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熟成と熱燗

今回は、メーリングリストでご案内させていただきました亀の尾Autumnの説明に加えて、日本酒における熟成と燗酒のお話をさせていただきます。

秋になり、春に詰めた別囲いの亀の尾が美味しくなったので「Autumn」と名付けました。
たった半年ですが、瓶の中で水とアルコールと味わいの成分が少しずつまろやかになり、天然の乳酸菌由来の酸味も綺麗に増幅しております。
メーリングリストご登録のお客様には、説明させていただきましたが、亀の尾とは、お米の品種の名前で、主に東日本が主産地のお米の親として、長らく生き残ってきた特別なお米です。
今回は、武者修業でもお世話になった栃木県の仙禽さんからいただいた貴重なロットになります。
亀の尾という品種自体、とても古い品種です。古いだけあって亀の尾の系譜のお米がたくさんある中、仙禽さんは独自に原種に限りなく近い種から数年かけて増やし、地元さくら市で栽培された、とても想いのこもった亀の尾になります。
日日で醸しているお米の中でも、一番燗上がりする品種かと思います。

日日の燗酒の推奨温度は、68℃です。
一般的な燗酒の温度よりかなり高めですが、瞬間的に熟成を進めて旨みを増しているイメージです。ぜひお試しください。
燗酒の方法は、陶器や銅や錫などの耐熱のコップ様の容器(チロリ)にお酒を入れて、お水を入れた小さな鍋で加熱し、コップ内のお酒の温度が68℃になったら鍋からあげるというものです。

日本酒における熟成とは、水とアルコールと味わいの成分がまろやかに一体となり、造りたてよりも旨さが増した状態だと思います。

同じく時間が経ち、美味しく感じない状態は熟成ではなく、劣化であるとするならば、やはり保管していただく環境は非常に大切になってきます。
理想的な環境は、0〜8℃以下の冷暗所です。
冷蔵庫は、短期的には問題ないのですが、微振動があるため長期的な保管には向きません。冷蔵庫しかない場合は、冷蔵庫で構いませんが、小さなものでも10℃以下に冷やせるワインセラーのように振動のないものをお勧めいたします。
なかなか一般のご家庭には、そのような環境は多くないと思います。そこで、千葉県にある酒販店のいまでやさんのように、販売店で独自に熟成庫を作って日本酒が美味しくなる環境を作ってくれているお店も増えてきました。

私たちも、Library Selectionとして、熟成で酒質の伸びそうなロットを自社の熟成庫にて熟成させてから限定出荷しています。

また、熟成して酒質の伸びそうな要素については、後日メーリングリストにてお話させていただきます。

亀の尾 Autumn ご購入いただきましたお客様は、冷酒と熱燗の味わいの違いをお楽しみいただければと思います。

メーリングリストご登録はこちらから

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よろしくお願い申し上げます。



日々醸造
松本日出彦

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