マガジンのカバー画像

いきなり文庫! グランプリ

8
単行本を経ず文庫版で初めて世に出るオリジナル文庫。 私たちはこれを「いきなり文庫!」と呼びます。 毎年2000冊を超える作品の中から、毎回優秀作を選び、 類似テーマの名作、傑作と…
運営しているクリエイター

記事一覧

【いきなり文庫! グランプリ2ndシーズン第3回】優秀作は、高坂章也さん『美濃の影軍師』!

江口 それでは、〈いきなり文庫! グランプリ〉セカンドシーズン、第3回の座談会を始めたいと思います。今回優秀作に選ばせていただいたのは、高坂章也さん『美濃の影軍師』。時代背景としては、信長の美濃攻めの頃ですね。美濃国主斎藤龍興に仕える「西美濃四人衆」の一人、不破光治の腹違いの弟・不破与三郎という架空の人物が主人公です。面白かったですよね。 吉田 すみません、歴史に昏いので「信長の美濃攻め」も斎藤龍興も「西美濃四人衆」もぴんとこないんですが、斎藤龍興、「西美濃四人衆」というの

【いきなり文庫!グランプリ2ndシーズン 第2回】優秀作は、吉上亮さんの近未来警察小説『テトラド1 統計外暗数犯罪』!

江口 それでは、いきなり文庫! グランプリ・セカンドシーズンの第2回を始めます。今回は、なんと特殊能力と言いますか、異能の物語の回となります。優秀作に選ばせていただいたのは、吉上亮さん『テトラド1 統計暗数犯罪』です。近未来警察小説と銘打たれていて、全二巻完結の一巻めとなります。帯のコピーを借りるなら「共感能力がない男と空気が読めすぎる少年」のバディもの、です。浜本さん、どうでしたか。 浜本 ちょっと乱暴なところはあるな、という印象はあるんですが、面白く読みました。特に冒頭

【いきなり文庫! グランプリ2ndシーズン 第1回】セカンドシーズン開幕! 初回の優秀作は泉ゆたか『横浜コインランドリー』!!

江口 幸いなことに「いきなり文庫! グランプリ」の企画がご好評をいただきまして、セカンドシーズンとして継続の運びになりました。 (第1回いきなり文庫! グランプリは2024年4月に吉森大佑さん『青二才で候』で決定しました。第1回の各座談会はこちらから) 一同 (拍手) 江口 浜本さん、吉田さん、今シーズンもよろしくお願いします。 浜本 よろしくお願いします。 吉田 よろしくお願いします。 江口 セカンドシーズンの第1回目ですが、泉ゆたかさん『横浜コインランドリー』を

いきなり文庫!グランプリ2ndシーズン

単行本を経ず文庫版で初めて世に出るオリジナル文庫。 私たちはこれを「いきなり文庫!」と呼びます。 毎年2000冊を超える作品の中から、毎回優秀作を選び、 類似テーマの名作、傑作と並べて論じて大いに顕彰させていただきます。 優秀作がたまったら、毎回の優秀作からグランプリを選出。 第1回グランプリは2024年4月に吉森大佑さん『青二才で候』に決定。 好評につき第2回も開催することとなりました。 セカンドシーズンではどのような作品が選ばれるのか、お楽しみに! 座談会メンバー 吉

【第12回 いきなり文庫! グランプリ】いよいよ第一回いきなり文庫! グランプリ最優秀作品賞決定!

江口 今回は、いよいよグランプリ最優秀作品を決める回です。これまで、グランプリ候補として残っている優秀作品は堀川アサコさん『定年就活 働きものがゆく』、中山祐次郎さん『俺たちは神じゃない 麻布中央病院外科』、長月天音さん『ただいま、お酒は出せません!』、山本甲士さん『民宿ひなた屋』、吉森大祐さん『青二才で候』、佐藤さくらさん『波の鼓動と風の歌』、辻井南青紀さん『主君押込 城なき殿の戦い』。 以上、七作です。それでは、一作ずつ振り返っていきましょうか。 まずは、ザ・定年小説、堀

【第11回 いきなり文庫! グランプリ】今回の優秀作は時代小説! 辻井南青紀『主君押込 城なき殿の闘い』

 江口 「いきなり文庫! グランプリ」座談会、第11回です。今回優秀作に選ばせていただいたのは辻井南青紀さんの『主君押込 城なき殿の闘い』です。大名家のお家騒動ものなんですが、予想外の展開が実に面白い。  浜本 私も面白く読んだんですが、飯山藩の筆頭家老・田辺斎宮が、主君である本多重元を押込なければいけなかった理由が、今ひとつクリアになっていないように感じました。主君押込というのは一大事なので、相応の理由があったはずだと思うのですが、そこに至るまでの過程が描かれていない。

【第10回 いきなり文庫! グランプリ】異世界ファンタジーに超大型新星、誕生か!?優秀作は、佐藤さくら『波の鼓動と風の歌』!

江口 「いきなり文庫! グランプリ」座談会、第10回を始めます。今回は佐藤さくらさんの『波の鼓動と風の歌』を優秀作に選ばせていただきました。異世界ファンタジーです。 吉田 現代の女子高生が異世界に飛ばされてしまうお話なんですが、これ、ヒロインの女子高生が異世界では〝まじりもの〟になってしまう、というところにオリジナリティを感じます。 浜本 腕と足が異形=魔物になってしまうんですよね。 吉田 そうそう。だから、異世界ではスタート時点でハンデを負っている。過酷な状況から物語

第1回いきなり文庫! グランプリ(~2024年4月)

単行本を経ず文庫版で初めて世に出るオリジナル文庫。 私たちはこれを「いきなり文庫!」と呼びます。 毎年2000冊を超える作品の中から、毎回優秀作を選び、 類似テーマの名作、傑作と並べて論じて大いに顕彰させていただきます。 年度末には、毎回の優秀作からグランプリを選出する予定です! 座談会メンバー 吉田伸子(書評家) 浜本茂(「本の雑誌」発行人) 江口洋(編集部) 第12回 【第一回いきなり文庫! グランプリ】決定! 『青二才で候』 吉森大祐 中公文庫 2022年12月