人類救済学園 第捌話 「それはなんだッ!」 ⅱ
【前回】
ⅱ. 入学回廊の上には、巨大な講堂が浮かんでいた。間近で見るそれは、まるで空を覆って迫りくる、漆黒の吊り天井を思わせた。
非常識なまでの圧迫感。それを目の当たりにして、櫻坊はごくりと唾を飲みこむ。この巨大な闇が落ちてくれば、なすすべもなく押し潰されることになるだろう。あの巨大で壮麗な校舎が、あっさりと崩れさった光景を思い浮かべ……櫻は、恐怖した。
ちらりと鳳凰丸を見る。その制服は血で真っ赤に染まっている。その髪は、血を使ってオールバックに撫でつけられている