『アパレルの終焉と再生』
【2019年以降注目のマーケティング関連書籍】その7
『アパレルの終焉と再生』
著者:小島健輔
出版社:朝日新聞出版
第1刷:2020年12月30日
1. 本書を読んだ背景
私が初めてマーケティング・リサーチ(B to B産業調査でしたが)の世界に足を踏み入れたときの対象業界はアパレルだったわけです。
なので本書の著者、ファッションマーケティングの巨匠、“コジケン”こと小島健輔氏の著作は。
と言いましても自分のお金で買った“コジケン本”は初めてだったりします。
2. どんな人に向いているのか?
ズバリ、経営者、ファッション・アパレル以外の全ての業種の経営者でしょう。
あとはコンサルタントですね。
これも業種を問わず、バブル崩壊以降の日本の多くの業界が凋落し、日本経済が30年も“失われてしまった”構造を把握できます。
3. 本書のポイント
3-1. 上述のように30年以上の“失われた”日本経済の本質を、アパレル業界構造・環境の変遷を通して理解できます。
------- 「はじめに」より引用 -------
シーズン毎にトレンドを仕掛けて買い替えを煽り、あの手この手で「ブランド神話」を創造して付加価値を乗せ、過剰に供給して過半が売れ残るアパレルの多産多死型ギャンブル流通がコロナ・クライシスで行き詰まり、過剰な店舗やブランド、過剰な企業や雇用が、潮が引くように消えていく。ライフスタイルや社会関係の中でファッションが果たす役割も大きく変わり、お洒落のセンスやクラスを競い合うマウンティングの必要も薄れ、アパレル業界ろファッションメディアが結託して消費を煽ってきた「ファッションシステム」も歴史的使命を終え、「ファッションの世紀」が終わる。
3-2. マーケティングリサーチといっても、B to Cのコンシューママーケティング“だけ”に携わる皆さんは違和感を感じるかもしれませんが、数字、数字、数字がこれでもかと出てきます。
そして、百貨店を含めた業界構造の仕組みも詳細に解説されており、トータルなマーケティング思考には不可欠なんですね。
3-3. たとえば、あの三陽商会の経営層を“無能”呼ばわりできる。
こういう論客がおられるほうが業界は健全なのかな? と思います。
4. 感想
次は、ストライプインターナショナルさんとかアダストリアあたりの新興勢力について、コジケンさんはどう分析されているのか?
そんな本を期待しております。
以上です。
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