見出し画像

日進月歩 ~Road to MBA~#55

2020/11/30:シードマネジメント特講1B③
 月曜日はシードマネジメント特講1Bとなります。先生は変わらず実務家であり、実務と学問を融合させている笠原先生の講義の3回目です。本日は、課題「フォルシアのデジタル戦略」に基づいたデジタル戦略を選択する基準のケース確認と、「サプライチェーンにおけるDX活用」におけるフレームワークについてご講義いただきました。

 冒頭では、「製品やサービスにおける模倣困難性での差別化が厳しい企業に対してどういったコンサルティングをすべきか」について、チームディスカッションをしました。ここでは、変更する要素として”市場”、”知財”、”ビジネスモデル”、”Promotion”、”営業”などが挙げられた。

 ✔ 市場に最初に参入し、先にブランディングを定着させる
 ✔ 知的財産として特許を取得(長期的な場合は秘密にしておくなど)
 ✔ 差別化する、何に拘りを持つか(ビジネスモデルを変える)
 ✔ QCDの観点でQualityは一緒だった場合に、Deliveryで差をつける
 ✔ PMMの観点で市場を変える(市場開拓)
 ✔ 4Pの観点でプロモーションや売り方を変える(Promotion・Prace)


 本日の大部分は、フランスのパリに本社をおくフォルシア社のケースを基に、前週までの内容を復習しました(ケースA:戦略を決めるまでの手法を学ぶ、ケースB:DX化に向けた選択基準を学ぶ)。
※ケースの詳細は無断で記載ができませんので、やり方の表記のみ

<ケースA>
 現状の「業績低迷」における理由を確認するために、現状分析から始めることにした。今まで講義で習った「5Force」や「SWOT分析」などのフレームワークを利用し、どの戦略を選択するか基準を確認した。ここでのポイントは、まず5Forceで誰の影響力を強く考慮しなければいけないかを確認した上で、SWOT分析を用いて戦略の方向性を考えていく流れを学んだ。優先順位としては「Strength」×「Opportunity」、「Weakness」×「Opportunity」から選択していくが、今回は”既存顧客であるVW”の交渉力が大きく出ていることによって、影響を及ぼさない戦略を選択していくこととなる。

<ケースB>
 デジタルトランスフォーメーションにおける”11の技術オプション”から何を選択していくか。自身でケースの内容を基に、「戦略」「価値提案」「価値ネットワーク」「コストとスピード感」といった観点で分析をし、自分なりに2つの答えを導き出した(選択肢7と11を選択)。

画像1

 このケースを基に、チームディスカッションと他チームからのご意見を聞いて重要だと感じた要素は、”現状の課題との紐づけ”、”投資に対する効果”、”バリューチェーンの何を変革させるか”という観点であった。更に加えていく要素としては、「投資に対する正味現在価値(NPV)」や「内部収益率(IRR)」、「資金回収期間(PB)」などの定量的な数字データも基に最終的には判断をしていく。


 後半では、ハーバードビジネスレビュー2020年12月号に載っている「サプライチェーンにおけるDX活用」に基づいたフレームワークをご紹介いただいた。新型コロナウイルスの影響によって人の集中や移動が制限されたことで、工場生産の中止や供給停止が起きてしまい、サプライチェーンのリスクが顕在化してしまった背景から、課題解決に向けてDXが推進されている。

■SCMの効率性と適応力を高める手法:DX推進に向けて
Ⅰ)E2Eの可視化を義務付ける
  まずは見える化を実施し、SCM全体管理をデータにて実施する
  また、その内容を基にリスク予防を実施し、未然に強化する
Ⅱ)ケイパビリティを強化する
  可視化され集めたデータを分析する(AIなどで予測する)
Ⅲ)パフォーマンスを評価する
  KPIを設定し、PDCAを実行する(評価する軸を決める)
Ⅳ)ガバナンスを強化する
  上流から下流までを把握するにはデジタル化は必須要素
  多数の組織が関係してくるため、成果や利益などが部門によって相違
Ⅴ)レジリエンス(戦略的な冗長性)を持つ
  SCMの効率性や経済性を追求させすぎない(冗長性を持たせる)
  ※サプライヤーエコシステム、生産ネットワーク、チャネル・顧客

 上記要素とサプライチェーンをマトリクスにし、「SCMにおいてDXが創出する価値領域」を表現することが可能となるフレームワークである。しかし、どの要素をDX推進していくかを決めていくためには、事前に「どういう顧客価値(Value Proposition)を提供したいのか」、「戦略をどうしていくのか」を決めることが必要である。戦略や顧客価値を決めた上でDX推進をしなければ、中途半端で何度もやり直しが生じ失敗に終わってしまう。


        立教大学大学院ビジネスデザイン研究科   平岩 宗

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?