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J1第24節 川崎フロンターレ対横浜Fマリノス データプレビュー

川崎は前節ベンチにGKが2人でFPが3人という危機的状況でアウェーで浦和と戦った。結果としては0-2と敗れてしまいミッドウィークのC大阪戦では特別指定の山田がプロ初出場だったが、1-1の引き分けと危機的状況が続いている。そして今節はホームで横浜Fマリノスと対戦する。神奈川ダービーでもあり、実質的に今節負けてしまうと優勝の可能性はほぼなくなる。マリノスとしてはここで川崎を倒して優勝に近づきたいところだろう。

このデータプレビューはデータのみの記事であり、データで見るとこんな試合になりそうだというあくまでも試合予想の一部分です。

1.両チームの成績

川崎は他チームに比べて2試合未消化ではあるが、前節の敗戦により勝ち点37で5位まで転落してしまった。シーズンの約三分の二が終了したが既に6敗している。優勝するには数字的にこれ以上負けられない。その要因は得点不足であったが、シーズン後半になるにつれて得点は増えてきており、トータルで1.5となっている。一方で失点が少しづつ増えてきており1.2となっている。
トータルではあまり良い成績ではないが、ホームでは得点も1.8となっており7勝1分2敗と好成績だ。しかしこの2敗がC大阪と湘南という大量失点で負けたゲーム。ここは若干気がかりだ。
直近5試合では2勝1分2敗で得点は1.4と悪くないが、失点が1.9とかなり多い。厳しい状況ではあるが攻撃力のあるマリノス相手に守備陣は頑張りたい。

マリノスは勝ち点48でもちろん首位。試合内容もそうだが首位に相応しい数字も残している。トータルで14勝6分3敗と圧倒的ではないが好成績。そして得点は2.2を超えており失点も1.1と低く攻守で良い数字を残している。
しかしアウェーになると成績は落ちる。得点は2.1とあまり変わらないが失点がトータルの1.1から1.6へと増加したことで5勝4分3敗となっており、勝ち点を落とした試合のほとんどがアウェーということになる。
直近5試合では3勝2分で得点は2.8と非常に多い。その分失点も1.4と若干増えてはいるが好調と言える。

通算対戦成績では川崎の21勝9分18敗と川崎がリードしている。川崎ホームとなるとそのリードは大きくなり14勝3分6敗。今シーズンのマリノスはアウェーで勝ち点を落としており、チャンスは大きそうだ。

2.チームスタイル指標

レーダーチャートを見ればわかるようにほとんどの項目でマリノスが上回ってる。その中で川崎が上回っているのは左サイド攻撃と中央攻撃。川崎はこの二つがそれぞれリーグ3位とリーグトップの数字となっており、敵陣ポゼッションは82と非常に高い数字でこれはもちろんリーグトップ。これらから川崎は主に敵陣左サイドで攻撃しているとわかる。そして今シーズンの川崎を物語っているのがシュート率で高い数字のものはあまりない。右サイド攻撃に至っては9.6%でリーグワースト2位だ。
一方のマリノスは中央攻撃、右サイド攻撃、敵陣ポゼッションがリーグ2位の数字で、川崎と攻撃サイドが入れ替わっただけで似たようなスタイルとなっている。川崎と異なるのは自陣ポゼッションもリーグ2位の数字で低い位置からしっかり組み立ててくる。
そしてオープンプレーのみならず攻撃セットプレーもリーグ3位と高い数字になっている。そして川崎と決定的に異なるのはシュート率で攻撃セットプレーと左サイド攻撃以外すべてトップ5にランクインしており、ポゼッションでもカウンターでも質の高い攻撃が繰り出される。特に指数も高かった敵陣での中央や右サイドは要注意だ。
またマリノスのハイプレス指数はあまり高くないが、守備成功率は58.2%でリーグトップ。ビルドアップで奪われてショートカウンターも警戒したい。

3.攻守のスタッツ

川崎の攻撃回数が116.8回でリーグ13位とトランジションが少ない傾向なのに対してマリノスは126.3回でリーグ2位とハイトランジションな展開となっている。おそらくマリノスの展開に持っていかれたら川崎は持たないだろう。そしてマリノスは全ての項目でリーグ1位か2位となっている。
一方の川崎はシュート数が13.1本と優勝には少なめの数字。しかしこれでもシーズン前半よりは増えてきており、シュート成功率も11.3%でリーグ4位と高めであることからある程度のゴール数は取れている。

被攻撃回数に関しても攻撃回数と同じことが言える。攻撃では全項目でマリノスに軍配が上がったが、守備では川崎の方が好成績の項目もある。まず被シュート数が10.1本でリーグ3位。それに伴い被チャンス構築率も8.6%と低くなっている。その要因がリーグトップの被PA進入回数で8.1回とチームとして危険なエリアに進入させていないことがわかる。
一方のマリノスはこれらのデータが10位や8位と平均的な数字だ。しかし被ゴールを比較すると両チームとも1.1と同じ数字(順位の違いは小数第二位以下による)。その要因は被シュート成功率で、川崎は11.3%でリーグ17位と非常に悪い成績だが、マリノスは9.2%でリーグ9位となっている。

川崎のゴール期待値1.251はリーグ7位の数字だが実得点との差0.229はリーグ4位の成績でチャンスは少ないが決め切ることでゴールを決めている。そして注目は守備面でついに実失点が被ゴール期待値を上回ってしまった。その差0.102はリーグワースト3位。シーズン前半まで良かった守備が崩れ始めている。とは言え被ゴール期待値1.038はリーグ4位の数字。被ゴール期待値と被シュート数は少ないが、実失点との差は大きく被シュート成功率は高い。これから推測できるのは、川崎がシュートを打たれるシーンは決定機が多いため決められてしまうというもの。今シーズンの川崎はセットした守備を崩されることよりも、カウンターや速い攻撃でシュートを打たれてしまうためこのようになっている。おそらくこのような攻撃はマリノスの十八番だろう。

一方のマリノスはゴール期待値が1.722でリーグトップ。さらに実得点との差0.408もリーグトップで、質と量ともに兼ね備えている。一方の守備は平均的で被ゴール期待値は1.136で実失点との差もほぼない。

4.得失点のプレー割合

二つの円グラフを比較すると、川崎の得意な得点プレーとマリノスの苦手な失点プレーが噛み合っている。川崎はセットプレーから9得点で全体の約3割を占め最も多い。一方のマリノスも9失点で最も多く全体の36%。そして川崎はショートパス、クロスと続くがマリノスもクロス、ショートパスと続く。川崎としては早い時間帯にセットプレーからゴールを奪えると楽な展開にできる。

マリノスはクロスからの得点が19点で全体の38%を占め圧倒的に多い。その次にショートパスやセットプレーが続くがクロスが大きな武器だ。そして川崎はセットプレーとクロスがそれぞれ7失点で合計56%。ここ数試合でセットプレーからの失点が増えたが、もともと川崎はクロスからの失点が多い。浦和戦でもクロスから失点している。

5.シュートエリア

川崎のシュートに関しては平均的。先述したように川崎はPAに進入されることは少なくシュート数も少ない。その内訳はPA左とPA右が0.6本でそれぞれリーグ2位と1位。またPA外からの被シュートも3.5本でリーグ2位。逆に言えば最も危険なPA中央での被シュートの割合が相対的に高く、やはりシュートを打たれるシーンの多くが決定機だとわかる。
マリノスはPA中央からのシュートが7.3本でダントツの1位。それに伴いPA内シュートも9.8本でリーグトップ。またPA外からのシュート数も6.0でリーグ2位。川崎としては簡単にシュートは打たせないようにしたい。マリノスの守備面での弱点はPA左で1.2本のシュートを打たれておりリーグワースト4位。川崎としては左サイドで攻撃して最後に手薄な右サイドでシュートを打ちたい。そのためには右WGの役割は張っておく方が良い。

6.まとめ

川崎のボール支配率は56.8%でリーグ2位、マリノスは58.2%でリーグトップ。両チームともボールを保持したいスタイルのチームだ。ただ川崎はトランジションが少ないのに対して、マリノスは奪われても即時奪回しハイトランジション。ただでさえ今シーズンの川崎スカッド高強度ではない上に、コロナにより選手も疲労困憊。となると勝ち筋はボールを保持し続けるしかない。なるべくマリノスにボールを触らせたくない。マリノスにボールを渡すような軽はずみな裏へのボールや、奪われるリスクのある楔は減らしたい。
記事内ではマリノスの攻撃の強味を多く紹介したが、試合の注目点は川崎のボール保持だ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

7.データ引用元


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