2023/1/11読 双極性障害に対する維持薬物療法

【読んだ論文】

Preventing new episodes of bipolar disorder in adults: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

Anastasiya Nestsiarovich et al.

Eur Neuropsychopharmacol. 2022 Jan;54:75-89.

(DOI:10.1016/j.euroneuro.2021.08.264)

【研究デザイン】

meta-analysis (Up to July 2021)

【内容】

双極性障害(BD)に対する維持薬物療法についてメタ解析したもの。

・気分安定薬単剤療法(リチウム、VPA、CMZ、RTG、第二世代抗精神病薬(SGA)を含む)は、プラセボよりも新しいBDエピソードの予防効果が高かった。

・アリピプラゾール、アセナピン、リチウム、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンLAIは、BD発症のリスクを有意に減少させた。

・累積データは少ないが、特にアセナピンが効果が高かった。

・リチウムまたはVPA、CMZ、RTGにアリピプラゾール、バルプロ酸、クエチアピン、オランザピン、リスペリドンを追加することは、リチウムまたはMSAの単独療法と比較してより有効であった。

・躁病エピソードが主要因で治療を開始された患者は躁病エピソードで再発しやすく、そうでない患者はうつ病エピソードで再発しやすい

・2剤併用は単剤よりも治療効果は高いが、まずはリチウム、アリピプラゾール、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドンの単剤療法から治療を始めることが推奨された。

【コメント】

躁やうつのときの薬物治療はある程度しっかりした根拠(目標血中濃度も決まっている)があるが、維持療法の際はそれがあいまいだったため、調べてみた。

保険適応がないこと、研究が1件しかないことが残念だけど、一番効果があるのがシクレストなのは驚いた。

QTPやOZPが使えない症例で検討してみようと思った。

以上と病態から、1型や家族歴がある症例はリチウム、2型はメインの病相に応じた薬剤(うつならLurかビプレッソ、躁ならVPA)で維持を狙い、難しければ2剤目を患者背景をみて追加する、っていうのがいいのかなっていうのが自分の考え。

ちなみに、VPAは急性期は濃度依存に効くので、少なくとも75μg/ml 、目標110μg/ml で。

維持期は50μg/ml 以上なら治療効果は変わらないので50μg/ml ちょいを目標濃度で

って感じのよう。

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