「夏に喰われる」Chapter1
何故か夜が特別になって
温い気温が恋しくて
用もないのに出歩いて
人ではないものと出会う事に少し夢を見る
カンより綺麗なビン
クーラーじゃなくて廃れた扇風機
都会じゃなくてしょっぱい田舎
賑わいを遠くに聞く静寂の駅
花火もいいけど朧げな月明かり
海外? いやいや、古い古い日本
いつもはなんとも思わないはずの黄昏時の電車に
どこか遠くに連れて行かそうな雰囲気を感じる
ちょっと冒険をして
無敵な気分になって好奇心の赴くままに
少しばかり馬鹿をする
我儘言えば、隣に君がいればいいなと思って
ちらりと振り返ったりして
遠くの陽炎に君の幻覚を見るんだ
「ああ君も、夏に喰われていたんだね」
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