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日進月歩 ~Road to MBA~#94

2021/4/14:ヒューマン・リソース・マネジメント1➀
 昨年度に入学してから組織論などを体系的に学ぶ機会がなかったため、M2では組織論を多めに受講しており、多角的な視点から自分自身の経験を紐づけて考えられればと思っています。
 水曜日は、山﨑先生という新しく着任された先生(キャリアデザインやヒューマンリソースの講義をご担当)の基で学ばせていただいております。講義では、経営戦略の実現に向けてヒューマン・リソース・マネジメントの中核的機能である、「格付け」、「賃金」、「評価」、「報酬」、「採用」、「配置」、「人材開発」などにおいて、実践と理論を融合させた学習をしていくとのことで楽しみであります。

■理論から実務へのインプリケーション

 理論を学ぶことで仮説をたてることができ、実務現象を説明したり実務に適用したりすることが可能となる。実務的現象と理論を往復することで、学びを深めていくが、この講義は以下のような循環関係を意識している。

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■事例や実務から実務的現象を理解する

 グループディスカッションにて、「人事実務 2021年2月号:第8回 人事制度等に関する総合調査(産労総合研究所調査)」の題材を基に、我々のグループでは”人材育成”について考えることにした。

【事例から考える変化➀】
  育成における研修手段の変化(対面研修⇒オンライン研修)

 現状の環境(コロナ禍)による影響も大きいが、これまでの「対面研修」の育成から「オンライン研修」の育成に変わりつつある。議論をしていく中で、主は日本企業の特有である新卒研修に当てられていった。更に各社における内容をお聞ききしながら、実務と事例の共通を探していった。

・オンラインによる研修の実施率:65.9%
※大企業:92.1%、中企業:83.9%、小企業:56.1%(実施予定含む)

 事例から考える変化②にも通ずることはあると思うが、企業規模や企業文化によっても対応状況に差はありそうだ。また、規模によって育成が「短期的」か「長期的」かの違いも見られ、とても興味深い内容であった。

【事例から考える変化②】
  育成における方針の変化(パーソナルなキャリア設定)

 自己理解をさせるために多くの時間を要し、これからの将来のキャリアを考えながら研修や育成が実施されている現象をご紹介いただいた。また、その中でも大きな変化だと感じたのが、「新卒採用なのにもかかわらずジョブ型の採用が行われていた」ことであった。
 また、新卒研修において、目指すべきキャリアを把握した上でのキャリアップのための「業務理解」に費やす時間の割合が、これまでの新卒研修とは違っているように実務的現象から感じることができた。この結果を確認した上で事例を見ても、同じような結果であることが分かる。

・キャリアカウンセリングの実施率:21.5%
・キャリア開発研修の実施:若手対象33.1%、中高齢者対象22.7%

 しかしながら、目指すべき人物像(求める人物像)の明文化が59.0%もある中で、能力開発施策の実施率が低いという課題も見受けられた。多様性が求められている中で、”共通した言葉”も決まっていないといった課題もあり、今後の人材育成における企業の変化も興味深く見ていこうと思う。
 また、「グローバル共通人事制度のある企業は4.4%」も低い数字を示しており、国による文化の違いや事業による違いなどについては、日本企業は遅れており、未着手な企業が多いことも事象として把握できた。

■論文から実務的現象を考える

 グループディスカッションにて、「コールセンターにおける人的資源管理と離職率との関係(小川悦史 :2011)」の論文を基に、発見事実を整理して実務にどのように活かすことができるかを考察していく。

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 このように論文から実務に有用である内容を抽出し、実際の事例や実務で実体験にて学ぶこと、当てはめていくことで深めることを目的としている。

■理論から実務的現象を考える

 更に理論を学ぶ講義では、➀人的資源の特徴(上林, 2012)、②これまでの歴史、③人事労務管理と人的資源管理の違いから説明をしていただいた。

➀人的資源管理の特徴(上林, 2012)
(1)ヒトは、最も基本的かつ重要な経営資源を構成する要素
(2)ヒトは、生身の人間であり、喜怒哀楽の感情、高度な思考をする主体である(個人⇔組織としての考え方)
(3)革新的で決定版といえる管理手法が生み出されることはない

 これからも分かる通り、管理手法が生み出されることは難しいことはあるが、「管理論」について考えた背景や歴史もご紹介いただいた。

②これまでの歴史的背景
1920年代:労使関係論(大量生産による「科学的管理法」)
1960年代まで:労務管理論・人事管理論(ブルーカラーとホワイトカラー)
1970~80年代:人的資源管理論(企業経営のための資源として活用)
1980年代以降:戦略的人的資源管理論(戦略達成への貢献、価値ある資源)

 ここで新しく出てきた「人的資源管理」というものについても、人事労務管理との違いから講義をいただきました。それぞれ思想やアプローチの違いなどがあり、現在の環境においては人的資源管理がベースとなっているのだと改めて感じることができた。

③人的資源管理とは
 価値観や使命感を前提として、戦略的側面から経営戦略との結びつきが強いものとなっており、常に変革を目指せる能動的で主体的なマネジメントに基づいた調和やチームワークを目指している。そのために、個々の動機付けを考慮しながら目的達成する志向をアプローチしていくことが特徴


■自分自身が感じること

 これまでの事例・実務・論文・理論を基にしてみると、多くは「人的資源管理」という考え方がベースになっているように感じている。議論の中では、誰を対象として考えていくのか、顧客は何を求めているのかも重要であると示唆があったが、より働く人材のパーソナルを考えた上で組織をどう構築していくのか、その組織構築の基となる「経営者の戦略」が最も重要であると改めて認識している。
 また、環境がどんどん変わっていく中で、「MBO(Management by Objectives)」や「ジョブ型」という議論にも派生し、人事の評価制度とも紐づけて考えていく必要がありそうだと学ぶことができました。
※次回は「経営戦略とヒューマン・リソース・マネジメント」です。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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