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『1980年代から見た日本の未来』

【2019年以降注目のマーケティング関連書籍】その14

『1980年代から見た日本の未来』

 著著:三浦展
 出版社:イースト・プレス
 第1刷:2019年2月10日

1980年代から見た日本の未来

1. 本書を読んだ背景

三浦展(あつし)氏は私のロールモデルだった方なので、ごくナチュラルに購読しました。

2. どんな人に向いているのか?

amazonのカスタマーレビューで低評価をつけた方のレビューを読まれるとわかりますが、本書では「未来予測」はしておりません。
そのあたりは、著者を責めるのは酷で、書店の平場で目立つため“タイトル命”という出版業界の「マーケティング」の問題です。
よって、安易に「未来はこれこれこういうことが起きますよ」ということを期待される方は、読んではなりません。
サブタイトルにあるように、2030年を予測する「視点」、この「視点」がどういうものか興味がある、できるものなら身に着けたいと考える方にはお薦めです。

3. 本書のポイントと感想

3-1. 著者が社会人になられてから長年活躍された“舞台”であるPARCOの『アクロス』。本書で引用された文章を読むと、僅かに時代性を感じる単語に「オヤッ?」と思うものの、これ、ホントに80年代の前半とかに書かれた文章ですか!? と言いたくなるほどです。つまり時代を感じさせない、ということで以下のような所感になるわけです。
 
3-2. 著者よりも年下ながら、実際に80年代を生きてきた私の所感ですが、2021年の現在まで世の中、変遷を重ねてきたものの、「流れ」ってのは連続してるもんですね、としみじみ感じました。。
 
3-3. 一貫しているということにもなりますが、本質と現象(深層と表層)という視点では、以下に引用するような「本質」、自分が言いたいことを短く的確に仰せられていて、胸がスカッとしました。
モダンとポストモダン。80年代の吉本隆明が「コム・デ・ギャルソン」着て『an・an』もこれでしたね(笑

「近代合理主義者も左翼革命家も、過去を否定し、近代の矛盾をすら乗り越えて、未来は今よりよくなると信じる人々であるという意味では同じであった。だから、学生運動の闘士たちは簡単に経済戦士に転換したのだ。世界中が同じ法則にのっとって共産主義へと進化すべきだと考えるマルキシズムは、世界中がナイキとギャップとコカ・コーラとウォルマートになれば世界中の人々が幸せになれると考える今日のグローバリゼーション勢力と同質である面があった」(172ページより)
 
吉本隆明の「コム・デ・ギャルソン」も『an・an』というポストモダンも実は「表層」でしかなく、グローバリズムが席巻した後の現在でもモダンとポストモダンの「断層」はなかった・・・
もちろん、賛否両論はあるでしょうけど。

以上です。

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