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寂滅のエシュトザガン 2023 Edition

 ヴィリャヴァーン。
 それはあらゆる生命の根源であり、すべてが還りゆく終息の地である。わたしたちは誰もがヴィリャヴァーンの輝きから生じ、根源の炎を胸に抱きながらこのエ・ルランの多次圏世界へと落ちてきた。
 だから、わたしはあなたたちに告げなければならない。
 落ちてきた苦しみに囚われつづけ、輝ける炎を胸に抱いていることすら忘れて、生命いのちを終えていくのは悲しいことである――。

 ふたりの少女は厳かに告げた。
「なればこそ」
「人の身のままヴィリャヴァーンに到ろうなどと望むことは、人としての分際を超えた行いでありましょう」
「それは赦されざる行い」
「エ・ルランの地に、争いと災いとを招きいれることになりましょう」
 街の外れ。広場に白き祭殿がそびえていた。少女たちはその頂点から、跪ずく人びとを見おろしている。双子のようにうりふたつの少女たちだった。ふたりの背後からは太陽のごとき光が放射され、少女たちが只人でないことを示している。
 空気は凛として冷たい。常ならざる神秘によって満たされていた。
 明け方だった。
 空を朝焼けが染めるなかを、
「洗礼者よ、」
 朗々とした男の声が響きわたっていく。
「ご裁定を」
 声の主は祭殿の下でぬかずく若い男だった。黄金の長衣に身をつつみ、髪色もまた、燃えるような黄金。その所作ひとつひとつが高貴な出自であることを表している。少女たちは同時にうなずいていた。
「執行官ルリエルよ」
「汝に命ず」
 ふたりの手が左右対称に掲げられ、そして……青天を貫く雷のごとく、少女たちは告げた。
「「咎人に、死を!」」
 男は……ルリエルは、空気を震わす感覚に目を細めた。
 裁定は下された。
 儀礼的にいま一度ぬかずき、ゆっくりと立ちあがる。振りかえり、その先にいる咎人をルリエルは冷たく見おろした。
 咎人……薄汚れ、後ろ手に縛られ、跪かされた少年だった。
 少年の年齢は十代半ばほどに見える。その体は血と泥とで汚れ、頭髪はまるで老人のように白い。
 ルリエルは険しく、鷹のような眼差しで少年を見据えた。
 咎人に、死を!
 ルリエルは苛烈に言い渡す。
「以上である……洗礼者による裁定は下された」
 かくして、咎人の運命は決した。
 ……そのはずだった。だが。
「貴様……?」
 次の瞬間、ルリエルの眉根は訝しげにひそめられていた。ルリエルの見つめる先で、少年は静かに空を見あげている。ルリエルもまた、少年の視線を追って空を見た。
 朝焼けの彼方に、うっすらと天を貫く巨大な柱が見える。
 天柱あまのみはしら
 それはあらゆる圏世界を支える柱であり、他の圏世界へと到る道である。幾千、幾万もの多次圏世界を貫き、遥か遠く、ヴィリャヴァーンへとつづく道……エ・ルランの人びとにとって、天柱とは畏敬と畏怖の対象であり、同時に常人つねびとが触れてはならぬ禁忌でもあった。
 この期に及んで、貴様は。
 ルリエルは怒気を孕んだ目で少年を見た。
「この期に及んで……なおも貴様は罪を重ねようというのか! 咎人サラクッ!」
 少年……サラクもまたルリエルを見つめかえした。サラクの目は鈍色に沈み、同時に深く澄んでいる。見る者を沈みこませるような、そんな瞳だった。
 サラクは静かに告げた。
「俺は憶えている……ヴィリャヴァーンのことを。永遠の空虚と、永遠の充足とに満たされたあの場所のことを。そこには永遠の静止があり、永遠の誕生がある。そしてこの、エ・ルランが生まれた理由もまたそこに……」
「黙れッ!」
 ルリエルは突きあげる怒りを、うめくように吐きだしていた。
「この、狂人めが……」
 同時にそう返しながら、奇妙な感覚にも捉われていた。サラクの目には力があった。その声には胸を抉るような何かがあった。不思議な引力のような力が、サラクにはあった。
「……ッ」
 ルリエルは、己の矛盾した感情に困惑した。ルリエルはサラクのなかで渦巻く何かを……
 ……力?
 そう、力を感じつつあった。サラクは続けた。
「だから、俺は辿り着かなければならない……」
 サラクの瞳が、ルリエルの目をはっきりと見すえる。その瞬間、ルリエルは幻視した。サラクの胸の奥で渦巻く炎……根源の炎を。
「俺はかならず辿り着く……ヴィリャヴァーンに。それがなおも変わらぬ俺の望み。そして……」
 渦巻く炎とともにサラクは告げる。

「俺の、憧れだ」

 かくして、ヴィリャヴァーンを巡る物語は幕を開ける。
 サラクとルリエル。
 ふたりの邂逅によって運命は動きだし、やがてふたりは、エ・ルランを揺るがす因果事態へと到ることになるだろう。
 だが――。
 いまはまだ、そのことについて語るときではない。
 これより語られるのは、ふたりの邂逅から遥か未来。哀しき罪業織りなす、崩壊の物語である。

根源のヴィリャヴァーン
第六章

寂滅のエシュトザガン


 女はひとり佇んでいた。風がその黒く艶やかな髪を揺らし、見つめる空は黄昏れて、ゆっくりと落ちゆく陽が世界を赤橙色に染めていた。
 黄昏のなかを、白鳥の群れが羽ばたいていく。
 その光景は美しく、そして悲しい。
 ケェケェと鳥たちの寂しげな鳴き声が聞こえてくる。
 あぁ、お前たちは……。
 鳥たちは去ろうとしているのだ。この世界を……エシュトザガンの圏世界を。滅びゆく世界から、安住の地を求めて。
 だから女は祈る。
 鳥たちが安らぎの地を得られますようにと。そして彼女の背後にそびえる荘厳にして巨大なる神殿、その内奥に輝く神秘に想いを馳せながら、エシュトザガンの悲劇的な結末に心を痛めた。
 彼女は今、護るように神殿の入り口に立っている。その腰には優雅に装飾された剣が差され、足元には黄銅にも似た輝きを放つ円形の盾が置かれている。
 彼女の名はダマルガ。
 彼女の背後にそびえるのは圏世界エシュトザガンの造物主、リヴィマの神殿だ。ダマルガは神殿を護る戦乙女いくさおとめであり……滅びゆくエシュトザガンの最後の生き残りでもあった。
 ダマルガは目をつむり、耳を澄ました。神殿の奥からは、麗しきリヴィマの歌声が聞こえてくる。その歌声は弱々しく、途切れ途切れだ。だが、それでも今のダマルガにとってはその歌声だけが支えだった。
 エシュトザガンの造物主であるリヴィマ。その祝福を帯びた歌声は、かつてはエシュトザガン全土を包みこんでいた。その歌声に包まれながら、エシュトザガンは不幸を忘れた楽園だった。
 それが、今ではもう――。
 空気が揺らいでいる。大地は鈍い音をたててかすかに震えている。圏世界の大崩落が近い。
 ダマルガは想う。
 私だけが生き残ってしまった。私だけが。リヴィマの加護を得ている私だけが……。
 いや。
 違う。そうではない。
 ダマルガは黄昏の彼方から近づいてくる人影を認めた。影は一歩一歩、こちらへと向かって歩いてくる。ダマルガは呟いた。
「まだお前がいたな……お前と私、この世界にふたりきり……」
 影はリヴィマの歌とはまったく異なる、唸るような歌声とともに近づいている。影にまとわりつくように響くその歌声は、あまりにも不吉だ。ダマルガにはその歌声が、世界の滅びを言祝ことほいでいるかのように聞こえていた。
 それはルデトの歌……破滅の歌だ。
 かつてリヴィマが夜の世界に封じたとされる悪神ルデト。影とともに近づいてくる歌声は、その悪神ルデトが奏でる歌と同じものだった。
 本来であれば嵐の夜のみに木霊していたルデトの歌声が、いまやエシュトザガン全土を覆おうとしている。その原因は――。
「お前だ……ッ!」
 影は歩みを止めた。そして、彼女のことを静かに見つめた。若い男だ。髪は老人のように白く、そして鋭く、深く澄んだ眼差しをしている。ダマルガもまた男を見つめ返す。男は語りかけるように声を発した。
「最後に残ったのは……君だったか」
「黙れ!」
 男の言葉を遮るようにダマルガは声をあげた。
「妹は……ルゥは、最期までお前のことを信じていた。お前のことをッ!」
 ダマルガは悲しみと憎しみとで押し潰されそうだった。顔を険しく歪ませながら、ダマルガは腰から剣を抜いた……リヴィマに選ばれし戦乙女の証しである聖なる剣を。足元に置かれた盾は、それと対になる聖盾だ。
 ダマルガは男に剣を突きつけ、その名を叫んだ。
「サラク! 咎人サラクッ!」
 二人の視線が交錯する。
「なぜだ! お前はなぜこの世界に来た……! お前がエシュトザガンに来さえしなければ……お前さえいなければ……こんなことには、こんなことにはならなかった! お前は知っていたはずだ。ここでは誰もが幸せに暮らしていた……ルゥも、私も、村の連中も……世界中の人びとが!」
 そうだ。皆が幸せだった。
 そして皆、死んでしまった。
 ダマルガは思いだす。エ・ルランの多次圏世界、そのすべてに布告された偉大なる洗礼者たちの言葉を。

 人の身のままヴィリャヴァーンに到ろうと望むことは、人としての分際を超えた行いでありましょう。ゆえに、それを為そうとする者は赦されざる咎人でありましょう。その者は、エ・ルランの地に災いと争乱とを招き入れましょう……。

「洗礼者の言葉は正しかった 」
 歯噛みし、サラクを睨みつける。
「お前が! 愚かにもヴィリャヴァーンに到ろうなどと望みさえしなければ……こんなことにはならなかった!」
 ヴィリャヴァーン。それは魂の根源。多次圏世界を貫く巨大な天柱……その輝ける柱の遥か彼方に、ヴィリャヴァーンはあるのだと言われている。人は誰もがヴィリャヴァーンの輝きから生じ、その根源の炎を胸に抱きながらエ・ルランの多次圏世界へと落ちてきた……そのように、神話は物語っている。
「俺は……」
 サラクは応えた。
「俺は幾つもの世界を辿って、ここへとやってきた。俺の辿った世界はすべてが滅んでいった……すべてだ。すべてが、一切の例外なく」
 サラクは悲しげな表情を浮かべた。
「だからここも滅ぶ。それは偶然ではない。必然だ」
「なぜだ……!」
 ダマルガはほとんど泣きだしそうな顔で叫んでいた。ダマルガは思いだしていた……行き倒れていたサラクを見つけた、あの日のことを。
 ルデトの歌声が木霊する嵐の夜、増水した川辺に倒れていた若者。それがサラクだった。眠るように伏すサラクの顔を見て、ダマルガは思わず「美しい」と口に出していた。はじめて出会った男なのに、なぜかはじめて会ったとは思えなかった。
 それからの介抱の日々。サラクの遠くを見つめる眼差しに、ますます吸いこまれるように惹かれていった。回復したサラクを、妹のルゥとともに市場へ連れだした時。サラクが浮かべた、弾けるような笑顔は鮮烈だった。
 三人で囲んだ温かい食事。
 その瞬間、世界にぬくもりが溢れだした……。
 胸が。胸が、張り裂けそうだった。
 すべてが偽りだったのか? 私のせいなのか? 私がサラクを救ったせいで……私のせいでルゥは、エシュトザガンはッ!
「なぜだ! なぜお前はそこまでして……多くの人間を不幸にしてまで……なぜ! なぜなんだ!」
 サラクは胸に手を当てた。
「俺のこの胸に宿る炎が、ヴィリャヴァーンの炎が俺を導いている。俺は行く……ヴィリャヴァーンに。それが俺の定めであり、そして」
 サラクは見上げるように顔をあげた。ダマルガの背後。神殿を貫き伸びるヴィリャヴァーンの天柱を見据えてサラクは言った。
「それが、俺の憧れだ」
 ダマルガの肩は震えていた。
「……ふざけるな」
 足で盾を跳ねあげる。
「ふざけるな、狂人ッ!」
 宙を舞った盾を掴み、振りかぶる。盾がぎらりと陽光のような輝きを放つ。
「お前は、私をっ!」
 ダマルガは叫ぶ。その叫びと想いを載せ、盾をサラクへと投げる。盾が煌めく。それはまるで刃を伴う日輪であった。輝き、回転し、鋭く飛び……
「……!」
 サラクは咄嗟に半身となって飛び来た盾をかわした。サラクの胸から布片が、血が散っていく。サラクの体をかすめるように過ぎた盾は、遥か後方へと飛んでいく。
「リヴィマよ! 我にご加護を!」
 咆哮とともにダマルガは聖剣を掲げる。刹那、聖剣から閃光が走った。
「!」
 サラクの視界が失われた。
「ウォォ!」
 ダマルガは吠え、跳んだ。すべての想いをこめて。妹の、エシュトザガンの人びとの無念を載せて。そして同時。サラクの背後からは日輪のごとき盾が弧を描き戻りつつあった。
 前方の聖剣、後方の聖盾。
 必勝の挟み撃ち。これこそが戦乙女としての奥義……「リヴィマの抱擁」。
 私は殺す……この男を。そして!
 死が迫るなか、サラクは目を閉じたまま呟いた。「すまない……」そして胸に手を当てる。サラクは感じている。胸の奥。ヴィリャヴァーンの炎、その鼓動を。
「死ね! この世界とともに……私とともに、お前も滅ぶのだ、サラク!」
 サラクはこたえた。
「それは、できない」
 ダマルガの振るう剣がサラクへと迫る。ダマルガの目には涙が溢れていた。さらばだ、サラク。私もすぐにお前の……。
 だが直後、ダマルガは気がついた。
 あ……?
 涙でにじむ視界に光が差しこんでいく……それは紅の輝きだった。サラクの胸から生じる、紅の。
 あ……!
 そしてダマルガは見た。サラクの胸から生じた輝きは、剣と化していく。それは真紅の、鋭く輝く装飾の無い剣だった。サラクは抜刀するように胸から生じた剣を振るった。
 紅の軌跡が見えた。
 直後ダマルガは、聖剣の刃が宙を舞うのを見た。
 バカな……断ち切られたというのか? 聖剣が?
 リヴィマの聖剣が、いともたやすく……!
 刹那の間、静止したようなその瞬間、ダマルガは見ていた。己を見つめるサラクの眼差しを……その澄んだ瞳を。
 美しい……。
 ダマルガはあらためてそう想った。
 やがて時が動きだし、ダマルガの視界の先でサラクは身を沈めていた。サラクの頭をかすめるようにして日輪の刃が……聖盾が飛来する。
 あ……。
 激しい熱と衝撃とともに、ダマルガは己の視界が回転するのを感じた。そして回転する視界のなかで、ダマルガは血を噴く己の半身を見た。
 あぁそうか……。私は、聖盾によって両断されたのか……自分の技で……。
 直後、ダマルガは地面に叩きつけられた。そして視界の端で、己の下半身がくずおれていくのを見た。ダマルガは激しく吐血した。
 私は、死ぬ。
「いやだ……こんなの……いや……だ……」
 その姿を見下ろすようにサラクは佇んでいた。ぜぃぜぃと息を吐きながら、かすむ視界でダマルガはサラクを見た。黄昏の逆光で影が差し、下から見あげるダマルガからは、サラクの表情を伺い知ることはできなかった。
 ダマルガは喘いだ。
 あぁ……。
 聞こえない……リヴィマの歌が……。
 嫌だ……聞こえてくる……ああ……ルデトの歌が……聞こえる……。
「この歌は……」
 サラクの声は静かだった。
「この歌は、悪神の歌なんかじゃない。これはエシュトザガンの影……人びとが見ようとはしなかった、悲しい現実がうみだした歌だ。今の君ならそれがわかるはずだ、ダマルガ」
 そのとき、黄昏の陽が一瞬だけサラクの顔を照らしだした。ダマルガはサラクの瞳から落ちる、涙の煌めきを見た。
「あ……あぁ……」
 ダマルガは手を伸ばした。サラクは悲しげに首を振ると、きびすを返し、去っていく……神殿の中へと。
 ダマルガにはわかっていた。この後、サラクは破壊するはずだ……神殿の中枢に鎮座するリヴィマの神聖機関を。そして神聖機関から解放された力を用いて、他の圏世界へと昇っていくのだ。
 リヴィマの神聖機関が失われた瞬間、エシュトザガンは真の終わりを迎えることになるだろう。
 いや……。
 薄れゆく意識の中で、ダマルガは想った。エシュトザガン――永遠の命の世界。エシュトザガンは死を克服した、永遠とわに続く若さの世界だった。他の圏世界から収奪した生命の力を、リヴィマの神聖機関を通じて全土へと巡らせていた。生命の力を、歌声に乗せて。
 今ならわかる……。
 ダマルガは口から血を噴きだした。エシュトザガンの滅びの兆候は、以前からあったのだ。サラクが訪れた圏世界が次々と滅んでいった、その頃から。
 徐々に収奪する生命が不足していった。人びとの老化は始まっていた。しかしそれでもなお、エシュトザガンの人びとは向きあおうとはしなかった。自分たちに迫る危機にも、そして自分たちの欺瞞にも。
 あぁ……。
 エシュトザガンのすべてを、ルデトの歌が包みこんでいく。
 そうか……これは……。
 ようやく私にもわかる……これは哀しみの歌だ。生命を収奪され、死んでいった圏世界の人びと、その哀しみが織りなす歌なんだ。そしてそれだけじゃない。これは死んでいった者たちへの、弔いの歌でもある……。
 ダマルガはサラクの言葉を思いだした。
 エシュトザガンの影。必然の滅び……。
「サ……ラク……」
 神殿に向けて、サラクの向かった方向に向けてふたたび手を伸ばした。最期の力で、振り絞るように。
「……サラク!」
 その瞬間、巨大な鳴動とともに大地が割れた。ダマルガの体がふわりと浮かぶ。ダマルガは崩れゆく大地とともに落ちていく……圏世界の大崩落が始まったのだ。
 落ちゆくダマルガは、涙でにじむその目で見つめていた。偉大なるヴィリャヴァーンの天柱。そのなかを、ゆっくりと光が立ち昇っていく。
「あぁ……サラク……」
 伸ばした手の指の間に、昇りゆく光が差しこんでいく。美しく、穏やかな輝きだった。そして輝きのなかに、自分とルゥ、サラクが笑いあう……そんな光景を見た気がした。

【寂滅のエシュトザガン】終わり


これはなに?

もともとこの『ヴィリャヴァーン』の物語は2019年の逆噴射小説大賞に応募した『根源のヴィリャヴァーン』がはじまりで(もう4年も前だ!)、

その後の2020年、ヴィリャヴァーンの 1エピソードとしてこの『寂滅のエシュトザガン』は生みだされました。今読みかえすとめっちゃ粗い……!

そして去年……『無数の銃弾』の前号『VOL.6』の原稿を落としてしまいそう、という危機に陥り……「過去の短編を少しだけ手直しして出せばええんや!」と思いつき、できあがったのが本作だったのです。

が、その際はあまり手直ししている時間もなかったこともあり『無数の銃弾: VOL.6』掲載版にはやや不満がありました。

そこで今回、『無数の銃弾: VOL.7』発売にあわせ、さらに少しだけ手直ししたバージョンを書きました。それがこの『寂滅のエシュトザガン 2023 Edition』なわけです! 最低限ではあるけど、気になっていた箇所に手を入れることができてすっきりしたぜ……。

ということで『無数の銃弾: VOL.7』出ます!

7月27日(木)発売!
今回、僕が掲載するのは『無数の銃弾』誌上で連載し続けている『軌道旋風ギャブリエル』の最新話……題して『死して屍拾う者なし』です。

連載もいよいよ佳境。ですが、ここから読んでも大丈夫なように工夫したので、はじめての方も興味があれば是非! 自分で言うのもなんですが、今回はわりとおもしろく書けたんじゃないかな……と思っています。

そして当然であり、必然でもありますが、その他の連載陣……居石信吾さん、ディッグ・Aさん、透々実生さん、azitarouさん、遊行剣禅さん、タイラダでんさん、ばぷるさん、城戸編集長、むつじはじめさん、朝昼兼さん……豪華パルプスリンガーたちの作品すべてとてもおもしろい! ゆえにマストバイと言えよう!

よろしくおねがいします。

【おしまい】

きっと励みになります。