小林秀雄に関する断章(1) 『様々なる意匠』について
小林を批評の神様たらしめた活動は東京大学仏文学科在籍時から始まっていたのだが、本格的な文壇デビューを飾るのは東大卒業の翌年、雑誌『改造』懸賞評論に発表された『様々なる意匠』である。この作品は第二等入選作品となるのだが、一般的には「主にプロレタリア文学、振興芸術派を一刀両断した、小林批評の原点」であるとか、「晦渋がすぎる悪文で、非論理的」という評価であると思うし、特に前者については間違ってはいないと思う。しかし、ここではその犀利さ故に見落とされることの少なくないこの作品、ひい