後ろにも進めなくなる。どうしていいのかわからなくなる。なぜ結婚したのかわからなくなる。ちょっとずつ嫌な思いをしながら私は削れていく。削れずに生きていくには人と全く関わらずに生きていくしかないのだろうがそれは現実的ではないことも知っている。

今度一人暮らしするタイミングがあったら猫を飼いますね!!