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エッセイいろいろ

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生きているあいだに思ったこと
運営しているクリエイター

#日記

正直に言うとコロナ鬱だ。

コロナが不安だ。シンプルに不安だ。これはただの個人的な、とても小さな感情だ。 みんなが一斉にリモートワークになりだしたあのとき、わたしの仕事はリモートワークにならなかった。東京を電車で通勤していた。緊急事態宣言が出てもだ。日に日にがらんとしていく電車に乗り続けていると、自分だけがどこかまずい場所に向かっているような、何か大きな流れに取り残されていくような気がした。 ぜんぶの窓が開いている電車はすごい風の音がする。換気が大事だと聞いたから、なるべく窓の近くに座る。マスクをし

魔女が営むクリーニング屋の話

引っ越してから行くようになったクリーニング屋さん、どうもおばちゃんがひとりでやっているらしい。 おばちゃんはやたら割引券をくれる。その時々で、〇〇クーポンとか〇〇キャンペーンとか会員限定〇〇!とかいろいろな値引があってまあまあ複雑なのだが、おばちゃんはいつも気前よく、何と何を組み合わせるといちばん安いのか教えてくれる。 「あなた、会員登録ってしてるかしら。今は会員になって抽選すると、それが一番安いわよ😆」 本当に「安いわよ😆」というかんじでニコニコ仰るので、

夢の目撃証言をあつめるひと

亡くなった友だちが夢に出てきたので、なんとなくお参りに行った。数年ぶりに降りた地元の駅はずいぶんきれいになっていた。駅までそのひとのお母さんが迎えに来てくれた。わたしはこのお母さんのことがとても好きだった。友だちに似て、つよくて、やさしいひとだった。忘れないでいてくれてありがとう、とお母さんは言った。忘れるわけないじゃないですか、とわたしは言った。 友だちの部屋はまだそのままになっていた。やっぱり今でもそこに居そうなかんじがした。たくさんお供え物がしてあった。お父さんがやた