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日進月歩 ~Road to MBA~#152

2021/7/17:ビジネス・オーガニゼーション4⑦
 土曜日は、経営組織論を専門とされている山中先生の講義をとっており、14回目の講義(春学期2の7回目の講義)となり、早いもので春学期も最終講義となります。前講義(#147)では「組織のコンフィギュレーション(基本的類型:特徴)」について学ばせていただきましたが、本講義でも引き続き特徴について続編を講義いただきました。

■組織のコンフィギュレーション:(4)専門職業的組織

 枢要部分としては「作業核」であり、属する専門職業家が自分たちの職務に対する影響を最小化するために大きな「支援スタッフ」を擁して、専門的な引力を行使する構成となる。

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(a)構造
 枢要の「作業核」構成員は、テクノ構造の管理者やライン管理者からの行政的統制を受けないように引力を行使するため、小さな「テクノ構造」と小さな「中間ライン」しか持たない。しかしながら、専門職業家の活動を支援するために大きな「支援スタッフ(機械的構造:官僚制的であると同時に分権的である)」を擁している。
 コンフィギュレーションにおいては、専門職業家から構成する「作業核」への水平的垂直的分権化が行われており、調整は知識とスキルの標準化を通じて達成される。高度に分権化されているため、専門職業家は自己の統制だけでなく集合的統制力を有することも特徴となる。
 この場合の経営者や管理担当者の役割としては、①専門職業家間の混乱や葛藤などを処理する、②組織外からの影響を緩衝し、支援や資源を調達するといった(専門職業家に権力を移行)役割となる。

(b)環境条件とコンテクスト
 複雑であるとともに安定した環境に適合しており、ニーズは個別的で多様となるがカテゴリ化が可能なものとなる。単純な技術システム(専門家へのサービス提供)を擁しており、職人的企業などはこの組織構成をとる。
※学校・大学・コンサルティング企業・法律事務所・病院など

(c)戦略形成過程
 戦略を行為のパターンとして捉えた場合に、一定のパターンが形成されることがある(組織は戦略を実施するために設計されるという仮説は、成り立たない)。専門職業に関連のある領域は、どのような特定サービスを誰に対して提供するかといった基本的使命が確立される(重要な支援サービスは専門職業家による集合的選択によって決定する)が、関連の無い領域については、組織の管理行政担当者によって排他的に決定される。

(d)専門職業的組織に関する諸問題
 民主主義と自律性の利点を備えているが、その利点における問題も付随している。専門職業的裁量が大きくなるために、権力の乱用がおこりえる。また、専門的であるがゆえに過去の経験に基づいて処理を考えてしまうようになるため、従来の枠組みの中で問題を捉えようとしてしまう。専門職業家の仕事を外的な力で統制・コントロールするために効率化や標準化をすることはいたって困難であり、機能させることは難しい(大学に対する文科省の統制など)。

■組織のコンフィギュレーション:(5)革新的組織

 枢要部分としては「支援スタッフ」であり、組織の中核的活動に参画するために協同しようと引力を行使している(プロジェクトマネジメント)。

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(a)構造
 プロジェクトマネジメントを「支援スタッフ」し、行動の形式化がほとんどない高度に柔軟で有機的な構造となる。専門家を職能的単位で編成しつつも、職務遂行は小規模なプロジェクトチームとして編成(マトリックス構造)されているのが特徴としてあげられ、相互調整が必要となる。
 また、典型的なパターンとしては①作業アドホクラシーと②行政アドホクラシーに分かれており、「戦略尖」の役割も明確に決められている。

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(b)環境条件とコンフリクト
 変動的で複雑な環境(顧客ニーズも予測困難な場合)に適合しており、新しい組織や若い組織に見られている。プロジェクトごとに革新的組織が形成され、終了後は解散(暫時的アドホクラシー)されることも多くみられる。また、組織デザインの流行によって、革新的組織デザインを採用する動きもみられているのが現状となる(Teal組織、Holarcracy)。

(c)戦略形成過程
 複雑で予測不可能な変動的環境のため、計画的な戦略に依存はできない。戦略は組織の中の目につかない現場で創発され、その変化を気づいた際により広い組織的なものとなることが、状況として有り得る(自律的戦略イニシアティブ(ハーゲルマン))。このように、組織が現場のニーズ変化に対応した取組みを把握し戦略として広めていくことを、他の講義では「創発的戦略」とも呼ばれていた(事例:ホンダの北米進出)。また、戦略形成におけるリーダーシップの役割においてもまとめることができる。

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(d)革新的組織に関する諸問題
 高度な民主主義と低度な官僚制とを結合させたような構造となっているため、イノベーションにおいては効果的な組織である。しかしながら、反面で非効率という代償(①著しく高いコミュニケ―ション費用、②曖昧さによる人間問題や秩序化されていないことによる競争、③別のコンフィギュレーションへの不適切な以降への危険)を担っている。合理性や効率性を高めるために官僚制化が進み、新しいイノベーションが起き得なくなってしまうことが組織の経年によって起こり得る。

■組織のコンフィギュレーション:(6)伝道的組織

 枢要部分としては「イデオロギー」であり、規範の標準化が主要な調整メカニズムとなる場合には支配的な勢力となり、伝道的コンフィギュレーションを及ぼす。

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 特徴として、明瞭で焦点が定まっているために士気を鼓舞するような独特の使命感を備えている(団結)。緩やかに組織化され、高度な分権化をしていきながら、強力な規範的統制のもとに小規模単位で組織されている。伝道的組織の類型は、

➀改革者的:何らかの形で世界の変革を実現しようとする
②教化者的:構成員を強化し、世界を間接的に変革しようとする
➂修道院的:構成員に独特な生活スタイルを追求させようとする

に分かれることができ、それぞれ呼ばれている。問題として、孤立化と同化という脅威があげられており、消滅や結果的にイデオロギーが外的世界に合わせて改編されてしまう可能性をもっている。

■組織のコンフィギュレーション:(7)政治的組織

 枢要部分としては組織における「政治活動」であり、自己利益を志向した権力手段であり、諸個人や単位を互いに分裂させるコンフリクトを起こし得る。また、集権化される場合の調整と影響力という標準的な観念が欠如しているために、非公式的な権力ゲームが起こってしまうのが特徴となる。

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 また、刺激⇒発達⇒解消といった政治的組織のライフサイクルが存在しており、既存の権力秩序に対して挑戦するコンフリクトを生み出しかねない。政治的コンフリクトが起きてしまうと、①勝利する、②組織が破壊する、③不本意な同盟によって継続するものの穏健になるといった解消方法があげられるが、政治的活動が機能的に役割を持つ場合が既存の欠陥を是正させるために利用されることが例としてあげられた(事前根回しなど)。

■ビジネス・オーガニゼーションを受講して感じたこと

 本講義を受けて感じたことは、「組織の構造は全て意味がある」ということであった。自社における組織構造の意味を考えるきっかけにもなりましたし、その理由を気づくことができたように思います。その中でも大事であると感じられたことは、「時代が組織を作る」という観点でした。その時代にあった組織構成を考え、持続的に成長していくためには”変化”を普通に感じられる組織文化(イデオロギー)を醸成できるように、常日頃からの取組みと積み重ねが必要であると感じることができました。
 春学期も最終の講義となって、ここまでアウトプットをしてきましたが、組織構成を理論的に学べたことで、起き得る問題を事前に把握することができたと思います。あとは実践を通してトライ&エラーや知識のブラッシュアップをしていけたらと考えております。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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