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後の先


システム三笘


サッカーイングランドプレミアリーグ第19節。
ブライトン対エヴァートン戦。

三笘選手は先制点を取り、内容的にも持ち味を発揮して4-1の勝利に貢献した。
しかし、ここまで先発フル出場を続けて、さらに中二日での試合だったため、
前半が終わった時点でいつもより消耗しているようだった。

ばく然とテレビやダイジェストで三苫選手のドリブルを見ていると、
「すごいのはなんとなく伝わるけど、なんであんなに簡単に相手を抜けるのだろう」と思う。
この試合でもっとも彼らしいプレーが見られたのは前半25分。
相手ディフェンダーと一対一になった局面だ。

ブライトンの攻撃の場面。
三笘選手が相手陣地の左サイドでパスを受け、ペナルティエリアに向かって斜めにドリブルするところから始まる。

仕掛けのオンパレード


あえて簡単に箇条書きすると下記のようになる。
映像をご覧になっていない人には分かりづらいので飛ばしてかまわないが、
ちらっと俯瞰図を見るだけでも、2秒程の間にかなり複雑な仕掛けのプロセスがあったことが見て取れる。

●三笘選手ドリブル開始(右足の甲でボールを前に押し出しながら)
1→前にいる相手との間合いを保ちながらペナルティエリアに進入
(これが仕掛けのスイッチとなる)
2→ボールの軌道を相手方向にわずかに変える
3→ボールを相手に見せつける
4→間合いがわずかに縮んだので、ディフェンダーは三苫選手から一歩離れようとしてステップバックする
5→三笘選手はその隙に一瞬だけディフェンダーに正対しながら、ボールタッチを右足のインサイドに変更し、相手より一歩前に出る
6→さらに一歩、ドリブルで前進する
(ディフェンダーはステップバックしていたことで、出遅れる)
7→さらにもう一歩でディフェンダーの前に抜け出す
8→三笘選手、全速力のダッシュを若干緩める
9→7のボールタッチの時点で、ディフェンダーのスライディングが届かない位置、右斜め前にボールが運ばれている
10→ボールとともに内側にドリブルする
11→スライディングしてきたディフェンダーを完全に抜ききる
12→集まったディフェンダーの視線を自分に集めてラストパス

以上の図をパッと見ただけでも、相手ディフェンダーに対して三笘選手は複雑に動きながら、繊細にボールタッチしていることがわかる

一対一は駆け引き


相手のスピードを殺し、間合いを使って相手を抜く一連のドリブルは確かに素晴らしいが、それよりも、三笘選手は相手を観察する能力に非常に長けているということがいえる。

ガチャガチャと左右に激しく動くわけではなく、相手をよく見て、隙を突いて最短の距離を進んでゆくので、映像ではシンプルに見える。
これは、サッカーにおける駆け引きの極致で、まさに「三笘っている」と言えるプレーだ。

さらに、駆け引きで相手を上回れるぶん、ドリブルに余裕が生まれる。
結果、全速力を出し続ける必要がないのでドリブラー特有の膝などの怪我もしにくい。

ブライトンはこの試合、前節から選手を入れ替えて結果を出すことに成功した。
かなり充実したチーム状況といえる。
この調子なら上位に食い込んでいくことは間違いない。
これからまだまだ三笘選手の活躍も見られそうな勢いだ。

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