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ヒーロー達が死んでいく


 子どもの頃のある日。私はテレビを観ていました。台所で母が夕飯の支度をしていました。ニュース番組で、アナウンサーが誰かの訃報を伝えました。私は見たことも聞いたこともない人でした。しかし、台所の母が「え?」と叫んで、テレビの前に駆けつけて、釘付けとなりました。あんなに動揺した母の姿を見るのは初めてでした。
 私も年を重ねました。子どもの頃、憧れたヒーロー達が、次々と他界していく年となりました。思わぬ訃報に耳を疑い、テレビに釘付けになることもあります。
 あの時、母をテレビに釘付けにしたのは誰だったのか思い出せませんが、母にとっては大きな存在だったんでしょうね。
 延命長寿。長生きは素晴らしいけれども、それだけたくさんの訃報に接しなくてはいけないということでもありますね。訃報になるのも、訃報を聞くのもイヤだなぁ。

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イラスト by しんたこ

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