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日進月歩 ~Road to MBA~#103

2021/4/28:ヒューマン・リソース・マネジメント1③
 水曜日は、山﨑先生という新しく着任された先生(キャリアデザインやヒューマンリソースの講義をご担当)の基で学ばせていただいており、3回目の講義となります(前講義#98)。本日は、「社員格付け制度と賃金」と題して、日本の終身雇用制についてや内部・外部労働市場における事例検討や講義、研究論文から紐解いていく内容となっています。

■事例検討:これからの働き方とキャリア形成(人事実務 2020年10月号)

 私はこの記事の中から「解説1:職務型制度の基本的な考え方と日本企業への適用」を重点的に読み、ジョブ型制度における基本的な考え方について予習してまとめてみました。自社における立ち位置に照らし合わせて考えてみた上で、ジョブ型(職務等級制度)を導入する理由について考えてみた。

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 さらにグループディスカッションを通して、メンバー内で理解を深めていった。他のグループ含めた発表を聞いていくと、以下の2つの企業(「導入を検討している企業」、「導入が未検討な企業」)に分かれているように感じた。発表内容からそれぞれの企業特徴を見てみると、以下のようにまとめることができるのではと考える。

【導入を検討している企業(導入が可能)】
・業務や職種などが「ジョブ型」に即している(スペシャリスト育成)
・SEやシステムエンジニア、経理などの専門的な職種は対応可能
・チームでなく「個人」で完結できる仕事の場合は対応可能
【導入が未検討な企業(導入が難しい)】
・評価体制や報酬が伴っていない(兼任や併任が横行し、報酬無し)
・ゼネラリストを育てる傾向(長期的な育成/雇用を重んじている企業)
・日本個有の文化(メンバーシップ型)が根強く、評価をマイナスできない

 先生からのフィードバックからも、日本企業における「終身雇用制」の背景における問題提起として、年齢(経験年数)が上がれば能力が向上しているという前提があることもあげられた。日本の仕組みにおける素晴らしい所でもあり機能的に考えられている「新卒採用(内部労働市場)」という要因がありそうだ。しかしながら、うまく考えられた仕組みでもあるため、日本特有の良い要素を残しつつ、ハイブリッド型的にジョブ型の要素を取り入れる仕組みを考えていく必要があると学ばせていただいた。
 しかしながら、そこには職務記述書に書ききれない業務をどうしていくか、日本の法律における解雇に対する規制をどうしていくかなど多くの問題が存在するため、1人1人が「日本の雇用形態のままでは世界に取り残されてしまう」と発信し続けることで、変わるきっかけを生み出す必要がある。

■講義:日本型と欧米型の比較

 社員格付け制度において、何を基準として上司・部下を判断するかにおいて、4種類に分類される(年功序列・役割等級・職能等級・職務等級)。さらにメンバーシップ型(日本型)とジョブ型(欧米型)に分けられ、比較検討をしていくことができる。
 日本型の制度が現在見直されている要因として、①人材の価値が外部市場と比較された時に低くなってしまう傾向(キャリアアップ・キャリアチェンジを考えた時に選ばれない)、②職能資格制度は高度経済成長時の人材が多く流動している時は有効であったが、少子高齢化によって衰退している、③海外企業との競争においてこのままの日本企業の制度では太刀打ちができなくなる可能性があるということがあげられました。

日本型の特徴:内部労働市場、職能等級、年功序列、職能資格制度
欧米型の特徴:外部労働市場、職務等級、成果主義、職務等級制度

 日本の労働法から見た雇用の特徴としてメンバーシップ型があげられるが、日本型雇用システムの本質は「職務の定めのない雇用契約」のことであり、会社が定年まで雇用者のメンバーシップを確保していると捉えることもできる。まずはこの制度を理解(良い点と悪い点)した上で、海外との競争優位を高めるための欧米型(ジョブ型)の特徴を付加した新しい日本制度に移行していくことが、今後の日本には大事となってくるだろう。
※ジョブ型雇用とは(日本経済新聞社)
※ジョブ型雇用の種類と、日本企業が進むべき道(中村天江)

■研究論文:日系企業と外資系企業の比較から探る 日本型人事管理の変化(須田敏子)

 論文では「社員格付け制度と賃金」について、同じ環境下における①基本給決定における重視項目(日本型人事管理の変化)と、②人事に関する意思決定構造の変化について検討した内容を取り上げている。まずは、自分自身でこの論文を読み解き、まとめる過程を経て理解を深めていった上で、5名でグループディスカッションをさせていただいた。

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 グループディスカッションの中では、事業部ラインと本社の人事部ねじれが存在している点(上記①が変化しているにも関わらず、上記②においては「日本型」が維持されていること矛盾)が議論としてあげられた。①のような成果基準・職務基準を変化させるのであれば、②の賃金決定も変化に応じて事業部ラインで実施させる動き(または経営者が理解している、人事と相談するなど)が必要なのではないか。その背景には、国際的にも日本のみが強い「集権的人事管理」を実施していることが問題の本質であることも、論文から読み解くことができるのではないかと考察された。

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 日本は、”評価の公平性”に重きをおく企業が多く見受けられる中で、企業評価は「事業部の評価(絶対評価)」と「全社人事部(相対評価)」に分けることができ、このねじれが前述の要因になっていると改めて考察できる。例として経営者幹部候補を選出する場合に、日本ではゼネラリストを育てながら生き残った人物がなっていくもの、海外は採用時点からジョブで区分けしていくものであるなどの違いも見られている。
 このように、そもそも日本と海外では文化が相違しているため、必ずしも欧米と同様にすることは難しいが、環境変化に向けて考察し続ける必要がある(常に時代によって変化する)。講義内では日本企業の海外支社との評価基準の違いにおいても、今後の検討が必要となると問題提起されていた。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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