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『作家の顔』のこと

小林秀雄の追悼文はどれも異様に美しい。そう解説で語るのは江藤淳である。本作品集には、いくつかの作家論、追悼文、あるいは時評のような文章が収録されているが、このように並べられると普段全集で彼の作品を楽しんでいるので、新鮮な感じがして、江藤の言う異様さも少し分かるような気がする。   後年の大作『本居宣長』で、彼は以下のように述べている。  江藤の感じ取った異様な美しさは、この何の変哲のない考えの徹底から生じていると言っても過言ではない。死の相貌を知ってしまった友人との相容れ

    • 美味かったものと思い出

       なんとなく今年の上半期に食べた美味かったもんでも纏めてみる。 麦と麺助のラーメンとチャーシュー丼 味わい深いスープ、ストレートの麺、炭火の香りがバチバチな肉、半熟の卵、どこをとっても最高だった。 成人式のスーツを着て、1時間くらい並んで食べた。成人式の日を間違えて前日にもスーツ着て会場まで行ってしまったことを除けば、やはり最高だった。  滋賀県某所のオムライス。とろとろの卵にビーフシチューの間違いないやつ。仕事に疲れ果てた社会人の愚痴を聞きながら食べたけどとっても美味し

      • 激ヤバな日常

         今日は(そろそろ昨日になりそう)カネコアヤノのライブに行ってきた。とにかくヤバかったので、取り敢えず雑多な感想を投稿しておく、生モノの為。  セトリはこんな感じ(纏めてくださった方ありがとうございます。)  カネコアヤノのライブは初めてだったけど、まず驚いたのはMCとアンコールが一切無かったこと、噂には聞いていたがいざ体験すると面食らった。彼女特有のあまりにも丁寧すぎる日常の描写からは考えられないくらいロックで、颯爽としていて、圧倒的にカッコ良かった。去り際にサラッとメン

        • 根井雅弘『ケインズを読み直す:入門現代経済思想』を読んで

           この文章は、高校生に向けて『ケインズを読み直す:入門現代経済思想』を推薦するものであるが、本書は高校生のみならずこれから経済学を学びたいと思う人にとっても良い本だと思われるので、こちらにも公開しようと思った次第である。  本書の著者である根井雅弘先生を知ったのは、実は最近のことである。重農主義のバイブルとして知られているケネー『経済表』を読むに当たって副読本を探していたとき、折角なら京大の先生の本を読もうと思い発見した菱山泉『ケネーからスラッファへ』という本に、Q&Aのコ

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        • エッセイ
          1本
        • 書評
          3本
        • 小林秀雄に関する断章
          2本

        記事

          小林秀雄に関する断章(1) 『様々なる意匠』について

           小林を批評の神様たらしめた活動は東京大学仏文学科在籍時から始まっていたのだが、本格的な文壇デビューを飾るのは東大卒業の翌年、雑誌『改造』懸賞評論に発表された『様々なる意匠』である。この作品は第二等入選作品となるのだが、一般的には「主にプロレタリア文学、振興芸術派を一刀両断した、小林批評の原点」であるとか、「晦渋がすぎる悪文で、非論理的」という評価であると思うし、特に前者については間違ってはいないと思う。しかし、ここではその犀利さ故に見落とされることの少なくないこの作品、ひい

          小林秀雄に関する断章(1) 『様々なる意匠』について

          小林秀雄に関する断章(まえがき)

           私が小林秀雄と出会ったのは高校二年生の時だった。明らかにそこに屹立しているにも関わらず、まったく捉える事が出来ない小林秀雄という雲上人と、危ういほどに神秘的なそのテクストは独特の正しさをもって私の不安な青春時代を貫いた。その多様な陰翳に私の拙い筆で整合性を持たせることは不可能に感じられたので、乱脈な断章を記すこととした。いつ終わりが来るとも知らないが、お付き合いいただけたら幸いである。 今回、特に断りのない限り、引用文は小林秀雄(2002)『小林秀雄全作品』新潮社(第

          小林秀雄に関する断章(まえがき)

          『失われた時代~1930 年代への旅~』を読んで

           この本を手に取ったことがある人はおそらく少ない、というかほとんど居ないだろう、そう言い切っても差し支えないこの本だが、だからこそこうして拙い筆を執ろうと思った。虚ろに受験勉強を進めていたときにこの本を知り、その時からこの本のタイトルが頭から離れなかった。“失われた”という言葉の重み、なにかの不在を不安に思う自分、何故我々はそれを失ったのか、あるいは失ったのは我々なのか、そもそも時代を失うとはどういうことか、本を読まずして物思いにふける日々を過ごしていたのだが、ようやく本を手

          『失われた時代~1930 年代への旅~』を読んで

          おとうと

          いつにも増して稚拙な文体の陰鬱な文章です、ご了承下さい  弟について文章を書くのは3回目だと思う、1回目は読書感想文、2回目は人権啓発作文。1回目は佳作、2回目は最年少で優秀賞を取り、公民館で作文を読んだりした。そういうのじゃなくて、好きな人たちに向けて文章を書ける今、もう一度彼について書きたいと、ふと思った。    彼は僕の1歳下で、発達障害がある。知能は3歳児のころから成長していないらしい。細かいことは医者に任せておけば良いからどうだって良い。今は彼と関わるときに僕が感

          おとうと