『思考の整理学』
季春の後半、まだコロナも終息の兆しを見せない今日なので久しぶりに読書をしました。読んだ本は↓
外山滋比古『思考の整理学』筑摩書房,1986年,p223
になります。読んだことはなくても、「東大・京大で1番読まれた本」という帯がついて置いてあるのを、書店で見たことあるよーって方は多いのではないでしょうか。
今回は以下の3点で紹介したいと思います。
1.そもこの本のテーマってなに?
2.本の構成
3.読んだ感想
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1.そもこの本のテーマってなに?
本の内容も含めてかなーりざっくりしますと、
従来の学校教育「知識をたくさん貯め込める人間=優秀なんだ!」
↑こーいった考えが一般社会でも受け入れられていました。ところがコンピュータが登場して状況が変わります。「人間よりも膨大な知識を瞬時に記憶して且つ永久に忘却しない存在ってヤバくない?従来の人間の優秀さなんて意味をなさないじゃん!」と筆者は警鐘を鳴らします。
筆者「これからは知識をただ詰め込むだけじゃダメだ。人間らしい創造的思考を志向すべきなんだ!」
↑これが筆者の主張で、この本のテーマになります。そして、その思考能力を向上させるにはどうしたら良いのか?というヒントが示されていきます。
2.本の構成
6つのチャプターがあり、各チャプターには4〜6ページで読めるエッセーが3〜7本入っています。エッセーは数ページで読めるのでストレスをあまり感じさせません。サクサク読めるので時間がない方でもオススメです。
3.本の感想
まず、文章が非常に読み易いです。理由としては、筆者の主張とそれに対する一般意見の対比が明確に示されています。また、筆者の主張を補う具体例も分かり易いです。評論文を読み慣れている方なら気持ち良くスイスイ読めると思います。逆にあまり読んだことなくて自信がない方には、評論文を読むトレーニングの入門書として最適と感じる1冊です。
次に著者の教養の引き出しの深さに驚かされました。著者の専攻は英文学、言語学の分野です。しかし本書では、生物学や数学、日本の古典、近代文学史…と様々な分野を筆者は援用しながら自説を展開していきます。それでいてその援用された分野のワードに関しては、初見の人でもキチッと理解出来る様な簡潔な説明がされているんだから、頭の良い人ってすごいなあ…。
最後に、コンピュータが出現した頃にこの本は出版されました。今度は、AIの出現によって思考能力の面で人は脅かされる可能性が出てきました。「人間が人間らしくある為にはどうすべきか?」を30年以上前に説いた先見の明を持つ古典として、まさに読むべき1冊かと考えます。
拙文最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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