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幸せに生きる方法㉜

住み家も自分で決める

 大学まで自転車で5分の位置に立地するレストラン付きのアパート。私としては、ここしかないと思いました。アパートの管理人さんも良さそうな方です。
その管理人さん、「医学部生さんはもっと近くに住む方が多いですよ。雪が積もるとここから通うのもたいへんですからね」とも言われました。
 息子は、「ここで良い」とも「ほかが良い」とも言いません。管理人さんの助言もあったので、大学の近くの物件も見ることにしました。
大学受験の下見に行った時に、大学のすぐ前に高いマンションがあったのを見て覚えていました。まさに、徒歩1分の立地。
 そのマンションに入ってみると2階にまだ空室があるようです。価格も手頃でした。
管理人さんに部屋を見せてもらいました。今朝、松江を出発してここにたどり着いたと伝えると驚いておられました。
 不動産会社も来られ説明を受けると息子は、「ここが良い」と言いました。
自炊になるし、家具・家電製品も揃えなければなりません。ただ、本人がここに住みたいというのであれば、やむを得ないと思いました。
 
 このマンションは、確かに医学部生さんがほとんどのようです。「医学部生さんは勉強が忙しいですから、ここからでも朝方、大学まで走って行かれたりしますよ」と不動産会社の方は言われました。
息子は、もう気持ちが前のめりなのでしょう。「自分で決める」またもや以前と違う息子の姿勢を感じさせられました。
 私は、その日が初めての福井での宿泊。翌日、不動産会社とマンションの契約を締結し、一路、息子とともに岡山へ。そして、岡山で息子を降ろして松江へ帰りました。
息子は1週間ほど岡山で過ごし、いよいよ松江へ引き上げました。
 
 引っ越しの荷造りが終わり、予備校に挨拶に行くと校舎長さんが待っておられました。
この人なくして、息子の将来はなかったと思います。
校舎長さんは、「この度は本当におめでとうございます。勉強のほうは大丈夫でしょう。あとは友達をつくることですね」と言われました。
 予備校の立場も因果なものです。苦しい時、喜びの瞬間までは時間を共有できるのに、それが終わるとお別れしなければなりません。
息子が人間としても成長したであろう岡山の地に別れを告げました。

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