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エッセイいろいろ

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生きているあいだに思ったこと
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2019年10月の記事一覧

煙草は吸えないから吹いてる

だれも煙草を吸わない家庭で育ち、小心者だからずっと煙草が苦手だった。母は煙草が嫌いで、特に女の子は子どもを産むのだから煙草なんて、とよく言った。 わたしはずっと自分が女性であるというだけで「いつかもし子どもがほしいと思えば、自分が産まなければならないこと」について微妙に受け入れられないまま生きている。未だにそうである。これはただ生物学的に女だけが痛い思いをしなければならないなんて不公平だという話でもあるし、もっとジェンダー的な、たとえば育休や産休にともなうキャリアの中断

夢の目撃証言をあつめるひと

亡くなった友だちが夢に出てきたので、なんとなくお参りに行った。数年ぶりに降りた地元の駅はずいぶんきれいになっていた。駅までそのひとのお母さんが迎えに来てくれた。わたしはこのお母さんのことがとても好きだった。友だちに似て、つよくて、やさしいひとだった。忘れないでいてくれてありがとう、とお母さんは言った。忘れるわけないじゃないですか、とわたしは言った。 友だちの部屋はまだそのままになっていた。やっぱり今でもそこに居そうなかんじがした。たくさんお供え物がしてあった。お父さんがやた