水先案内ネコ
2007年1月、私が永年かわいがっていた飼いネコのマリーが死にました。大阪で生まれた猫ですが、私のアメリカ留学に付き合って海外生活を経験したネコです。飛行機のチケット代は、ネコの方が高かったのを覚えています。またしても、私の都合で名古屋に引っ越すことになり、むりにこちらに連れてきて、申し訳ない事をしました。一般的に、ネコは引っ越しが嫌いです。
後に動物供養をやっているお寺がある事を知るのですが、当時、私は知りませんでした。近所の人に相談したら、八事(やごと)斎場で動物の死体も受け付けてくれることを知りました。名古屋の方にはおなじみですが、当時、名古屋には火葬場が八事にしかなかったのです。庭に埋めうめることも考えたのですが、どうせなら人間と同じように供養されて焼却された方がいいだろうと八事斎場に行くことにしました。
八事ならいつもは電車で行くのですが、猫の死体をもって電車に乗るのも申し訳ないので、車で行くことにしました。当時、私は車の運転を始めたばかりで、ドキドキしながらやっとの思いでたどり着いた記憶があります。
一週間後、同居していた祖母が他界しました。
喪主は母でしたが、もう認知症の症状が出ていたので、私が実質的な喪主でした。もちろん、八事斎場に行きました。私は霊柩車の助手席に座りました。喪主の母が乗るべきですが、認知症の母と二人っきりにされては運転手さんも気の毒ですからね。流石、霊柩車の運転手の方は運転が丁寧でうまいです。
猫のマリーと祖母、続いての不幸でした。近所の人は「ネコは先に死んで、水先案内をしているのだ」と言っていました。
猫というのはそういう不思議なことをするのかもしれません。
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イラスト by jumsica
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