デザインと教育の関係

ある教育者の集まりに参加して、ショックだったことがある。そこは、「STEAM教育」に興味がある教員を中心とする人たちの集まる場だった。

たまたま話をした人たちは、ほとんどが小学校、中学校の教員だった。話の流れで、「デザイン思考」という言葉を使ったところ、そこにいあわせた約10人すべてがその言葉をはじめて聞いたという。

ぼくが認識しているSTEAM教育は、Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM教育」に、 Art(芸術)を加えて提唱された教育手法であり、社会の大きな変化の中で活躍できる人を育てようとする試みだと考えている。

これまでの価値観や組織、やり方ではなく、チームでイノベーションを生み出す参加型のデザイン活動である「デザイン思考」と、プロジェクトの企画・提案などを通じて、主体的で深い学びの場を目指す「STEAM教育」は、かなり関係が深いと思っていた。

教育関係者は、教育のことに関心が深いけど、実際の社会や企業でおきていることには、関心がない。と思わずにはいられなかった。でも逆に、デザイン関係者が、STEAM教育やアクティブラーニングやPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)に関心があるのかと言えば、それはそれで心もとなない。

デザインの世界と、教育の世界。そこには、大きな壁が立ちはだかっている。社会が変わり、デザインの役割が変わっているように、社会が変わり、教育の役割も変わっている。変わる理由は、どちらも社会の変化。そうであれば、同じ目的地を共有しながら、お互いに、良い関係をきずけるはずだ。

デザインも教育も未来を育てていく試み。この二つの方法が、しっかりと手を結んだら、未来はもっと面白くなる。専門家だけでなく、誰もがデザインにも教育にも関わっている。身近な存在だ。

教育を多くの人に開く。そのためのデザイン。そして、デザインを多くの人に開いてく。そのための教育。デザインと教育がもっと仲良くなっていく。





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