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【読書】森林浴をしたかのような読後感|神去なあなあ日常

これまでは読書を「知識を得るための手段」と思っていたこともあり、小説などのフィクションにはあまり触れずに生きてきました。

そんな考えが、幅広いジャンルの本を紹介するはあちゅうさんのVoicyを聴き続けているうちに塗り替えられてきたのと、ちょうどKindleで小説セールをやっていたので、三浦しをんさんの著書「神去なあなあ日常」と、その続編にあたる「神去なあなあ夜話」の2冊を読みました。これがとても良かった。

高校卒業と同時にわけもわからず神去(かむさり)村で林業に従事することになる主人公。「神去なあなあ日常」では、最初は逃げ出したくなるほど嫌だった田舎暮らしや林業のことが、様々な体験や周囲の人々との交流を通じて徐々に好きになっていく様子が描かれます。また、続編の「神去なあなあ夜話」では、村に伝わる謎の風習の起源を知ることで、さらに田舎暮らしの魅力に取り憑かれていくことになります。

驚くのが山での仕事の様子の描写の細かさ。林業のど素人だった主人公が仕事を覚えていくステップで、自分も森で仕事をしたかのような気分にさせられます。自然と共生することが求められる林業の様子を通じて『人は自然に生かされている』ことを強く感じさせられました。綿密な取材を重ねたうえで書かれた作品なのでしょう。

「読書は他の人生を追体験できる」という言葉の意味を、これほど強く感じたことはこれまでありませんでした。たまには小説を読むのも良いなぁ。

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