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時計で人をみる


 Twitterにこんなつぶやきがありました。「新社会人の頃、先輩から『腕時計だけは高価な物を身につけていろ』と言われて、無理して高い腕時計を買ったけど、何もいいことなかった」というのです。このアドバイスに悪気はないのだと思います。
 人をみるときに、時計でみる時代はあったんでしょうね。高価な腕時計しか正確に時を刻まない時代があったのです。
 私が子どもの頃、私が最初に任された家事は、毎日、家中の時計のねじを巻いて、時間を合わせることでした。当時の時計はゼンマイ時計でした。毎日、数分ずれていました。その頃はNHKの7時や9時のニュースの前にはテレビに時計が大写しになって、正確な時間を教えてくれた物です。
 その時代、高級な腕時計をしているということは、「時間を大切にしています」というアピールになったのですね。安い腕時計は時間がずれやすかったのでしょう。
 クオーツショックと呼ばれる時計業界の大きな変化があって、安い時計でも、正確な時間を刻むようになりました。そうなると、高い時計をしていることに、あまり意味はなくなってしまったんですね。
 私が学生の頃、「クツとカバンはいい物を身につけろ」と言われていましたが、今はどうなっているんでしょうかね? 最近は、お値打ちなクツやカバンもしっかりしています。
 こういうアドバイスは時代によって変わりますね。私も若い人に時代遅れのアドバイスをしないように気をつけないといけません。そもそも今時の若者の多くは腕時計をしていません。
 私に出来るアドバイスがあるとしたら「身につけている物で、その人の事がそんなにわかるなら、そんな楽な話はない」です。
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イラスト by えすあいえふ

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