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#189 大学サッカーで得た3つの学び(長坂拓紀/4年)

こんにちは。
筑波大学蹴球部4年の長坂拓紀です。
遅ればせながら部員ブログを書かせていただきます。
4年間筑波大学蹴球部で過ごしてみて、高校まででは経験できなかったたくさんの経験をすることができました。そんな刺激的な4年間の中から、最も印象に残っていることを3つ紹介します。
蹴球部の仲間のカッコよさを感じた話、人生で最も大きな挫折、サッカー観の変化といった内容になっています。
ではさっそく一つ目の話からどうぞ。

1.アウェー応援
 4年生時のIリーグでの話。Iリーグはホーム&アウェー方式で行われていて、ホームでは他チームの部員が応援に駆け付ける。アウェーは試合を行うチームだけで行くのでもちろん応援はないのだが、ある試合の時、ベンチ外だったある4年生の選手が突然声出し応援をしようと言い出した。僕もその日はベンチ外だったが、その言葉を聞いた時冗談だろうと軽く聞き流していた。他チームの応援をするならわかるが、自チームの応援をするなんて馬鹿げている。味方だけど競争をしているライバルでもあるし、4年生が率先して声出し応援をするのはダサい。人数も少ないし恥ずかしいなと、これが正直な心の内だった。だから、どうせみんなもやらないのだろうと思っていた。でも試合が始まると、ベンチ外のある4年生が当たり前のように相手の応援団の横に並んで声を出し始めた。相手の応援団20人ほどを合わせた声よりも大きな声を一人で出すその人の姿を見て、かっこいいと素直にそう思った。その人に引っ張られてベンチ外の選手全員で大声を出して応援したが、きっと全員が初めから全力でやる気があったかといわれるとそうじゃないと思う。何のためらいもなく全力で声を出す人間に引っ張られて、これでいいんだ、という勇気をもらったのだと思う。自分がベンチ外という立場にあってもチームのために、仲間のために全力を尽くせる。自分のちっぽけなプライドなんか一切持たないで、人のためを思って行動できる。そんなかっこいい人間が蹴球部には溢れている。昨年度のチームのビジョンは「愛し愛される存在」だった。彼らは確実に仲間のこと、チームのこと、蹴球部に関わる全ての人を愛していた。そして愛されていた。

2.キャプテンの言葉
 それは4年生の夏ごろ、キャプテンと僕ともう一人の部員の3人でプロの試合を観戦しに行った帰りの出来事だった。3人でたわいもない会話をしていたが、自然と話題は蹴球部の話になった。その会話の中でキャプテンがある言葉を放った。「TOPチームのやつらはJ1で活躍する基準で毎日練習している」。その言葉を聞いた瞬間、時が止まった感覚がした。それ以降の会話はほぼ覚えていないほど、僕にとって強烈な言葉だった。僕は蹴球部でTOPチームに昇格し、関東リーグに出場することを目標としていた。だが、一度もTOPチームに昇格したことはなかった。それでも今のチームで結果を出せばいつかTOPチームに昇格できるだろうと思っていた。だが、現実はそう甘くなかった。僕が目指している場所にいた人たちは、その遥か先のJリーグで活躍する基準のプレーを自身に求めていた。そりゃ届くはずない。目指しているところが違いすぎた。このことに気が付くまで4年間もの時間を費やしてしまった僕は、言い訳をする余地など一切なく、現実を受け入れるしかなかった。  
これまでプロサッカー選手を目指してサッカーを続けてきたが、それは目指しているつもりだったのだと気づかされた。大学を卒業するタイミングでプロになることを想定していたのなら、大学サッカーのTOPチームではなく、Jリーグの基準を自身に求めなくてはいけない。いつ、どのタイミングでプロになりたいのか。それはどうすれば実現できるのか。本当にサッカー選手を目指すなら、明確に道筋を描く力が必要だったと思う。今回の挫折で得た教訓は一生忘れることはない。この経験から得た教訓は次の4つ。

・何かを志すときは、目指す場所にいる人たちがどのような想いで何を目指しているのかを知るところから始めるべし
・目標を立てるときは、いつ実現したいのかを明確にし、行動まで落とし込むべし
・心から実現したいと思えるところを目指すべし
・活躍している人たちは、相応の努力をしていることを知るべし

 この教訓を胸に頑張れ、自分。

3.Iリーグ最終節
 4年時のIリーグ最終節では、後輩たちが集中応援企画を開催してくれた。2軍以下の選手にも関東リーグのようなたくさんの観客の中でプレーする機会を作りたいという思いから企画が立ち上がった。当日は応援部員を合わせて500人ほどの観客の方が集まってくれた。蹴球部と地域とのかかわりの深さにも感激しつつ、たくさんの応援の中でプレーできる喜びを感じながらピッチに入場した。応援は4年間で一番大きく感じて、体中が振動している感覚だった。本当にすごかった。胸が熱くなった。試合も熱い展開で、決めるべき人が点を決め、キャプテンも待望の復帰を果たし、勝利で締めくくることができた。サッカーを始めたときから夢に見ていた、たくさんの観客を自分のプレーで沸かす瞬間を味わうことができた。これまで高校も大学も1軍に上がれなかった。たくさんの観客の前でプレーする仲間たちを、スタンドで応援することしかできなかった。ずっと夢見ていた場所。だからこそ、心から嬉しかった。
試合前は、この試合が終わったらサッカーやり切ったと思えるかなと考えていた。だが意外にも、試合を終えた自分の感情は、「サッカーをもう一度やりたい」だった。これまではサッカーが好きだから、高校サッカー選手権に出たいから、プロサッカー選手になりたいからなど、自分のためにサッカーをしてきた。でも、応援してくれる観客の前でプレーするという経験は、自分のプレーで見ている人や応援してくれている人に勇気や感動を与えられるという、学びを僕に与えてくれた。そしてこれは、サッカーが上達したとか、試合に勝ったという喜びをはるかに上回る喜びを得られるということも知った。この経験から、社会人チームでもう一度サッカーを続けることを決断しました。そして、80歳まで現役でサッカーを続けるという目標もできた。僕の人生を変えるような機会を作ってくれた後輩たち、応援に駆けつけてくれた部員のみんな、試合を見に来てくださった方々に心から感謝しています。ありがとうございました。

以上で僕の部員ブログとさせていただきます。
これからの筑波大学蹴球部をずっと応援しています。
ありがとうございました。


筑波大学

体育専門学群4年

長坂拓紀

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